東北の寒空の下 お雑煮のにおいは流れる
あけましておめでとうございます。
世界がひっくり返った2020年、飲食店にも試練の年でした。何をしたら良いか手探りのまま、気づいたらあっという間に月日は流れ、心にぽっかり穴が空いたような気持ちで年末を迎えました。
こんなに暇な年末年始は初めてで、大掃除もちょこちょこやっていたので、大してやることもなく、なんとなく頭はボーッとしてしまう。そして、店の年内営業は終わり、年賀状を書いてしまったら、もう2020年はあと3日。
それからは家庭内感染対策に気をつけながら、家族に年末年始のごはんを作っていました。
日本酒と、お世話になっている漁師さんの魂こもったホタテも取り寄せて。
12/29〜1/3に作ったもの。
すき焼き、カボチャグラタン、鶏の茶碗蒸し、ナメタガレイの煮付け、キャベツとリンゴのコールスロー、油淋鶏、お吸い物。目玉焼き、焼き鮭、豆腐のお味噌汁、トマトとツナのパスタ、牛鍋、焼きホタテとお刺身、モツ煮(白味噌)、ホヤのアヒージョ、カブのなます。チャーシュー、お煮しめ、白菜のお味噌汁、雪菜とソーセージ炒め、鶏唐揚げ、黒豆煮。お雑煮、もち料理色々(きなこ、磯辺)、おせち料理風お惣菜(かまぼこ、伊達巻、メカブの海宝漬け)、気仙沼フカヒレスープ。パスタサラダ、玉子焼き、わかめのお味噌汁、ピザ(トルティーヤ)、アップルパイ、インスタントラーメン(白金豚味噌)麻婆豆腐。白菜のおひたし、キャベツのナムル、カルボナーラ、お好み焼き、ソーセージ肉じゃが、シチューハンバーグなどなど。
メニュー全部思い出せないけど、『美味しい美味しい』『幸せ』と笑顔になってくれる家族に、和、洋、中、冷蔵庫も買い置き戸棚もひっくり返して、思いつくままに料理を作って振る舞いました。
無我夢中で料理を作っていくうちに、心はなんだか自然に満たされていきました。澄んだ冬の空気はモヤモヤを吸い取ってくれました。
もう下向いてクヨクヨするのはよそう、そんな気持ちで料理作ったって、美味しくできるわけないし、と台所の板間に立つ裸足の足元から、ぐわわとチカラが湧いてくる気がしました。
食は人の心と心を繋ぎ、お腹の底から温める
思い切り料理を作り、人に食べていただいて、みんなで笑い合う、
そんなことは今まで当たり前で、忙しすぎて文句なんか言ってたけど、本当は貴重な時間で、ありがたかったことをつくづく思い知らされました。
年末に新しく繋がった生産者さんは、
料理人に嫉妬してる、心と心を繋げる素晴らしい仕事だから、と仰っていました。
そうかぁ、ありがたいなぁ、やっぱり人と料理が好きな気持ちはどうやったって、世界がひっくり返ったって揺るがないな、私。
七味五悦三会
鴻上尚史さんの記事でこんな言葉も知りました。江戸時代の人は、年末に七味、七つの美味しかったもの、五悦、五つの楽しかったこと、三会、三人の新たに会えて嬉しかった人を思い浮かべて、今年も幸せだったなぁと笑い合うのだそう。
誰かの記憶に残る、このどれかに引っかかるような明るく楽しく美味しい記憶を作っていけたらなあとも思いました。
鬼が笑う抱負
2021年は
食でみんなを笑顔にしたい。人と人の想いを繋ぐ。
困難な時代もしなやかにゆらゆらと、素晴らしい食材や料理の世界を漕いでいこうと思っています。
料理を作ってお出しするばかりではなく、レシピも引き続き書いていきながら、もっとわかりやすく料理の楽しさをお伝えできたらと。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします!!
おまけレシピ
〜我が家風お雑煮〜
私の地元は岩手県花巻市です。上の写真のうちの実家のお雑煮をご紹介します。
①大根と人参は拍子木切り、鶏肉は小さめのぶつ切りにします。
②出汁(煮干しや干し椎茸、昆布、ほんだしでも好み)に切った材料をいれて、火が通るまで、10分くらい煮ます。
③みりん少しと醤油で味を整えます。(お出汁1カップに対し、醤油大さじ1、みりん大さじ1/2くらいのイメージ)
④お湯につけて柔らかくした、もしくは焼いたお餅をお椀に入れ、お汁をかけ、切ったセリといくらを載せます。
※うちの地方では、いくらはお雑煮に欠かせない特別なごちそう。
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