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最低にして最高の道

昨夜は愛読している【東北食べる通信】さんの貸し切りご宴会でした✨

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岩手県釜石市の佐々木洋裕さんの鮮魚、二戸市久慈ファームさんの佐助豚、山形県真室川町の高橋伸一さんの伝承野菜、鶴岡市の五十嵐大輔さんの庄内柿、福島県西会津町の高久さんの椎茸、秋田県大仙市の田口康平さんの沼山大根などなど、
東北全域から、生産者さんが真心込めて育てた、荒れる冬の海で獲ってきた食財を使わせていただき、料理を仕立てました。

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素材が良いので、もう、そのままで美味しい素晴らしい食材でした。

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お客様にもお喜びいただき、とても嬉しかった!!生産者さん方には本当に感謝しかないです。たくさん差し入れもいただき、感激しました!!

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私達料理人は、生産者さんの苦労に感動し、食材の力に圧倒され、お客さんの笑顔に癒される、その間に立つ本当にありがたい仕事です。

自分で食べても美味しくて嬉しくて、お客さんにも喜んでいただいて、生産者さんにもご報告して、みんなで喜びを分かち合えるなんて最高じゃないですか?

一見、長くて地味でしんどい作業の連続です。農家や漁師といった第一次産業も、料理人も。でも、こんなに素敵な瞬間があるから、やっぱり面白い。

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高村光太郎の詩に『最低にして最高の道』という詩があります。純粋に真っ直ぐに生きようという雰囲気がとてもとても好きです。

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参考URL http://sybrma.sakura.ne.jp/221koutarou.shi.html


また、郷里の詩人、宮沢賢治は、『農民芸術概論綱要』で、

芸術をもて、灰色の労働を燃やせ

と言っています。

おお朋だちよ いっしょに正しい力を併せ われらのすべての田園とわれらのすべての生活を一つの巨きな第四次元の芸術に創りあげようでないか…

とも。

宮沢賢治『農民芸術概論綱要』青空文庫より

生産者さんと、料理人&飲食店と、お客さんと、みんなで作る総合芸術、それが食にまつわる世界だよなぁと私は自分を置き換えて解釈してます。想像力や関係性などで、地味でしんどい仕事もいくらでも楽しく面白く昇華させることができると信じています。


しかし、世の中には、食に興味がなく、食べ物を簡単に捨てたり、粗末にする人がいます。食の出所のイメージもできていないし、もはや食の未来とかどうでもいい、なんでしょう。料理人ですらも、残食やフードロスに心が痛まない、無関心な人も。

法律改正や外交問題、増税などによる経費増、儲からない仕事、自然災害との戦いなどなど、この状態ですから農家や漁師が後継者不足になるのも仕方ないのかもしれません。だって、正直、ものすごく大変ですから。


それでも!食べる通信に登場する農家さん、漁師さん達は時には歯を食いしばり、困難を乗り越えて尚、キラキラ、イキイキと前を向いていらっしゃるのです。収穫の喜び、美しい自然の姿に触れられる、食べてくれる人達が笑顔溢れるなど、お金だけじゃなくて、やっぱり報われる素晴らしい瞬間があるから、なんだと思います。

うちも農家ですし、そんな祖父母の姿を見て育ちましたが、生産者さん達の姿に胸を打たれ、やっぱり食に関わっていたい、食の生まれる現場を守りたい、繋いでいきたい、とあらためて思いました。

さて、忘年会シーズン、大きなご宴会はまだまだ続きます。

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おまけレシピ

佐助豚のロースト 黒ニンニクのすり下ろし野菜ソース

①塩、胡椒、ニンニクスライスで肩ロースブロックをマリネして、1日おく。

②室温に戻し、180度オーブンで80分ローストする。出来たら、アルミホイルで包んで、30分くらい寝かせる。

③酒1/2カップ、みりん1/4カップ、醤油1/4カップ、水1/4カップ、トマトケチャップ大さじ1を合わせて煮詰め、玉ねぎ、にんじん、りんご、黒ニンニクの粗みじん切りを入れてさっと煮ます。

④スライスした豚肉に③のソースをかけてどうぞ!

※今日の心のBGM 

ハンバートハンバート『大宴会』

YouTubeより

おいでくださりありがとうございます。 不器用な料理人、たぬき女将が季節の食材、料理、方言にまつわるよもやま話を綴っています。おまけレシピもありますよ。