【365日の魚介レシピ】梅雨時が旬のいわしを楽しまなきゃ〜入梅いわし七変化〜
毎日、ジメジメ、パッとしない天気が続き、梅雨って体調も優れないし、もう最悪〜と思っている人も多いと思います。なかなか乾かない洗濯物に囲まれておうちの中で過ごすのも、なんだかテンションが下がりますよね。
よしっ!と意を決してスーパーに向かうと、鮮魚売り場に並ぶ丸々と太ったピチピチのいわし。
梅雨の季節のいわしは『入梅いわし』と呼ばれ、産卵前で丸々と太り、脂が乗ってとろける食感が楽しめるのです。
いわしはDHAやEPAが豊富に含まれ、脳の活性化や血流改善、血圧や中性脂肪の低下など、健康効果もすごいのですよねぇ。
イワシ(鰯)の栄養価と効能 : 旬の魚介百科https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fish/iwashi2.htm
旬のお魚は安くて、栄養価が高くて、とても美味しい。是非旬の入梅いわしを色んな食べ方で楽しまなきゃ!!
いわしの下処理
さばくのは魚屋さんにお任せした方がゴミも出なくていいのですが、さばいて時間が経つとどうしても鮮度が落ちて生臭みを増してしまいます。出来ればさばきたてが良いのです。そんなに大袈裟な作業ではないので、いわしをさばくところからやってみませんか。
〜いわしのさばきかた〜
①まず、頭を切り落とし、お腹のところを少し切って、内臓を出します。
②お腹の部分を優しく洗います。(歯ブラシを使うと洗いやすいです!)内臓や血を綺麗にしたら、ペーパータオルなどでよく拭きます。
③頭を左にして手に持ちます。まず、右手の親指の先で、お腹のところから中骨の上を這わせるように指を尾に向かって滑らし、骨から身をはがします。
④次は左手の親指の先で頭に向かって中骨の上を滑らし、骨と身をはがします。
⑤片側が出来たら、まな板の上に置き、もう片側は尾の方の中骨の継ぎ目をポキッと折り、尾を押さえながら頭に向かって中骨をはがします。
⑥包丁で腹骨をそぎ切ります。残った目立つ小骨を骨抜きなどで抜き、下処理完了です。そのままお刺身にする時は、真ん中で切り分け、頭側から皮をむき、お刺身に切ります。
いわしのなめろう
いわしのお刺身を細かく叩いて、薬味と味噌と混ぜた漁師料理。小骨も気になりません。もしさばくのに失敗しても美味しいお酒のアテに昇華します。
さばいたいわしを細かく叩いて、一尾につき味噌小さじ1強、ネギ、生姜、大葉、などの薬味野菜たっぷりと合わせてさらに叩きます。
いわしのなめろうをハンバーグのように焼くとサンガ焼きという郷土料理になります。そのままだとばらけてしまうので、片栗粉を少し混ぜてつなぎにすると良いです。揚げるとさつま揚げのようにもなります。
いわしの酢〆
脂の乗ったいわしは酢で締めて、シメサバのように食べるのも絶品です。写真の左下は梅肉のせにしました。
①さばいたいわしをバットに並べ、満遍なく塩を振ります。そのまま冷蔵庫で30分から1時間くらい置きます。
②塩を冷たい水(出来れば氷水)で洗い流し、水気を拭いて、バットに戻し、ひたひたに酢を注ぎます。冷蔵庫で30分から1時間、酢じめにします。
③酢からあげ、ペーパータオルで押さえます。酢からあげたてより、少し置いた方が味が馴染みます。
酢味噌を添えてヌタにしてみました。
いわしフライ
お刺身で食べられる鮮度のいわしをあえてフライにしてしまうのはおすすめです。この時期のいわしはふわふわで本当に美味しいのです。
香草パン粉焼き
パン粉付けが面倒な時は、フライではなく、香草パン粉焼きにしましょ!
さばいて開いたいわしに塩胡椒を振って、オリーブオイルを引いたグラタン皿に乗せます。上からパセリとみじん切りのニンニクを混ぜたパン粉をかけ、オリーブオイルを振って、200度のオーブンやトースターで10分くらい、パン粉がきつね色になるまで焼きます。エルブドプロバンス(ミックスハーブ)やタイムなどを振ったり、タルタルソースをかけて食べても美味しいと思います。
いわしの南蛮漬け
いわしに片栗粉をつけてカラッと揚げます。オニオンスライス、にんじんの千切りに、出汁4:酢2:薄口醤油1.5:砂糖1(甘味は好みで調節)、鷹の爪1本を合わせます。いわしの揚げたてにかけてもよし、合わせて漬け込んでもよし、です。
いわしの梅煮
圧力鍋で煮たら骨まで柔らかく、普通に煮ても骨は気になりますが、それはそれで美味しいです。入梅いわしを梅で煮ます♪
①鍋に、水1カップ、酒1/2カップ、みりん、醤油を1/4カップずつ、砂糖大さじ2を入れて煮たたせます。②頭と内臓を除いて拭いたいわしをいれ、梅干し、生姜スライスを入れ、アクを引き落としブタをして、中火で15分くらい煮込みます。(圧力鍋で煮る時は、①で沸騰したらいわし、梅、生姜をいれ、ふたをして、圧力がかかったら5分加熱し、あとは火を止めてそのまま減圧しおもりが落ちるのを待ちます。)
梅煮のほか、梅と紫蘇を芯にして巻いて、天ぷらにするのも美味しいですよね!
いわしのオイル煮&パスタ
いわしのコンフィ(オイル煮)…下処理したいわしに塩を振り、ひたひたのオリーブオイル、潰したニンニク、あればタイムなどのハーブと共に80℃くらいに保ち、1時間くらいオイル煮にします。(写真は食べる前に少しグリルで焼きました。)
いわしのジェノベーゼ…パスタを茹でつつ、フライパンにオリーブオイル、みじん切りのニンニクを熱し、細かく切ったセロリ、骨を抜いたいわしのコンフィを入れて炒めます。パスタが茹で上がったら、茹で汁少々と共にフライパンにいれ、ジェノベーゼを入れてさっと絡めながら軽く炒めます。
シチリアには、いわしとフェンネルのパスタがあって、レーズンが入っていたり、カリカリパン粉がトッピングされているなど、香りも食感も味もこれがいわし料理?と思うほどのおしゃれさとおいしさです。
いわし入り冷や汁
冷や汁は宮崎の郷土料理ですが、暑さと湿気で食欲が落ちる梅雨時の今、サラサラと食べられて栄養も豊富なので、ぴったりだと思います!
すり鉢に白胡麻を入れて半ずりにし、焼いて骨を除いたいわし、麦味噌を入れてすり混ぜます。冷たい出汁を入れて溶き、(味噌汁より少し濃いくらいの濃度にして、)ざっくりくずした豆腐、薄く輪切りにしたきゅうりと茗荷をたっぷり、みじん切りにした大葉やネギを混ぜます。ご飯やそうめんにかけたりしていただきます。
いわし料理に魅せられて
子供の頃から大好きな、料理家高山なおみさんの料理本には、いわし料理がたくさん載っていました。しかも、ヨーロッパとかで食べられていそうな、空想がふくらむ料理ばかりです。ポルトガル風の塩、胡椒とオリーブオイルでシンプルに焼くものとか、マッシュポテトを合わせるとか、いつものいわしにこんなに可能性があるのかとワクワクしました。
イタリア料理店にいた時、イタリア料理、特にシチリアにもいわし料理があり、他にもスペイン、トルコなどでもよく食べられることを知りました。
今回、改めて見直してみたら、世界のいわし料理の種類の多さにすっかりいわしの虜になりそうです。食べさせられる主人は飽き飽きしちゃうかもしれませんが。
おいでくださりありがとうございます。 不器用な料理人、たぬき女将が季節の食材、料理、方言にまつわるよもやま話を綴っています。おまけレシピもありますよ。