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お惣菜の安心感。

このところ、山菜を取り寄せたり、いただいたりというのが多かったので、さっさと下処理しては煮付けにしている。冷蔵庫はお惣菜のタッパーでいっぱいになった。

最近、つくりおきおかずレシピの本をよく見かけるようになったけど、つくりおきおかずがあるとホント安心するし、重宝する。ゆっくり、時間がある時じゃないとなかなか仕込めないけど。

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緊急事態宣言や東京アラートが解除され、少しだけ活気が戻ってきた。

慎重に周囲を気遣って、仕事のスタイルが変わってきて、我慢してきた方が多いから、お客さん達は、飲める、外食出来るということが心底嬉しそうだった。

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少し、ほっとして、お客さん達に料理を作って食べてもらえる日常が戻ってきたありがたさで、仕事中なのに不意に泣きそうになった。

私達飲食店は、最大限気をつけながら、空いた時間で丁寧に仕込みをしたり、ワクワクする料理を考えたりして、お客様を待っている。

融資や協力金、給付金などのおかげで、営業が暇でも多少の心のゆとりも戻ってきた。この先もずっとと想像すると、怖くて不安でたまらなかっただろうから、ありがたい。

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それでも、ふとすると暗い顔になってしまう。そんな時の支えは食材に触れることだ。

社会が乱れていても、自然は図太い。時々脅威にもなるし、意のままにならない大変さもあるし、豊作や不作、大漁や不漁、動物達を襲う伝染病などに一喜一憂するけれども、季節が巡ることの安定感といったら。

心がザワザワしたら、食材に触り、料理をする。食材に向き合い、無心で仕込みをしていると、だんだん落ち着いてくる。

お持ち帰りのお弁当の隙間に色々盛り合わせたり、ちょっと立て込んでるときにお惣菜を仕込んであると、お通しにも使えて自分も助かる。なので、お惣菜のタッパーに溢れた冷蔵庫は安心感の固まりだ。

昔からの知恵や味の温かさはDNAに染み込んでいて、仕込んでる最中にちょっと味見しただけでも、ほっと心がほどける。

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先日、たけのこを使いきれないから、と農家さんが仕込んでくれた干したけのこを取り寄せてみた。戻し汁にも良い出汁が出ていたし、食感が独特で箸が止まらない感じだった。

食材を美味しく長く持たせる為に作り伝えてこられたお惣菜のレシピには、先人の食材と食べる人を想う愛が詰まっている。

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おまけレシピ

和食には『割』という、配合で大体の味付けをする習慣があります。

例えば、

天つゆ…出汁6:濃口醤油1:みりん1

これは濃いめの出汁なので、味をしっかり乗せたり、つけつゆにするのに向いている。また、べっこうあんという、醤油味の和風あんかけのベースになったりする。

八方出汁…出汁8:濃口醤油1:みりん1

だいたいの煮物はこの八方出汁で出来る。というか、八方出汁をベースに微調整している。

甘味を足したい時は砂糖をちょっと入れたり、薄味に仕立てたいときは、出汁8を出汁10にしてみたり、色を付けたくないときは、薄口醤油に変えたりする。薄口醤油は、濃口醤油より少し塩分濃度が高く、キリッとした塩気があるので、加減が必要なのだけど。

だから、ズボラさんでも大丈夫。大さじ、小さじより、お玉で○:1:1でまずやってみて、足りなかったら、醤油とみりんを1:1ずつ足して、濃かったら、出汁を足していくうちに、ちょうど良い割合に辿り着ける。

煮物は、あると安心だし、味付けも意外と気軽。

トップ写真の肉じゃがは、八方出汁に砂糖4割(醤油100ccに対して40gくらい)入れて、甘く煮付けてみた。

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※醤油とみりんを1:1で入れるのは、醤油の角をとり、味のバランスを良くするため。甘味を足したい時は砂糖を足す。逆に甘味の強めな野菜(新玉ねぎとか)を煮込むときは、甘さを活かすためにみりんや砂糖を入れる量を減らしている。

『和食は、引き算』て、きっと、こういうところ。

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わらびのアクがなかなか抜けない。汗

おいでくださりありがとうございます。 不器用な料理人、たぬき女将が季節の食材、料理、方言にまつわるよもやま話を綴っています。おまけレシピもありますよ。