![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/7756214/rectangle_large_type_2_592ba8ddab9b2aad6b01c88e8ab8483d.jpg?width=800)
【特集】もう一度観たい、やばいB級映画 第10回「ピノキオ・シンドローム」
人形を題材にしたホラー映画は古今東西かなりの数である。本作はそんな人形ホラーの中でも屈指のサスペンス性を誇っている一作だ。
題材をみてわかるように本作はあの「ピノキオ」の悪趣味なパロディと思われる、だが内容はかなりリアルで真面目なサスペンス映画だったりするのだ。
1996年当時、ハリウッドのニューラインシネマは何をトチ狂ったかわからないがマーティン・ランドーやウド・キアー、さらにはロブ・シュナイダーまで使って「ピノキオ」の映画化をした。これがまあ怖くて子供には受けず大コケした。本作はその亜流作だがこっちのほうが何倍もマシな出来であった。
あらすじはシングルマザーで子供を育てている女弁護士の元に依頼を引き受けた死刑囚のピノキオ人形が届く、後にする裁判の証拠品になるためだ。だが、死刑囚の男は「絶対に触ってはいけない!」と警告をする。
男はその人形にたたられて子供を殺してしまったんだ、と語るが女弁護士は半信半疑で信じていない。すると女弁護士の娘はそんなピノキオ人形を友人と呼んでかなり丁重に扱う。
ちょっと気味が悪い話だ。
結局、死刑囚は死刑になってしまい裁判に負けてしまう。女弁護士のほうも負けたこと自体は仕方ないと受け入れて次に向かおうとしたが、なんだかんだで人形は引き取ることになってしまった。
すると親子の周囲で娘に都合よくいじめっ子や女弁護士の彼氏が次々に死んでいく・・・。
おや、これはまずいですねえ・・・。さらに、娘は平気でピノキオと会話をし始める。
娘は狂ってしまったのではないか?ついにとうとうやらかしたか?と女弁護士は精神科医に娘をみせるが・・・医者は「何も問題は見当たりませんな。まあ、一種の成長みたいなもんでしょ。」って感じであしらう。
ところが、娘のほうはというとピノキオと文字通りお人形遊びしながら彼との関係に入れ込んでいく。女弁護士もだんだんこのピノキオがやばいものではないか?娘はたたられてるのか?と考えるが、とうとう悲劇は起きてしまう。
ここからネタバレ注意
突如、彼女が帰宅すると家が停電をしていた。さらに娘の面倒を見ていたメイドが殺されていた。弁護士に悪い予感がする。必死で娘を探す主人公。
すると、「アバズレェ~~~!!!殺してやるぞ!!!!」ナイフを持ちながら襲い掛かるピノキオ!!!
「ゲェ~~~~こいつ生きてたのかよ!!!」
逃げる主人公、追いかけるピノキオ!!!捕まりそうになるがなんとか返り討ちにしてピノキオを投げ捨てる女弁護士。こいつが今まで人を殺していたのだ!!!
だが、そこにいたのは・・・・なんと娘だった。
娘は精神鑑定に出される、だが母親は娘が無実と信じて疑わない。あしらわれる母親・・・娘はさびしく隔離病棟でおとなしくしていた・・・・だがその影はピノキオにうっすら似ていた。
というのが本作だ。
さて、ホラー映画というのは大体は恐怖の対象の実在性を主人公ですら疑うことでその異常さが引き立つものだが本作はそこらへんがかなりうまい。
何よりも本当に人形が呪われているのか、それとも主人公親子がヒステリーを起こしているのか全く理解できないのだ。だが一言だけいえるのは本作に出てくるピノキオは本当にひきつけを起こしそうなほどに怖いのだ。
さらにピノキオが動いていると思わしき場面は暗く、影を印象的に使っているので果たしてそれが本当にピノキオなのか娘がくるっているだけなのか。それはわからないままなのだ。
娘もピノキオのことを100%信頼してるわけではなく、母親の彼氏が殺されたあたりからピノキオを疑い始める。ここでピノキオが嘘をつくと影でうつっていた鼻がにょきーんとのびるのだ。
そして、ピノキオがしゃべるときは当時のセンスでみてもヘボいCGで口が動くのだがこのヘボさがまさに悪夢的で非常に気持ち悪い。
結局、最後まで謎は謎のままで終わり恐ろしい後味の悪さだけが残る映画だ。
だが一つだけ言えるのは本作のピノキオよりも恐ろしいピノキオ映画はある。それもまとめてレビューをしていこう。
1996年に制作されたマーティン・ランドー主演の「ピノキオ」だ。本作はしょせんファミリー映画だがもうこれが滅茶苦茶怖い。
まず、ピノキオをリアルに描きすぎだ。こんなもん見たら子供は発狂するぞ。さらにご丁寧にクジラに捕食されるまでのくだりをやらかすが、このクジラまでもがまた怖い。こんな狂った映画を本気で作ろうとした製作者のセンスを疑う。怖いから余計に感情移入ができない。本作こそホラーで売るべきだったのではないか。
本国では不評の荒らしだったが、続編が作られた。まあ観たい人だけみればいいのではないか。
次に紹介するのは「ライフ・イズ・ビューティフル」のロベルト・ベニーニよる「 ピノッキオ」だ。
痛いおっさんがコスプレをしているようでこれはこれで恐ろしい映画だ。一体、なぜこんなマニアックな映画になってしまうのだろうか。なお、ベニーニはこれでラジー賞を獲得した、おめでとう。
その後、2015年でフランスで「ピノキオ」が作られたそうだ。俺は観ていないが、みたところ毒にも薬にもならない映画のようだ。
総合的にみたら「ピノキオ・シンドローム」が一番マシにみえてくる。まあ普通に出来がいいのがみたいならディズニーのアニメでもみときましょう。
と思ったらまたピノキオ映画するそうですよ、俺はもう観たくないけど観たい人は観に行ったらいいんじゃないでしょうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?