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怪獣よりも恐ろしいのは人間ってこういうことなんだよ「大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン」

シン・ゴジラではドヤ顔でこんなセリフを石原さとみが言っていた「怪獣よりも怖いのは人間ね!」俺はこのセリフを聞いてなんて陳腐な映画なんだぁ・・・と絶望した。

アホかあ!?人間が怖い!?だった怖い人間を連れてこい!!!

というのも俺は本作で本当に怖い人間をみていたのだよ。昭和ガメラシリーズの最高傑作ともいわれている本作。結構すげえ映画だと思うよ。こんなヤバい映画を産んだ60年代の映画人たちはすごかったのだ。

あらすじは「大怪獣ガメラ」の続編なので、宇宙に放り込まれたガメラがよみがえって地球に戻ってくるところから始まる。だがガメラのことなどほぼ忘れていた人類は平和に日々を生きていた。

そんな中ジャングルの秘宝オパールをめぐって悪党たちが殺しあいながらオパールからよみがえった怪獣とガメラが戦うというのが本作だ。口から火炎を吐くガメラに対してバルゴンは冷凍の液体を放射しながら背びれから殺人光線を放射するのだ。これはいいコントラストになっている。

そして、本作に出てくる小野寺という男が本当にすごい。人間の悪意をこれでもかとみせている。主人公を裏切り、オパールを独占するために仲間を殺し、オマケに主人公の兄貴も殺してしまう。たかが宝石に執着しすぎだろ・・・。

ファミリー向けだったからあまりグロ描写はないが平気で人を殺し怪獣が暴れていてもオパールに執着する彼は本物の狂人だ。

本作が子供に受けなかったことを意識して湯浅憲明は「こんなの子供に受けないよ!」といってこれ以降、徹底して子供向けに徹するが、正直まともにみれるのは「ガメラ対ギャオス」ぐらいだ。ここらへんが昭和ガメラが所詮二番煎じで終わってしまった原因にみえる。

今では平成ガメラや本作は真面目に思い出されているが、「対ギャオス」以降は正直ガメラが逆上がりするシーンぐらいしか思い出されていない。まあ、それも仕方ない。子供向けに徹するのも考えものだ。

とはいえ、血を流しながら戦うガメラはゴジラよりもカッコいいんだけどね・・・。

同時期に制作されたゴジラは大人でも楽しめる映画だったのに対して流石に幼稚くさすぎたのだ・・・。そりゃ飽きるよ。

その後TV特撮やアニメに子供は惹かれ怪獣映画は一蹴されてしまう映画になっていった。ガメラもゴジラもそろって自滅したのだ。アーメン。

でもね、この映画はめっちゃ面白いよ。人間のエゴが当時の子供向け映画にしては割と露骨にでている。これ以降、宇宙人だとか子供の味方だとかコメディ描写を行っていった同シリーズは正直言って面白くない。

所詮当時の子供向けは、当時子供だった世代にしか受けないんだよ。

やはり、今でも思い返される映画というのはあらゆる世代に対して楽しませようとした映画だったり政治的メッセージが薄い映画だったりするのだ。

子供向けというのは幼稚を偽造するための方便ではない。子供をなめないほうがいいのだ。

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