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【特集】もう一度観たい、やばいB級映画 第9回  「リンク」

猿に関連した映画はやたらと多い、とくにアメリカは自分らどんだけ好きやねん!というぐらい猿の映画を多く作っている。

本作はそんな猿映画の中でもかなり面白い映画の一つだろう。

主演は後に大スターになるあのエリザベス・シューだ。彼女の若いピチピチのころがお目にかかれる、さらになんとヌードまで披露してしまうのだ。科学者役に「スーパーマン2」のゾッド将軍ことテレンス・スタンプだ。

というか本作キングコングのピータージャクソンやレジェンダリーのリメイクよりもはるかにオリジナルに近いのではないだろうか?というぐらいにそっくりだ。

あらすじの内容はシンプルだ、イギリスに住んでる老科学者の屋敷にアメリカから来た留学生のジェーンがやってくる。老人は類人猿の研究をしており執事として年老いたチンパンジーのリンクや小さいインプと狂暴なブードゥーを飼っていた。

留学生のジェーンに恋心を抱いたリンクは彼女を救うために狂犬を殺し、その存在感をアピールする。

ここらへんはオリジナルのキングコングにそっくりである。キングコングが恐竜に襲われたヒロインを救うために戦ったシーンの再現だろう。ここは驚いた。

だが、彼女は狂暴性を持ったリンクにおびえていく。そりゃそうだ。怖いわなあ。さらに風呂場でのぞきをして彼女の全裸をなめるような視線で見つめたもんでたまったもんではない。

冷静に考えれば笑えるが、まあ怖いだろう。

さらにジェーンは幼いインプばかりをかわいがるので腹の虫がおさまらないリンクに追い打ちをかけるように、科学者は冷たく「リンクはもう老いぼれだから殺処分しよう」といったことでついにリンクはキレて科学者や他のチンパンジーを殺していく。

オマケにリンクを引き取りに来たおっさんや心配になってジェーンの様子をみにきた彼女の友人たちまで殺してしまう。

ジェーンを監禁し、逃がそうとはしないのだ。

ジェーンは果たしてこの屋敷やくるってしまったリンクから逃げることができるのか!?という話だ。

大体、怪獣映画やアニマル系の映画は大きかったり強かったりする個体による破壊と殺戮を楽しむ映画だが本作はどちらかといえばリンクはあまり終盤まではあまり狂暴性を表に出さない。むしろ人間の服を着て人間であるかのようにふるまっている。

そういった慎重なタッチが本作をほかの猿映画と一線を博す不気味さをしている。確かに猿が執事をしているという光景は滑稽だが、よくよく考えるとこれほど怖いものはない。

しかし、リンクも哀れである。主人公のジェーンは極端に幼いインプばかりをかわいがり執務にいそしむリンクを「きもっ!」と蔑み時に怒るのだ。これはリンクもキレてしまうのは仕方ない。

インプとは一緒に寝て絵本を読んだり抱き着いてあげたりしているくせに・・・・。

本作ではどちらかといえば、あんなにかわいがっていたチンパンジーを冷たく殺処分しようとするテレンス・スタンプ扮する科学者のエゴや主人公ジェーンの独善性のほうが恐ろしいといえるだろう。

こういうところもオリジナルのキングコングにそっくりだ。

ネタバレをしてしまうと、さらにいえばオチまでそっくりだ。

最後に彼らが暮らした屋敷はジェーンの仕掛けた罠により炎上しリンクも転落死する。ここがなんとも哀愁たっぷりなのだ。結局猿は人間になれなかったのだ。

監督はリチャード・フランクリン、ほかには植物人間状態に陥った患者が超能力を身に着け看護婦を追い詰めるホラー「パトリック」、ヒッチコックの名作の続編だがやや好評な「サイコ2」などがある。

この映画以降はドラマの世界に行くが、あまりそこでは映画業界ほどの活躍はなかった。なんとも切ない話だ。

ちなみにさらにいうとなんと本作使っている猿のほとんどはなんと本物だ。

検索してみたらamazonでDVDが売っていた、かなり安いので早いもん勝ちだ。


こういう質のいい映画こそ映像配信サイトで流すべきなのに、一体netflixもアマゾンもなにをやっているのだろうか。呆れたもんだ、00年代までならどこのレンタル屋でもあったぞ。







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