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受験勉強で出会ったお気に入りの漢詩

漢文の勉強において漢詩の理解は重要なポイントですが、勉強していると色々と味わい深いものに多く出会います。

今回はその中でも、個人的に好きな漢詩を2つご紹介したいと思います。

王維『送元二』

一つ目は王維の『送元二』です。
原文や現代語訳、詳しい解説は上のリンクにありますので、適宜ご参照ください。

この詩は遠い地へ役人として赴任し、もう二度と会うことが出来ないであろう友人の元二との別れを、作者が惜しんで作ったものです。

私は来年で40になりますが、昔はしょっちゅう遊んでいた友人も仕事やら家庭やらで、めっきり会う機会が少なくなりました。

年に1回会うか会わないかというケースがほとんどで、健康寿命を考えると死ぬまであと何回お互い元気で会えるだろうなあと考えることがよくあります。

そのため、この詩の「君に勧む更に尽くせ 一杯の酒」のところが、いかにも別れが名残り惜しい感じがしてとても心に沁みるんですね。

「渭城の朝雨 軽塵を浥す 客舎青青 柳色新たなり」の入りの部分も、涙雨を思わせるような美しくも悲しい情景です。

この詩のように最後の別れがいつ来るかは分からないので、たまに友人や家族と会える時は、その時間を大切にして過ごそうという気持ちが年々強くなっています。


白居易『燕詩示劉叟』

二つ目は白居易の『燕詩示劉叟』です。
原文や現代語訳、詳しい解説は上のリンクにありますので、適宜ご参照ください。

この詩を簡単に説明すると、親の燕が一生懸命雛を育てているのですが、苦労の末やっと大きくなった子燕は、親を一切顧みず飛び立ってしまい、親燕は空になった巣を見て悲しみに暮れるという内容です。

詩の最後で、作者は親燕に「悲しんではいけないよ。お前も同じことをしていたんだから」と語りかけます。

「親の心、子知らず」とはこんな昔から言われていたことなんですね。

これを初めて見た時は、人の悩みや悲しみは時代や文化を超えて通じるものがあるなあとしみじみ感じました。1000年以上も前の詩なのに、今読んでも深く共感できるのですから、どれだけ鋭く真理を突いているかが分かります。

読んでいて同時に、親孝行しなきゃなぁとも思わせられましたね(笑)

『送元二』の方は教科書レベルの有名なものですが、『燕詩示劉叟』の方は数研出版の漢文のチャート式に載っていました。当該の本については以下の記事でご紹介していますので、興味のある方はご覧ください。

漢詩だけでなく、受験で勉強する漢文には訓話や逸話など面白い文章もたくさんあるので、また機会があればご紹介したいと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。


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