見出し画像

史上最低の平均点が出た伝説の2015年センター数ⅡB 悪夢の記憶

今年も共通テスト(旧センター試験)が終わった。

毎年この時期になると2015年センター数ⅡBの記憶が蘇る。


この年は私の東大受験1年目であり、センター数ⅡBで史上最低の平均点39.31が叩き出された伝説の年である。

当時の私は

・1年で東大に合格する
・完全に独学で合格する

の2点を目標に掲げて勉強に励んでいた。

東大合格の目安としてセンターは9割程度の得点(900点満点で810点くらい)が必要とされるが、順調に実力をつけ過去問で800点前後は取れるようになっていた。

一番苦手だったのが数ⅡBで、10年分ほど過去問を解いても80点くらいまでしか取れず目標には届いていなかったが、英語で満点が取れるのでその貯金を数ⅡBに回すという戦略でいた。


当然本番では何があるか分からないので、万全を期して直前には追試験(本試験よりも難易度が高いとされる)の過去問も3年分ほど解き、そちらも時間内に8割程度は取れたので、まあ大丈夫だろうと安心して本番に臨んだ。


そして1日目の文系科目を終えて翌朝に自己採点したところ、600点満点中535点。

ほぼ目標の9割は取れたので、大きなミスをしなければ大丈夫だろうと意気揚々と2日目に臨んだ。


最初の試験の数ⅠAは少しコケてしまい(結果は73点)やや意気消沈したが、まだ許容範囲のミスだったので気を取り直して次の数ⅡBに臨んだ。

通常センターの数学は大問の最初に簡単な計算があり、その値を利用して後の問題に進んでいくという形になっている。


が、さあ数ⅠAの失敗を取り返すぞと意気込んで開いた1ページ目の最初の設問(伝説の始まり)は以下のものであった。



第1問 
[1]Oを原点とする座標平面上の2点 P(2cosθ, 2sinθ)、Q(2cosθ+cos7θ, 2sinθ+ sin7θ) を考える。ただし、π/8 ≦ θ ≦ π/4 とする。
(1)OP=(ア)、PQ=(イ)である。

2015年センター数ⅡB本試験より



なんだこれは…

よーいドンの1発目で解くレベルじゃないだろ…


まさかこんな難しい計算から始まるとは思っておらず、ビックリして悪戦苦闘する。

結局10分かけたものの計算が上手くいかず、もちろんこれが解けないとその後の問題にも対応できないので、やむなくここは飛ばして次に進むことにした。


この時点で軽くパニックである。


そしてめくった次のページには、またも一発目からひねった形の問題が。


                             2015年センター数ⅡB本試験より



なんだこれは…

分からん…


やや冷静さを欠いた頭であれこれ試行錯誤する。が、焦りからかここも10分かけても計算が合わない。


前門の虎、後門の狼。
退くも進むも許されぬ地獄。


仕方がないので飛ばすことにした。
これで第1問は丸々スルーしたことになる。



ちなみにセンター数ⅡBの構成は(共通テストも同様)
・第1問(必答、配点30)
・第2問(必答、配点30)
・第3~5問(このうち2問を選択、それぞれ配点20)
となっている。


つまり私の数ⅡBはこの時点で70点満点になってしまったわけである。


しかも既に時間を20分も消費している。
ほぼパニックである。


次の第2問は少しは解けたが、あまり頭が回らないうえにここも例年よりもやや難しかったので、体感では10点分くらいしか解けなかった。


ここまで60点中10点しか取れていないだと…?


カイジの沼のごとく視界がグニャリと歪んでくる。


そして第3問の数列に進むのであるが、ここも例年に比べかなり計算が煩雑で半分くらいしか解けない。


80点中まだ20点くらいしか取れていないだと!?


ここで完全にパニックである。


私は普段ネットスラングは使わないが、この時はもう頭に

        \(^o^)/オワタ


の文字列しか浮かばなくなった。




そのままボロボロの精神状態で第4問を終えた。


第4問だけは割と易しめの内容であったが、もはや焼け石に水、後の祭りである。



次の理科の試験開始まで待ち時間が1時間ほどあったので、何とか気を取り直そうと参考書を開いてみるが、もう何も頭に入ってこない。


\(^o^)/オワタ が延々と頭を駆け巡る。



結局そのまま理科もあまり手ごたえがなく終わり、絶望的な気持ちで家路についた。


他の受験生も数ⅡBで同じように難しく感じたのか、会場を後にする受験生の顔は皆一様に暗く、ほとんど口を開くものはいなかった。


私は当時Twitterをやっていなかったが、界隈では数ⅡBの難易度の話題で大騒ぎだったと後から知った。


私の会場ではいなかったが、他の試験場ではあまりの難しさにショックを受けて試験時間中にすすり泣きをする子もいたとか…

さもありなんという感じである。



冒頭に述べたようにこの年のセンター数ⅡBは史上最低の平均点39.31だったのであるが、翌日自己採点してみると、なんと私の得点はたったの31点であった。


東大目指して9割取るって言ってて平均点以下とか… \(^o^)/オワタ

この年のセンターの結果


2日目の失敗が影響して合計は702点となり、東大合格どころか足切りすら危ぶまれる状態になってしまった。

東大はセンターの得点900点満点を110点満点に圧縮して二次試験の得点と合算するため、仮に足切りをクリアしてもセンターの失点を二次でカバーできるかはかなり怪しい。


こうして私は

・1年で東大に合格する
・完全に独学で合格する

の2つの目標のうち前者を優先し、地元にあった某通信衛星予備校の門を叩き、東大二次直前対策・国語と数学の2講座を申し込むことになるのである(外部の力を頼ったのはこの時だけ)。

この年は私が志望した文科三類は運よく足切りがなかったものの、やはりセンターで平均以下の点を取るような実力では合格できるはずもなく、結局東大に入るまで3年かかった。


ちなみに受験2年目のセンター直前にこの年の数ⅡBを解きなおしてみたが、それでも60点しか取れなかった。

2年目の数ⅡBは本番で78点だったので前年よりも力はついており、なおかつ当時とは違う冷静な心と一度解いたことがあるという経験をもってしても60点しか取れないとは、さすが平均39.31点だけのことはある伝説の試験である。


センターと比べて共通テストは文量が増え時間が足りないといわれるが、対策を積んでいる現役の受験生でも2015年数ⅡBはかなり苦戦するだろうと思われる。

興味のある方はぜひチャレンジしてみてほしい。そして当時の受験生の苦悶と絶望に思いを馳せてみてもらいたい笑





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?