【読書記録】三島由紀夫『青の時代』
この作品は1948年に実際に起きた、昭和犯罪史に残る「光クラブ事件」を題材に書かれている。銀座で高利の金融会社「光クラブ」を経営する東大法学部三年の山崎晃嗣が、暴利による物価統制令違反で検挙されて債務不履行に陥り、債務と債権者を残して自殺した事件である。(以下のリンクで詳しく特集されている)
主人公の川崎誠は合理主義を信奉し、他人を見下し、また他人から理解されることを拒む性格でありながら、真理や大学の権威を疑わなかったり、また自分なりの理論を打ちたてながらも恋愛感情や肉欲を