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海外の方が抹茶文化すごくないですか?MATCHAのポテンシャルについて。

ドイツに来て3ヶ月。

僕はカフェ巡りがクセになっています。

気がついたら目がカフェやコーヒーマシンに向きますし
お店の中に入れば舐め回すようにお店の内装から厨房まで見渡します。

前職の影響で、コーヒーから世界を見た方がわかりやすいといいますか‥
職業病と言いますか‥

そこから色々と自分の中で仮説を立てながら彼らがどんなビジネスをするのかを
想像したりすることが好きではあるのですが

最近思うこと。
ドイツにも日本と同じようにスペシャルティーコーヒーのムーブメントが存在しています。

ただ日本と明確に違うところの一つとして「抹茶ラテがあるかどうか」があります。

ドイツでコーヒーやドリンクに明確にこだわりを持っているお店の場合
確実に抹茶ラテがドリンクとして存在しています。

そして、想像以上に出て(売れて)ます。

日本でももちろん抹茶ラテを提供しているところはありますが
スペシャルティーコーヒーを謳っているものの
抹茶ラテが存在していないお店は正直かなりあります。

なんというか、抹茶の本場である日本だからこそ、逆説的に存在しないメニューなんだろうなとおもいます。

そして、先日僕は以下のお店をハンブルクで見つけました。

抹茶専門店。
しかも立地がハンブルク市内の中でもかなり家賃が高いところに面しています。

このエリアには他にも専門店があってそういうエリアではあるのですが
抹茶専門店のクセにそれなりに人がお店の前に座っているので
気になって妻と一緒に入ることに。

ここで僕はかなり衝撃を受けることになります。

※ここからかなり個人的なビジネス観を独善的に語ります。

結論から言えば、抹茶は僕の想像を超えるビジネスモデルとして
ものすごくポテンシャルのある商材だと思ったのと同時に
このGotchaというお店の経営モデル自体が
ビジネスとして優秀すぎるような気がしています。


店舗の内装

正直かなりピンク。

あかりでそう見えないですが、めちゃくちゃピンクです。私は前職の関係で入るのに慣れました笑。


カフェでいうと新大久保のコリアン系カフェ〜表参道のコンセプトカフェに近いい
イメージ。

ただし知っている中でイメージが一番近いのは清澄白河のTUTTOかその隣にあるPOSH。

https://www.instagram.com/posh.japan/

ターゲットが明らかに女性であること、健康・富裕層をターゲティングしている高級感がありながらポップな特徴のデザインをしているのが特徴です。

後述しますが、おそらくかなりあらゆるコストを圧縮できているように見受けられるため、初期投資の費用に回しているように見えます。

男性の方は理解が難しいかもしれない内装ではありながらも
店舗内が丸みを帯びていながら、ところどころにシルバーやゴールドを
イラやしくなく散りばめており、高級感も備えています。

落ち着きのある可愛いデザインで、SNSのスタジオとしても優秀な内装をしていると思います。

ハンブルク市内に同じように女性向けのお店(ワッフル・アイス)はあったりしますが、若い人たちが集まるお店のためかなり濃淡の濃いカラフルな内装で、やはりGotchaに関しては高級感がある落ち着いたお店の印象が強かったです。

ハンブルク市内にあるカフェWonder Waffel Hamburg。
人気チェーン店でカラフルな店舗とカスタマイズできるワッフルが特徴。

ドリンクのラインナップ

ドリンクは基本的に抹茶オンリー。
そこに色々と混ぜてカラフルなドリンクにするイメージです。

パッと聞くだけだとチープな印象に見えますが
抹茶は京都から直接仕入れており原料にはかなりこだわりを持っていること
抹茶ラテにするためのミルクはなんと合計八種類、しかも全てプラントベースミルクから選択して出すことができるというものです。

僕はアイスラテを注文しましたが、店員さんのおすすめでココナッツミルクを選択。シュガーレスで飲みましたが、これがまあ〜美味しい!

ココナッツミルクの甘味が抹茶の苦味を相殺した上で、抹茶の香りが綺麗に鼻に抜けていくとても良いドリンクでした。氷で薄まるのが勿体無いと思えたのは久々です。

僕が日本でアンテナを張っていなかっただけかもしれなかったですが
かなり驚きの組み合わせでした。

僕はカフェで抹茶ラテを飲んだりしたことはあるのですが、抹茶ってかなり濃い液体なのでミルクレベルだと抹茶のキャラクターが勝ちます。詰まるところちょっと苦いんですね。

ただココナッツミルクはそこがちょうどよく、かなり美味しく飲めました。
経験が少ないとはいえ、人生で一番美味しい抹茶ドリンクだったかもしれません。

また、日本ではなかなか考えられないような組み合わせもあったりするみたいで
抹茶レモネードなどもありました。
日本でもあるんですかね‥?


日本では逆にお目にかかれない組み合わせはとても興味深いと感じました。

また、プロダクトが内装とよく合う。SNS映えしやすいし抹茶自体のブランディングをきちんとしようとしているのをお店全体で感じます。

高級感がありながらもポップな感じに見えるのがすごいところ。
普通にハンブルクに来た時にあえて来るのもいいのではないでしょうか?

商品としての抹茶

Gotchaの抹茶は京都から直接仕入れている商品みたいですが
ほぼ全ての商品をOEMにして販売しているみたいですので
どこかの商社に一括で頼んでいるのだろうな〜という感じです

これで大体1万6000円くらい。抹茶本体は30gで7500円くらい
一回で2g使用するらしいので、一杯500円換算。高い!笑

ただ、今回僕が飲んだ抹茶ラテ、普通にドイツなら家で再現できちゃうんですよね‥
これがすごいところで、コーヒーだと再現するのに無限の努力を要します。

おそらくですが、このGotchaで提供されるドリンクを全て家で再現するために機材を整えるのに15万円もかからないんじゃないでしょうか?

このセットに加えて、ホイップを作るためのミキサー、フォームドミルクを作るためのミルクフォーマー。ソーダ水を作るためのソーダストリーム等
どれも家庭用品としては一般的でそんなに費用のかからないものばかり。
素晴らしい。

いや、でも抹茶でそれだけするの高くね?そう思うかもしれませんが
コーヒーマシンなら平気でその値段超えてきますので、初期投資がかなり低いな。
というのが個人的な所感です。

それで、消耗品である原料が高い。これがビジネスとしてよくできてる気がする。
お店の味がこれだけ簡単に再現できるのなら、多少原料が高くても真似したくなるでしょうからね。

コーヒーはやっぱり牛乳が大前提にある上でオルタナティブミルクが発達しましたが、海外での抹茶に関してはまだそこまで牛乳が大前提ではない。というかそんな文化はない。日本は元々抹茶だけで飲んでたんだし。

ここに着目して逆に牛乳での提供がお店でないところも、後述するオペレーション面というところからも素晴らしいところだと感じるのです。

オペレーション

ここが一番素晴らしいところです!
まずこのお店はドイツの一般的なカフェから考えると非常に小規模です。

店内の席数はやく10席程度。
そして外には4席程度しかありません。
ドイツのカフェやレストランは夏の時期いかに外に座る席があるかが
売り上げにそのまま直結します。

そしてドイツの人件費は鬼です。めちゃくちゃ高い。
しかもこのお店の立地。富裕層が多いところのため
かなり土地代も厳しいはず。

それでもうまく回せるコツが多くあるように見えます。

まず第一に店舗の内装以外の初期コストがあまりないと思われるところ。
もちろん厨房設備としてコールドテーブルなどは置いてありますが

そもそものメイン商材である抹茶を作るための機器機材はめちゃくちゃ安い。
他のレストラン業態やカフェ業態に比べれば規模に対して半分以下の投資で済んでいるのではないでしょうか?

そして消耗品である食材ですが、これプラントベースのミルクを選んでるところがものすごく良くて、要は賞味期限とか気にしなくていいのと、常温で保存できるんですよね。

牛乳にも常温で保存できるものはいっぱいありますが、味が結構変わっちゃうので嫌う人が多いんです。

なのでカフェでは基本的に冷蔵保存しないといけないタイプの牛乳を確実に用意しています。
そうすると冷蔵庫に入れる必要もあるし、日々の売り上げから数量も管理しないといけないしで大変なんです。ロスも出やすい。

でもプラントベースミルクなら遠慮なくストックルームにおける。
廃棄のリスクが非常に低いので、何種類も用意していても十分採算が取れる仕組みなのでしょう。

さらに抹茶自体もいったいどういう形で輸送されるのか不明ですが
コーヒーなどと比べて、1杯2gで済むであれば1パックにおける輸送コストも軽くて済みます。2kgのコーヒー豆はMAX大体100杯程度ですが、2kgの抹茶は2000杯も販売できるのです。
メインの原材料のどれもがビジネスとして非常に効率の良い形態をしていると言えると思います。

僕はこの仕組み普通にフランチャイズや多店舗展開するとして非常に良い仕組みだと思います。

抹茶という商材にものすごい大きなポテンシャルを感じました。

ただ、一杯6ユーロ(1,000円)くらいで、適当なケバブが食べられる値段と考えると富裕層あたりがターゲットでしょうからブランド価値を下げないために自分たちで管理して多店舗展開するというのもあるのでしょうかね?

SNSでの戦略

このGotchaを作った人、ドイツのインフルエンサーのようです。

https://www.instagram.com/jessideoliveira/

しかも130万人もフォロワーを持つすごいモデル?のようです。

彼女自体がものすごい広告塔のため戦略がすごいのは当たり前かもしれませんが
やはりというかSNS戦略がこのGotchaにも散りばめられています。


まずお店の内装がSNS向きであること(ただし、SNSマーケティングの本場である韓国のカフェと比べるとあともう一工夫足りないと思います。一般人を広告にするという最後のフェーズの仕組みがない)。
彼女自体が広告塔として機能しているのに加えて、#dontspilltheteaというものをつけています。
ハッシュタグ自体は非常に重要です。
今後のビジネスを考えた場合、独自のハッシュタグを入れることで一度でもこのハッシュタグを調べた人は情報がタイムラインに乗りやすくなります。

今は1店舗で激しくSNSを投稿しているわけではないですが、
店舗を増やしたりしていく過程で必ず入れておけば、そのハッシュタグでの優位性が担保されるようになりますし、このGotchaを好きになった人や、家での消費をする際にハッシュタグをつけてくれれば御の字です。

初めから韓国カフェっぽいなーとは思っていましたが、まさかSNSのインフルエンサーが手掛けているお店だとは思ってなかったですね。

総括

総括すると、このGotchaはビジネスとして出来上がりすぎているような気がします。
ドイツでどれだけの広がりを見せるかは知りませんが
僕がいっちょがみできるのであればまず表参道に
フラッグシップショップ立ち上げて
即座にフランチャイズの仕組みを構築して世界展開させると思います。

この形は間違いなく表参道の消費者層とマッチするので
まず売り負けることはないと思います。
しかもフードロスが少ないので、ほとんど赤にならないように運営するだけでOK。
そこからフランチャイズ化で何店舗か増やしていき
日本で売れたことを商材にしてアメリカや韓国など
世界的に広げる。
そして抹茶をとにかく家庭用とフランチャイズ販売で捌く!

という妄想ができるくらい、このお店は面白かったです。

僕はドイツに来てから色々と日本のことについて考え直すようになりましたが
ここまで日本特有の商品にポテンシャルを感じたことはありませんでした。

ドイツ人特有のエシカル消費や日本人のような固定観念がない状態で
素直に抹茶に向き合ったからこういうお店ができたんでしょうね。

ただ、マシン屋さんから言わせると、抹茶を点てるあの作業、自動化できないのでしょうか?
ここだけが気になってしまいました。
他のカフェでもそうですがなんで抹茶を点てるのにいまだに茶道具を使っているのでしょうか?
おそらく今まで誰もマシンを作らなかったのは杯数が出ないのと何か人の手がないと味が再現できないところにあるのでしょうが

正直これだけ需要があってビジネスチャンスがある市場に対して不自然にも思えてしまいます。

僕が知らないだけな気はするのでしばらくは興味を持って調べてみるようにしますが
こんなに抹茶が面白い世界だとは思いもしませんでした。

最後まで読んでくださった方、何か抹茶についてわかる本とかおすすめの抹茶情報があればぜひ教えてください!!

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