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書評:河野裕

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河野裕作品の書評(というか読後感想)纏めてます。 読後なのでネタバレ大いにあります。
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記事一覧

きみの世界に、青が鳴る(初回読後感想)

世間的に評価されるなにかに何一つ合致しているとは思えません。
世界観、キャラクター造形、リアリティ、テンポ、恋愛描写……。
私の大好きな、明度の高い美しい世界です。
でも私はその世界が美しさにごまかされた死体の山のようなザラリとしたものと感じました。
ここまで書いていますが一つもけなしてません。素晴らしい作品でした。
その素晴らしさを評価し、他人に伝える指標が私の中に無いだけです。

端的に言えば

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レビュー 夜空の呪いに色はない (新潮文庫nex)

なんか読んでなかったことに気付いて夜空の呪いに色はない読了。
どうするんだこの話。
この話ってつまり自分とは何かを終始語ってるんだけど今多分自分とはどう有るべきかに変わったような気がする。
系譜としてはサクラダリセットの続編な感じがしてたけどどちらかというとそれはウォーターアンドビスケットのテーマの方ですね。
サクラダリセットは世界とはどうあるべきかのお話で階段島は自分とは何かって感じ?ケイは変わ

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レビュー つれづれ、北野坂探偵舎 物語に祝福された怪物 (角川文庫)

個人的にはかなり好きだけど雑と言われても仕方ない出来では?
少なくとも私は初めてこの作家を読むって人にこの作品、シリーズはおすすめできません。
シリーズ通しての感想は「あれ、話と違わない?」って気持ちです。

大きな二本のストーリーのうち、一本が伏線貼って貼って投げっぱなしで終わってた感じ。
でもこの作家の素晴らしいところは多分このもう一本の投げられなかったストーリーのほうで、結局の所サクラダリセ

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レビュー 凶器は壊れた黒の叫び(新潮文庫)

ーもう。
この人の作品は小説って言うよりポエムですよね。
本来あるべき思考のない人間がここまで揃ってるとこの人の考える世界ってのは恐ろしく純粋なのかこの人が恐ろしくひねくれてんのかわからん。
この人物造形に一定程度のリアリティを持たせるあたりがやばい。
何か最近誰も悪人の居ない優しい世界の話を癒やされるーって読むことが多いのだけど、この人の話は誰も悪人は居なくて全員が自分の正義を信じてるのに噛み合

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