レビュー つれづれ、北野坂探偵舎 物語に祝福された怪物 (角川文庫)

個人的にはかなり好きだけど雑と言われても仕方ない出来では?
少なくとも私は初めてこの作家を読むって人にこの作品、シリーズはおすすめできません。
シリーズ通しての感想は「あれ、話と違わない?」って気持ちです。


大きな二本のストーリーのうち、一本が伏線貼って貼って投げっぱなしで終わってた感じ。
でもこの作家の素晴らしいところは多分このもう一本の投げられなかったストーリーのほうで、結局の所サクラダリセットとかと一緒で私が好きなのはこれなんだけど。
普通にこのシリーズ読んて最終巻これです!って読んでこの完結なら「はあっ!?」ってなる。
でも私が好きな作家感は出てた。ので個人的にはとても好きです。評価が難しい。

結局の所この作家は多分自分にとって美しい価値観が書きたいんだと思ってて、私はこの作家の提示する美しい価値観が好きだからどんなストーリーでも提示する価値観が美しければ許容するんだけどそれはそれとして投げっぱなしでストーリーないがしろにしすぎじゃないって感じ。


このシリーズは一般向けでやろうって感じで独特の価値観が出せなくて良く出来てるように作ってる感じだったけど、最後の最後で提示された価値観が私の共感する美しいものだったから。

私はこの人が美しいと感じることを美しいと感じてると思ってて、でも評価されないだろうと思ってたので(今ではアニメ化もして押しも押されもせぬ人気作家だと思いますが……。)一般向けに転向したのを少し悲しく思いながらも売れるためだと思って見守っていたのに、全て台無しにされて
「私の好きなあなただけどそれじゃ駄目だと思ってたんじゃないの?」ってのに尽きます。

重ねて書けば今ずっと支えてたダメ男(比喩)がずっとわかる人にだけ分かってくれればいいんだってコアな作品書いてたのに
「俺、こんなんじゃ駄目だ。売れる作品書くよ」
って言い出して、寂しいけどそうしたいなら仕方ないねって思ってたのに、出来上がったのがコアな感じであれ?話と違くない?って気持ちです。


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