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白いカラス(9) ー覇権国家ー

 「防衛費倍増の5兆円を、教育、年金、医療に向ければ国民の負担は減る」  東京新聞


悪構造

東京新聞は、なんとしても、改憲の目的をあいまいにして、憲法9条を真空状態に置いておきたいんでしょうね(笑)。

改憲の目的を不明確にしておけば、合意を得られることはないとばかりに、誰も反対できないであろう「教育、年金、医療」問題と「国防」とのトレードに打って出たと思われます。


ホルスト・リッテルとメルビン・ウェバーは「問題は何か、原因と結果にどのような関係があるかが明確ではない」ことを「悪構造」という概念で表しました。

「軍事力強化」と「平和」の因果関係については、特定したり、構造化することは一筋縄ではいきません。
なぜなら、「平和」であることは、他国の経済や国防意識などと相互に関連していて、過去の動向から結果を見通すことができないから。

悪構造に対しては
(1)問題を分離・分割して、分割された範囲で解を見いだす
(2)問題に対して斬新な解法を生み出す
(3)漸進的な増分主義
――という対応が提唱されているのですが、

憲法9条改正に当てはめて考えると、
(1)については現実的ではありません。
(3)は時間的に間に合わない可能性があるので、これは不向き。

現実的なのは(2)ですが、これには、リスク(大きな副作用など)への対応が争点となります。

難事件は悪法を作る」でしたね。
これぞ、小さなリスクを並べ立てて原則が成り立たないようにするの術、あるいは、「木を見て森を見ず」の術ですかな(笑)。


https://note.com/gashin_syoutan/n/n7ad1c739edec?magazine_key=m15762e7bed52


東京新聞の捨て身の(笑)命より健康が大事」作戦に賛同できる日本人が、どれほどいるのか気になるところですねぇ。

    ◇      ◇       ◇       ◇

排中律


「宗」は根本・本源という意味で、英語の religion はラテン語の religio(ものを結びつける)に由来します。
語義からすると、宗教は本当のことを教えてくれるものであり、自分と真理とを結びつけるものでなければなりません。

世界秩序の変化に反応が鈍いという点では世界一といっていい日本人。
そりゃそうでしょう。
だって、「侵略されたら米国に守ってもらえるという『現世利益』が約束された宗教」=憲法9条を信じて80年近く経つのですから。

でも、今回のウクライナ侵攻で、ようやく日本人も、その宗教を、やみくもに信じたり、のめり込んでしまうのは危険だ、とわかっちゃいました。

宗教
といえばキリスト教、キリスト教といえば排中律です。

排中律:
同一主語には同一客語を肯定するか、否定するかのどちらかであり、他の選択肢は認めないということ。
要するに、ものごとを二項対立で捉え、「あなたは、2つのうちの、いずれかを選ばなければならない」です。


「自衛できる国になること(悪魔を崇拝する)」か
「自衛すらしない国であること(神を信じる)」の
どちらかを選べというのが、改憲反対派の掲げる排中律

冷静に考えれば、「国防」と「悪魔崇拝」がイコールになるって、不可思議ですよね。
これもまた、「木を見て森を見ず」の術ですね。

どうです、排中律悪構造の組み合わせ、最強でしょう(笑)。

仏教には本願誇(ぼこ)りという言葉がありますが、これは自分は救われた立派な人だと自分を誇示する人のこと。


https://note.com/gashin_syoutan/n/na0f3c55b540f


根拠も希薄なまま排中律でもって改憲反対誇(ぼこ)りされてもねぇ(笑)。

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真のリスク


企業家(アントレプレナー)が保険がかけられないから挑戦をやめたって話など、聞いたことないですよね。だって、「積極果敢に不確実性に挑戦する=リスクに挑戦する」のが企業家(アントレプレナー)なんですから。
彼らは、「アニマル・スピリッツ」(animal spirits)=「血気」の持ち主であり、「イノベーション」(innovation)を行う活動的人間です。
リスクを承知の上で創造やイノベーションをなし遂げたからこそ、企業家(アントレプレナー)と呼ばれるのです。



みこちゃん
のコメントにあるフランク・ナイトは、「計測不可能なリスク」 こそが「真の不確実性」であり、それには保険がかけられないと説きました。

まさに、安全保障・国防議論なんて保険がかけられない「計測不可能なリスク」 「真の不確実性」についての議論なんです。
言うまでもなく、軍事力を持つことが目的ではありません。目的はあくまでも「国防」です。

身近にもおられました。

「改憲し、国民主権を放棄したい(させたい?)という人たちがどんな思想を持っているのか理解したいと思っておりましたが、十分理解できました」

オイラの記事へのコメント

とのコメントを残して、去って行った人が。

論理的に考えれば、「改憲」から「国民主権の放棄」は帰結しません。
それなのに、オイラを「十分理解できた」とは、はてさて・・・。


以前にも書きましたが、軍事力は政治的な目的達成、国益保護のための手段であり、安全保障は国益のうち経済・福祉といった副次的利益(other interest)よりも優先順位の高い死活的利益(vital interest)です。

vital interest の vital を辞書でひくと、「生命の維持に必要な、命にかかわる、きわめて重大な・重要で」とあります。

つまり、「改憲」から「国民主権の放棄」が帰結するのではなくて、「国の生命維持の放棄」から「国民主権の放棄」を帰結するのです。


不確実性の高まりの中」で意思決定の基準とすべきは、「国の命= vital より健康(国民主権)が大事」という宗教の教義ではありません。
軍事力が過少で、他国からの侵略の脅威に晒される= vital でない国となって経済が崩壊すると、福祉はもちろん、教育の受益者ではいられなくなるという現実から目を背けてはいけないのです。


     ◇      ◇       ◇      ◇


パクス・アメリカーナ


覇権(ヘゲモニー、hegemony):競争に勝って第一人者となった者の権力。

覇権国家の存在が国際政治の安定化をもたらしてきました(覇権安定)。


第一次世界大戦までの国際秩序体制が「パクス・ブリタニカ」(英国のパワーによる平和)。

第一次大戦が起こった当初、アメリカは和平の道を模索していました。
なぜなら、貿易相手が戦争に巻き込まれたら、国益が損なわれるから。

それが、なぜ大戦末期になってから参戦したかというと、自分の裏庭とするカリブ海に浮かぶイスパニョーラ島を二分するハイチとドミニカにドイツが干渉し、植民地化する動きを見せたから。

戦後、世界一の工業生産国、そして世界最大の債権国になった米国のウィルソン大統領が国際連盟の設立を含む集団安全保障の提言を行ったのは、単純に世界平和を願っていたからではありません。
戦争ができない体制にすれば、「アメリカが覇権を握ることができる」というのが、戦争抑止のための国際会議や軍縮条約参加の本音。

一例をあげれば、アメリカがワシントン会議で日英同盟の解消と日本の中国進出を制限したのは、新興国日本がアジアで存在感を強めることに警戒心を抱いていたから。

その結果、第二次世界大戦で日米対決が行われ、戦後は「パクス・アメリカーナ」の時代に。

では、覇権国となったアメリカの心境の変化を辿ってみましょう。

戦後の日本は米国の「完全支配」から「選択的関与」の対象とされ、現在は「オフショア・バランシング」になろうとしています。
オフショア・バランシング」とは、同盟国の安全保障に係る負担を、各国とシェア(分担)するのではなく、日本にシフト(移動) しようとしているということ。

上述の「侵略されたら米国に守ってもらえるという『現世利益』が約束された宗教」=憲法9条」の意味は、覇権国アメリカによる「完全支配」の時代に起草されたのが、憲法9条ということです。

信じたくない人もいるでしょうが、戦後の日本が飛躍的な経済発展を遂げることができたのは、覇権国家アメリカによって構築・維持されている国際体制の中で、孤立に追いやられることなく、円滑な経済活動を行えたから。

そして今、「安全保障に係る負担は自分でしなさいよ」とアメリカが言っているのに、「完全支配されていた時代の遺物である憲法9条」にしがみつくというのは、どう考えても現実的ではありませんよね。

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一帯一路と債務の罠


戦後、日本被支援国の利益を優先した経済協力を通じて東南アジア各国の国づくりに貢献してきました。

一方、中国はといえば、自国から資機材や設備を調達することを条件とするひも付き援助
一帯一路が一体、何をもたらしたかといえば、それは「債務の罠」。


一帯一路
:中国と中央アジア・中東・ヨーロッパ・アフリカにかけての広域経済圏の構想。

スリランカ政府が中国マネーに頼って建設した南部のハンバントタ港。
開港したものの赤字が続いたため返済に行き詰まったスリランカは中国の国有企業に99年という長期の経営権を譲渡。
いわば借金のカタとして中国は、インド洋の真ん中に戦略的な布石を打つことに成功したってわけ。
これが俗に言う債務の罠

結局、スリランカの大統領は逃亡する羽目に。

一見すると主権を持つ独立国に見えたスリランカですが、結局のところ中国政府の経済援助に頼っている経済植民地でしかなかった。

ここから透けて見えるのは、「軍備をもたない小国が、独立と平和を維持できている」イコール「地政学的に経済植民地にする価値さえない」ってこと。

https://note.com/gashin_syoutan/n/nc7fad60b0dd5


「地政学的に見て経済植民地にする価値さえない」軍事力を持たない小国を例に、「日本が自由と平和を守るための選択に示唆を与えてくれる」というのは「幻覚・幻想・妄想・お花畑」でしかないですよね(笑)。


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第3種過誤


憲法9条の改正議論がかみ合わないのは、マス・コミの報道しない自由と、感情やイデオロギー、プロパガンダによって形成された世論=宗教、そして排中律悪構造の効果、そして、パクス・アメリカーナの意味を知らないからだとわかってきましたね。

経済学では自己の経済的な満足を最大にするように行動するという効用最大化の原理がありますが、生身の人間は価値を最大化したり、唯一最善の方法を追求しようとして行動するわけではありません。
むしろ、「用が足りる方法、満足できる政策が一つ見つかった時点で、それ以上の探求をストップ」するプラグマティックな生き物。

それは予算編成を見ればわかります。
前年度予算を元にどれだけ上積みするかを考える増分主義がそ代表。
前年度の実績に付加的な修正を加える増分主義では、煩雑さを避け、コスト削減できる一方で、行き過ぎると既定の経費が既得権化し、見直しが不十分となってしまいます。

プラグマティックに「パクス・アメリカーナが今後も日本を守ってくれる」という間違った現世利益が一つ見つかったからといって、それ以上の探求をストップしてはいけません。

間違いを訂正することなく、正しい定義としたままでいるととんでもない結果を帰結することに(第3種過誤)。

https://note.com/gashin_syoutan/n/n45062dde4960



ウクライナ侵攻を目の当たりにした日本国民の多くが、安全に暮らすためには憲法9条の改正が必要だと感じているのですが、第3種過誤を避けるためには、憲法解釈の増分主義ではなく、憲法9条の正しい定義への仕切り直しが不可欠ということなのです。


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覇権なき時代


1989年の冷戦終結以降、米国の非介入主義インテリジェンス能力の低下、すなわち権力的な管理主体不在の「覇権なき時代」の到来です。

アメリカが世界の警察をやめた最大の理由は赤字財政の再建。

「多中心的な体制」がいかに国際社会を不安定にするかは、中国による南シナ海や尖閣諸島の領有権問題を見ればわかります。

ASEANとの合意を破って2013年頃から中国はスプラトリー諸島の岩礁を埋め立て、軍事拠点化を進行。2016年には地対空ミサイルを配備。

さらに、中国は台湾海峡や南シナ海での軍事緊張を高めるだけでなく、今まで地政学的に経済植民地にする価値さえないと思われた太平洋の複数の国々に経済協力を約束し、フィジーでは域内の10カ国とオンラインの外相会合を開きました。
軍や治安の体制が乏しい国々が多い南太平洋で、協定が結ばれれば、各国の統治に中国が大きな影響力を持つことになります。


これに米豪が強く反発する理由は、太平洋戦史を彷彿させるから。

旧日本軍は1920年代以降、太平洋でいずれ米国と戦争になることも想定し、南洋群島に軍事戦略の拠点=太平洋の中央に『沈まない空母』を築き、米本土とハワイから来襲してくる米艦隊を逐次、撃滅する作戦を想定しました。

予想通り、日米が開戦すると、日本軍は南洋群島を足場に、米国の要衝であるグアム、豪州の委任統治領だったラバウルを占領し、南方作戦の要所にしています。
日本はさらにソロモン諸島のガダルカナル島を支配し、米豪を分断しようとも試みたのです。

中国の狙いはアメリカに台湾から手を引かせると同時に、太平洋に複数の前線拠点を設けること。
そうすることで、平時から米国と同盟国の軍事活動を監視し、海洋の動向を把握できます。

中国人民解放軍が勝手に想定した島嶼線が第一列島線
太平洋や東シナ海に進出するにあたってのチョークポイントが南西諸島
その西端に位置するのが尖閣諸島であり、ここが太平洋に出るための扉となります。
このライン内で制海権を握れば、米空母、原子力潜水艦が太平洋を越えて南シナ海・東シナ海・日本海に侵入するのを阻止でき、米国と豪州を結ぶシーレーンも脅かすことが可能に。


シーレーン制海権の重要性はすでに説明しましたね。

https://note.com/gashin_syoutan/n/n14fd1b25fbdd


尖閣諸島も日米安保の対象
になるとアメリカが正式に表明したことの意味の大きさがわかりますか?
沖縄に在日アメリカ軍がいる限り、中国は不用意に手出しできないのです。

それなのに、沖縄から米軍基地をなくせという人たちがいます。
言うまでもなく、彼らは日本人を受益者として考えていないことは、明らかですよね。

    ◇      ◇       ◇       ◇

脅威


脅威:主体(国家・非国家主体・個人)に危害・損害を与える(可能性のある)「意図」と「能力」。


あえて<2014年の記事>を引用します。
今、起こっている現実と照らし合わせてみてください。

中国の軍事費は名目額だけでも過去25年間で33倍に膨張
・・・・中国が対米核抑止力を強めたことで、米国との対立が核戦争にまで激化する危険が減ったと踏み、それによってかえって「通常戦力をより気軽に使えるようになると考えている」と警鐘を鳴らした。

ソ連崩壊後の混乱で弱体化したロシアの軍事力は、プーチン体制下で着実に回復しつつある。2012年以降の10年間で約23兆ルーブル(約70兆円)を投じ核や海空戦力を増強する計画で、冷戦時代のような米国との「対等な関係」に戻りたいようだ。
・・・・・

日経新聞

相手方が我々に悪意(意図)を持っていても、軍事力(能力)が伴わなければ「脅威」にはなりませんが、8年前の時点で軍事力を33倍以上にしてきた国がある現実をどう捉える?

まあ、改憲反対の人々には不都合な真実でしかないでしょうけどね(笑)。


    ◇      ◇       ◇       ◇

事実誤認と証明可能な命題


世の中には、正しく宗教に向き合おうともせずに教義を鵜呑みにして聖人面をする人がいます。

世間では「事実を誤って認識すること」「物事を実際とは異なる内容と理解すること」を事実誤認と申します(笑)。

森友・加計、桜…「負の遺産」真相不明のまま 安倍元首相が死亡

                        朝日新聞digital

事実誤認を鵜呑みにしている人を、みこちゃんがおもしろおかしく紹介してくれていました。

https://note.com/mikochan/n/nc17196af3706?magazine_key=mfeb3ee3bae65


すでに証明された命題から、推論によって論理的に導くことのできる命題を証明可能な命題と呼びます。

「核を放棄し、海軍を解散状態に追い込まれた」ウクライナが、ロシアに侵攻された事実から推論によって導くことのできる命題は、非武装中立が非現実的なキレイごとにすぎないということ。

事実誤認したまま「自衛隊の存在が戦争抑止力となっていない~自衛隊は存在矛盾だ」と入力しても、「わが国の平和と民主主義は守られる」という出力など出てこないことが明らかに。

https://note.com/gashin_syoutan/n/n6dcae8cf6dcc


「自衛隊は違憲だ」
と言ったかと思えば、
奈良県が誘致を進める陸上自衛隊駐屯地に反対するチラシに「陸上自衛隊は『人殺し』の訓練」などと記していたり、
共産党の藤野保史(やすふみ)政策委員長(当時)などはNHK番組で防衛費を「人を殺すための予算」と発言。

     ↓


「憲法9条があれば他国から侵略されない」

     ↓



挙句の果てに
「憲法9条をウクライナ侵攻と関係させて論ずるならば、仮にプーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が憲法9条なのです」
って、言い出す始末。

もう、「教義」の解釈がブレブレ(笑)。



https://note.com/gashin_syoutan/n/nc731b1a5b092


「確固たる世界観がないまま宗教
にのめりこむ=事実誤認のまま訂正できない」でいると、後でつじつま合わせに苦労するっていうお手本ですね。


    ◇      ◇       ◇       ◇


覇権国家

6月下旬、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海にとどまっていた中国海警局の船2隻が相次いで領海外側の接続水域に出ました。我が国の領土への連続侵入は64時間となり、2012年9月の尖閣国有化以降で最長となりました。

かつて鄧小平は、国際外交において「爪を隠し、才能を覆い隠し、時期を待つ戦術」=韜光養晦(とうこうようかい)を唱え、国際協力を重視するポーズをとっていました。
その頃の中国は貧しかったわけですし、世界は中国を脅威とは捉えていませんでした。

でも、経済力をつけ、軍事力を年々増強した結果、「爪を隠す必要がなくなった」結果が戦狼外交です。

脅威ですよね。

戦狼(せんろう)外交:2017年頃から、中国は攻撃的な外交スタイルに戦術を変更。中国のアクション映画のタイトル「戦狼」からのネーミング。
華僑に対しても、国家への忠誠より民族への忠誠に重点を置くように仕向けています。


これまた、自国の思惑通りに動かない国に対しては、経済的な圧力をかけちゃいます。

オーストラリアのCovid-19の起源調査要請に対抗して発動した豪州産牛肉禁輸措置や、韓国のTHAAD配備への制裁として中国人の韓国観光旅行停止など。

さらに、

中ロ、日本周辺で軍事行動2.5倍 ウクライナ侵攻後増加



衣食が足りてくると、「生活の質」やライフ・スタイルの見直し、そして高齢化社会における福祉生きがいの創出が争点となります。

豊かな社会の登場とともに、経済的、物質的利益をめぐる争点が変わるように、も経済的に豊かになると関心事が変わる、それが現実なんです。

これまで読んでくれたあなたなら感づいたはず。

覇権国家を目指している中国を脅威だと思わない人は、もはや少数だと。


    ◇      ◇       ◇       ◇


ウクライナ危機は明日の東アジア危機

台湾海峡で武力紛争が発生した場合に、日本の島嶼(とうしょ)地域は安全といえるでしょうか?

ありもしない相手の善意を信じるのみで平和と自由が維持できるほど、現実政治の世界は甘くありません。
というか、「相手の善意を信じろ」「軍事力を高めるな」と「声高に叫んでいるあなたは、覇権を目指す国家の意志の代弁者なんですか」と聞きたい(笑)。


2030年には東アジアにおける中国の軍事力は日米を逆転すると予測されています。

2022年5月24日、中国軍とロシア軍の爆撃機計6機が日本周辺を共同飛行。

日米豪印4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」が首脳会議を開いた日ですから、開催国たる日本への示威行動ですよね。

脅威ですよねぇ。


ウクライナ危機で覇権主義の危険性を実感したのは、日本だけではありません。
経済を基軸に中国をみていた欧州も、中国の別の顔に気づき始めました。
欧州のある首脳は「中国が台湾侵攻に動くだろう」と岸田という人に語っています。

軍事・経済で優位な立場を背景に威圧的に要求をのませようとする「戦狼」中国に対して、日本は経済を再生させて米国と共に防衛力を強化しなければならないというのが(改憲派にとっての)不都合な真実なのです。

パクス・アメリカーナを見て、一国が覇権を有していれば自動的に世界が安定し、経済的に発展すると思ってはいけません。

言うまでもなく、覇権国家自由市場を理解し、それを実現するために国際体制を構築するというのが前提となるんです。
ということは、債務の罠経済植民地を作ろうとしている中国が覇権を握っちゃダメってことですよね(笑)。

最後に、ニコラス・スパイクマンの言葉をご紹介。
「国家は生き延びるために力を求めてせめぎあうものだ」
「国際社会を平和に導くには、勢力が均衡し、お互いが容易に戦争を起こせない状況を目指すべき」


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