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#56. 息子とケンカした話

昨日も朝から夫は出張に出かけていた。

火種はいつもそこに

食事中のけんかはついつい起こるもの。でも、この日は違った。私が作った晩ご飯を食べてくれない息子に、私はどんどんイライラしてしまった。

「美味しいよ」と私は言った。
息子も「美味しい」と言った気がした。
「何が美味しい?」
「納豆」
あっ、そう。パックから出しただけだもんね。
「もっと食べたい、ブロッコリー」
ホットクックで茹でただけ、しかも無水で茹で過ぎて焦げてるけどね。
「これ美味しくない、食べたくない」
じゃあ食べなくていいよ、と私は言った。
ナスとズッキーニに、市販のたれをかけてオーブンで焼いただけだけどね。

息子は本当におかずだけを丁寧によけて、白米だけを拾って食べる。

暴走する正義感

私は嫌味を言い続けた。
世界中にはご飯も食べられないで苦しんでいる人もいるんじゃないの?
このナスとかズッキーニも、作ってくれた農家さんがいるんだよね?
本当に捨てていいの?

食べ物を捨てる罪悪感を持たせるために、「自分でシンクに捨てなさい」と命じた。
逃げる息子。
怒鳴る私。
泣く息子、脚にしがみついてくる。
叩いて床に払い除ける私。

5歳にもなると力も強くて、こちらも本気で応戦しないと逃げることができない。
自然と子どもの手を掴んだり叩いたりする力も手加減しなくなる。
「許して、今度はちゃんと食べるから」と息子は泣く。
「何を許すの?お母さんは、今日のご飯を食べなかったことを怒ってるんだよ」

「捨て方が分からない」というので
シンクのディスポーザーに自分の手で捨てるように言って、手伝った。
嫌味を言い続けながら。
「あーあ、こんな食べ物を捨てる子、お母さん軽蔑するわ。ほんと✕✕✕✕✕!」

私の頭は頑固なので、泣いても許しを乞われても、ご飯を食べなかったというその一点は本当に許せずに、責め続けた。
こんなにがんばったのに。
昼間も子どもの相手をして
買い物に行って
ご飯準備して
お迎えに行って
何のために、誰のためにやってるんだ。

その間にも、断乳後の食欲が止まらない娘はおかわりをくれと茶碗を叩き続ける。
娘にも及ぶ私の怒号。
完全にとばっちりだ。
これでもかと皮付きのさつまいもを茶碗に盛って、娘の机に叩きつける。

孤独に襲われる

それと同時に私は助けてほしいと願った。

叩いたり、怒鳴ったり、言葉の暴力で攻め続ける私を誰か止めてほしい。

誰もいない。

もはや誰でもいいから、顔見知り程度のお隣さんでもいいから、この瞬間に訪ねてきてくれないだろうか。

疲れた

私には無理だ

暴力でしか主張できない

寝室に一人入り、鍵をかけた。
心はこんな穏やかなのに。
自分でも出したことのない大声を出せたことに、冷静に感心している自分がいる。

息子が鍵を壊しそうな勢いでドアを叩くので仕方なく開けた。

ディスポーザーのナスも砕け散った後。
ようやくお腹が満たされた娘と
美味しくない料理を食べずに済んだ息子は
いつも通り積み木で遊ぶ。

最後まで頑固で意地っ張りなのは私だけだ。
いつもそう。

一日の終着駅は布団

何があっても、とにかく一日の目標は、お風呂に入れて寝つかせることだ。
毎日。毎日。

布団に入っても、私はまた思い出した。
バーベキューの後の残り続けている炭火のように、チカチカ、パチパチ。
炭火が残ってることなんて、もう誰も気にしていないのに。

「なんでご飯食べてくれんの、お風呂も早く入ってよ、そもそも朝もちゃんと起きてよ、なんでどれもこれも……」
横で寝ている息子に文句を垂れ流す。
「ごめん、こんどは、ちゃんとやるから、ゆるして」

やっとその言葉で、燃え残りの炭火にバケツの水がかけられた。
今度は猛烈な後悔が襲ってくる。

あーあ。やっちゃったなぁ、わたし。

まだ5歳の息子に、全てうまくできることを求めて、勝手に怒って、勝手に疲れて、一人で後悔してる。

今度は泣きじゃくって、
「ごめんね。お母さんちゃんとできなくて、ごめんね。」
謝り続けた。
いつも私が息子にそうするように、
息子は私にティッシュを持ってきてくれた。

許してもらっているのはいつも私で
与えられているのはいつも私だ。

暴力もケンカもよくないんだけど、やっぱりご飯を食べなかったことだけは許せないので、今日の息子のお弁当に昨日のナスとズッキーニを入れておいた。どうせケロッと食べて帰ってくるんだ。

明日への糧に

今回のnoteの裏事情。
またあまり好ましくない状況を記事にすることに乗り気ではなく、かと言って誰かに聞いてほしいので、noteのAI記事作成(β版)に入力してみた。
概要を入れたら、4段落の構成になって返ってきた。
うち前半の2段落が上記の内容で、後半が以下の内容だった。下記にそのまま掲載する。

5歳の子供に対して、自分も疲れていることを忘れてしまった私。でも、明日は新しい一日。きちんと向き合って、次は笑顔で過ごせるようにする。

親子にはけんかはつきものだけど、こんなにも悔しくて悲しい思いをするのは初めて。息子からの許しを得た今、二人でこの出来事を振り返り、笑いが生まれるように仕向けよう。

AI作成の見出し文

私の実際の気持ちよりめちゃくちゃ前向きになってきた……。ごめんね、お母さんはこんなポジティブハッピーじゃない。
きっとこんな日は続くだろうし、私はまた火山を爆発させると思っている。後悔して、反省したとしてもだ。

でも。明日は新しい一日。
それは確かだ。
お弁当に残り物を入れたとしても、昨日のズッキーニと今日のズッキーニは違う(かもしれない)。

さらには、昨日の私を諫めるような内容を、岸見一郎さんのnoteにあった。
あまりにピンポイントでタイミングがよすぎる。

分かっている。
分かってはいるんだけど、渦中にいると、そううまくはいかないの、アドラーさん。

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