「ファントム」を観劇したので、感想を書きます。
今回は、完全なる趣味の話。
ご興味あれば読んでください。
最近、定期的に興味のある舞台を観に行くようになりました。
その流れで、先日は城田優さん演出の「ファントム」を観てきました。
今まで経験したことのない、色んな文化に触れているところです。
「オペラ座の怪人」が大好きな私にとって、この舞台は興味しかなかったのです。
(オペラ座の怪人を話し出すとキリがないので、また今度)
さて、今回の「ファントム」ですが2019年の上演されたものが再演となりました。話の内容は特段変わりはないようですが、各キャラクターがより磨かれた舞台となっていたようです。
ワタシは初めて観劇したので、比較はできません。しかし、とても良い作品でした。
ここからはネタバレとなります。ご注意ください。
そして、主観が強めのお話になります。ご了承ください。
さて、オペラ座の怪人を主題としたこの作品。
「オペラ座の怪人」ではあまり描かれてこない主人公の生い立ち、
ヒロインであるクリスティーヌがオペラ座で歌うまでの流れなど、
「ファントム」でこそ描かれるお話がありました。
生まれたときから醜い顔立ちであった主人公のエリック(ファントム)は、
生まれてずっとオペラ座の地下に住み、闇の中で過ごしてきました。
その中でも、母の愛や美しいものである"音楽"という光を求めて生きてきました。
母が亡くなり、自ら求める光が失われた世界。
そんな時、クリスティーヌの歌声を彼はオペラ座で聴く。
彼にとって、彼女の歌声は希望の光であり、生きる目的になったのかもしれません。
「彼女のためなら何でもできる」という気持ちも強かったのでしょう。
ただ、彼は幼少期から地下で過ごすため、人との交流が少なかった。
大人になっても、どこか幼さが拭えない様子がお芝居にも反映されていました。
子どもっぽさを持つからこそ、純粋無垢でありながら怒りに触れると何をするかわからない。人を傷つけることもやってしまいかねない。
そんな状況をオペラ座の支配人(のちに解雇されます)であり、父であるキャリエールは理解していた。
キャリエール自身は既婚者、つまりエリックは愛人の子であった。
自らの過ちを後悔し、醜い顔で生まれた息子をどう育てるのかというところにはたくさんの葛藤があったのだろうと推測されます。
その結果、エリックは生まれてからずっと地下生活。
キャリエールはオペラ座の支配人として、父であることは隠しながら彼を育てた。
まぁ、キャリエールも若さゆえの過ち。
にしても、良くないですよね。人間だからそんなこともあるのかなぁ。
エリックの醜い顔の原因も、母の薬物中毒が原因ということで、
不倫に、中毒と、「オペラ座の怪人」とはまた違った人間味を感じました。
そんな中で、クリスティーヌの存在は際立ちます。
純粋に歌手になること、オペラ座に立つことを夢見ている彼女。
目がキラキラと、ポジティブなまっすぐとしている人物でした。
歌声には鳥肌モノでした。綺麗で透き通った、でも芯のある歌声。
彼女をスカウトしたシャンドン伯爵はオペラ座の大スポンサー。
キャリエールが支配人を解雇されているとはつゆ知らず、彼を頼ってオペラ座に行くようにクリスティーヌに伝える。
案の定、支配人が変わった後だったので、彼女が就けたのは衣裳係でした。
それなのに、クリスティーヌは「オペラ座で働けること」に喜びを感じる。
そんな中で、エリックはクリスティーヌの歌声に惚れ込む。そして、彼女が舞台で歌う姿を夢見て、ともにレッスンをしていたのでしょう。
しかし、解雇となった後の支配人アランの奥方カルロッタが、
クリスティーヌが歌う初演の日に毒を盛って、舞台を失敗させます。
エリックは毒を盛ったことを知り、カルロッタを殺しに行きます。
この時、エリックにはクリスティーヌに対する「愛」があったのでしょう。
ただ、その「愛」の伝え方を間違えていたのです。
エリックは、カルロッタ殺しや他の人も殺めていたため、
警察に追われる身となり、逃げる途中に警察の銃撃で脇腹を負傷。
父であるキャリエールに殺してほしいと事前にお願いしており、
警察に追い詰められたエリックは、警察の銃を手にした父に撃たれて死にます。
「オペラ座の怪人」がハッピーエンドではないので、
「ファントム」がハッピーエンドにはならないだろうとは思っていましたが、姿を消すのではなくて命が絶たれるという話の結末でした。
クリスティーヌがエリックの仮面を取ってほしいとお願いしたシーンが印象的です。
顔を見るまでは、彼がどんな顔であろうとも受け止められると言っておきながら、、、
顔を見ると驚いて腰を抜かし、その場を立ち去るクリスティーヌ。
「あぁ、やっぱりそうだよね」と思った自分もいました。
天使のようなクリスティーヌでありながら、やっぱり人間味があるというか。とても正直な反応だったのかもしれないなと。
でも、やっぱりエリックとしては受け止めてほしかっただろうな。
醜い顔でも微笑んでくれた母の姿を見た後、受け止めてもらえる人はいなかったんだろうと推測すると、やっぱり心が痛むところがありました。
クリスティーヌが立ち去ったあと、一人で泣き叫ぶようなエリックを見て号泣。なんかよく分からない複雑な感情でありました。
あらすじやら、感想やらごちゃまぜになりました。
とりあえず、悲劇でありながらも感動できた舞台でした。
良い作品を見ることができ、充実した時間だったと思います。
長文の感想となりました。
お読みいただきありがとうございました。