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バイバイ甲子園。また来年、はもうないんだよね

花火が空へ向かって鳴く頃

あたしの悲しみは落ちていく
地面を濡らして、消えていく

ごめんね、泣きたいのは
あたしじゃないのに

君を思うと
もう何も言わない君の疲れた笑顔を見ると

君が費やした、一日一日の汗を思うと

止まらない



最期の夏が手を振る時

あたしは次の季節に
連れていかれるあなたを
走って追いかけることしかできなかった


どれだけ汗を流しても
どれだけ、あなたの名前を風に叫んでも

地面に両手を付いたあたしに残るのは
小さくなっていく電車の音と

たぶん、あなたの影だけなんだ


いつかまた陽が登る時が来たら

あなたの影は

あたしの側から
いなくなるのかな?



あの日、振りかぶった後
白球を見送りもしないあなたの影は

まるであたしの中にぽっかりと空いた
穴の様で
ずっと消えずにあるんだ

まるで

また巡る夏を待ち侘びるように
消えずに、待ってる


あなたのいる夏は
終わったのにね


でもずっと
その時と同じ場所で
あの日全力だったあなたを
待ってるの

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