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寒い、温かい、おいしい、楽しい。


今年の年始のお話です。

2021年1月2日。


その日はとても寒い日でした。
冷たい風が吹いていて、外にいると手がキンキンになるくらいの寒い日でしたね。

その日の夕方、僕ら(うちの家族。4歳娘。1歳娘。奥さん。僕。という4人構成。)は、初詣に行くために車で家を出ました。

当然といえば当然なんですが、そりゃあもう渋滞渋滞。混んでる混んどる。でして、
神社に着いた頃には辺りはすっかり真っ暗で。
ただでさえ寒い日だったのに、夜になると益々寒くなりました。

んで、神社に着いたんでとりあえず長い列に並んでお賽銭してお参り。

我が家では、この神社での初詣が毎年恒例になっています。


「さてと、お参りも終わったし、お腹も空いたからそろそろ帰ろうか。」
と僕が言った瞬間に、奥さんが「あっ。」と言って階段の下を指さしました。子供(4歳娘)は「わーっ!」と言って駆け出して。

その指の先、階段下には明かりが灯っていて少ないながらも夜店が出てたんです。

僕は、やきそばとたこ焼きを買って。

僕たちは冷たい石階段の端っこに座りました。

空には星が出てて、吐いた息は白くなるくらい寒くて階段は冷たかったんですけど、そこに座って家族で夜店のたこ焼きを食べました。


なんの変哲もない夜店のたこ焼き。
僕は「温かい」と思ったのを覚えています。

くじ引きをしている子供。ビール飲んでるおっちゃん。
スマートボールしてるカップル。カステラに並ぶ人々。

お祭りだなー。と。

そんなことを考えていると、


綿菓子の袋を持った娘がたこ焼きを口いっぱいにほおばって、
「おいしいね。お祭り楽しいね。」って。

そんなこというもんだから、僕はうれしいような悲しいような、
なんだか少し泣きそうになって。


一年ぶりの屋台。

お花見のお祭りも、七夕祭りも、夏祭りも、クリスマスのお祭りも、

何にも連れて行ってあげられなくて、

ずっと「お祭りがしたい。」って言ってた娘。

久しぶりにお祭りの雰囲気の中、屋台のたこ焼きを食べたら、
周りの人がみんな笑顔で、娘も楽しそうで、
なんだかもうコロナの騒動なんて終わったかのような。
そんな感じがして。
みんなみんな幸せそうで。

早くコロナなんて終わっちまえ!って。


普通の暮らしを普通にして、いっぱいいっぱい楽しい思い出をつくりたくて。


そんな気持ちが溢れそーだったんですが、おじさんがたこ焼き食べて泣いてたらヤバい奴だと思われるんで、一生懸命我慢して
「楽しいからおいしいね。」って返答するのが精いっぱいでした。


#おいしいはたのしい #楽しい #エッセイ #あたたかい

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