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パリの“華の都”たる所以を見つけようの日。美術館や教会を巡りまくる。


華の都、パリ。白地に青い屋根、どちらかと言うとモノクロなこの街は、どうして今もその名で呼ばれているのだろうか。パリへ向かう新幹線の中でそう考えた。ヨーロッパの街の中でも誰もが憧れ、最も美しい街と多くの人が認める街へ、少し繰り出してみることにしよう。この日の予定は、14:30にシテ島のサントシャペルに行き、夕方にフレンチを食べてみること。あとはフリーだ。

エッフェル塔、街ブラ


旧市街の南端にあるシェアハウスのようなホテルを出て、まず最初に中心街に行かなければいけない。この日はシェアサイクルを利用することにした。しかしホテルの周りに自転車が1台しかない。どうしよう。出した結論は、

彼女Aが乗り、私は走る!!

パリで最初にしたことは、数kmのランニング。こんな観光客どこにいるだろうか。息を切らしながらようやく自転車を見つけ、今度こそ、まずはエッフェル塔方面に向かった。

セーヌ川のほとりにそびえ立つエッフェル塔を見るのに、わざわざマップとにらめっこをする必要はない。川沿いを走れば旧市街の建物に比べ大きな大きな姿を見せてくれる。320mのパリの貴婦人は、東京タワーよりずっと存在感があるように見える。
しかしこの日は、塔上部に雲がかかっていたのだ!たった300mで山みたいなことが起きるのか!がっかりと驚きと共に、時折ギリギリ姿を見せる塔の全貌を写真に残した。

そのまま近くのパン屋で朝ごはんとした。クロワッサンとパンオショコラ。クロワッサンは、シンプルの中の最高峰といった感じで、特徴こそないものの食感や味がピカイチだ。パンオショコラは日本人には甘すぎかも。名店などもあるだろうが、パリに乱立するパン屋はどこ入っても当たりで調べる必要も無いという感じだった。



その後は、また自転車に乗って街ブラ。あれは凱旋門、これはオルセー美術館と地図や写真で眺めたものが次々と出てくる。そして走ってる時には気づかなかった、屋根や柵の色の統一感、形や建物の彫刻に気づく。あとは十字路や丁字路を見ないことにも。馬車が右折が苦手だった名残だそうで、三角形の土地にうまいように建物が建っている。そんな風にぐるぐると回っていると、すぐにお腹がすいてしまった。
お昼ご飯は、地元民御用達のビストロへ。シテ島付近にあるこの店、英語は使えない。しかし、フィーリングで何とかなるので基本問題はなかった。グラタンとオムレツを注文したが、サービスのバゲット込でおなかいっぱいに。ヨーロッパのご飯類は基本でかい。

シテ島観光


お昼の後は、パリの中心街シテ島へ。10世紀頃から宮殿があったり、商業の中心だったり、citizen(市民)の語源だったりととんでもねえ中洲だ。14:30に予約したサントシャペルの予約まで30分ほどあったので、隣のコンシェルジュリーへ。パリミュージアムパスを買ったおかげで色んなところに入り放題なのだ。

コンシェルジュリーは、宮殿として建てられ、牢獄としても使われ、現在は裁判所となっているものだ。マリーアントワネットが最後に過ごしたものとして有名であり、まさにパリ王政の始まりと終わりを示す建物だ。30分という時間は思ったより短く、案内用のタブレットを振り回して様々な説明を頭に叩き込んだ。説明がとても丁寧でそこまで混んでいないのでおすすめだ。

続いては、サントシャペルに。ゴリゴリのゴシック建築とステンドグラスが有名な宮殿内の教会だ。お土産コーナーとなっている1階が宮廷人用、ステンドグラスが美しい2階が王のためのエリアだったらしく、どちらも素晴らしい内装だ。特に、ステンドグラスはひとつひとつが物語となっていて、計10話以上が描かれていたはず。意味を読み解くのも面白い。
ちなみにサントシャペルの周りは裁判所となっており、私たちはこの中に迷い込んでしまった。事務のお姉さんに不思議そうな顔をされたくらいには奥に行ってしまったらしい。

サントシャペル2階部分。
1階。ここも素晴らしい。

オルセー美術館へ

それでもまだ時間は3時頃。体力も時間もまだまだある。そこで、予定を前倒してオルセー美術館へ。ほとんど待たずに、そして自由に色んなところに入れるのがミュージアムパスの強みだ。元々駅舎として作られたこの建物は、大きな時計と開放感のあるギャラリーが特徴的。1番上の階にゴッホやらモネやらリョーユーパンのCMやらの作品があって激混みなのだが、それ以外は比較的静かに回ることができる。特に気に入ったのは、下のボートの絵。部屋の静かさも相まって、絵の世界観に引き込まれた。

2時間ほど鑑賞したら、再び自転車に。ディナーの予約までの1時間、シャンパンフラッシュで光り輝くエッフェル塔を見に行った。この日は乗り放題に相当助けられた。対岸から夕方のエッフェル塔を楽しんだら、レストランに向かった。

エッフェル塔
パリの夜

人生初のフレンチレストラン

旧市街南部近くにある小さめのレストランに到着。前菜メインデザートのコースとなっていて、それぞれ3種類から選べる。がメニュー見ても分からないので、適当に注文した。お客の年齢層が高いのを見る限り、なかなかいい所だろう。

まずは前菜。陶芸家の意趣をこらした皿で出てきたものは、生魚の上にナッツやら野菜やらが乗っているサラダ?かな。魚は少し臭いがあり、日本よりも美味しくない。ただ色んなものと一緒に食べると一気に美味しく面白い味になった。これがパリ流の臭い消しなのか。

続いてメイン。ポテトの上にツナ?が乗ったもの。野菜とのバランスが整ってておいしい。ワインも頼んでその調和も楽しんでみる。この店出される皿がとにかく大きいので小さく見えるが、料理も見た目以上のボリュームがある。

そしてデザート。まずはチーズ。これはものすごく美味しい。カルディでもこんなのは買えないだろうというような濃厚さだ。ナイフで切り分けて食べる。

そしてメインのデザート。グレープフルーツの上にマリトッツォのクリームが入ったやつみたいなもので、甘すぎずとてもおいしい。名前を知らないのが口惜しいところだ。

そして何より驚いたのは、店員さんの対応だ。フランスは料理の値段にあらかじめサービス料がついており、そのせいでレストランは高いのだが、その分接客の質は高い。と言ってもこの店は格式だかいという感じではない。暇を見つけて私たちに声をかけてくれて、日本が好きで、特に893が好きだと言っていた。北九州の人間とする話ではないが、話が盛り上がった結果ワインをもう1杯ずつご馳走に。嬉しくて店のことをいっぱい褒めたら、さも当然のようなリアクションをしていた。すげえ自信。

おわりに

パリが今も華の都と呼ばれる理由。確かに美しい街ではあるものの、それ以上に感じるのは“気高さ”だ。自分の仕事、料理、言葉への誇りが、しゃきっと咲く一輪の花のように見えた。良い悪いは置いておいて、それがパリらしさ、雰囲気を作り出していると思う。
夜のパリはかなり寒い。店を出ると、酔いが少しずつ引いていった。気分はいいけど疲れもした。明日は朝からベルサイユ宮殿。今日は早めに寝ることにしよう。

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