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『鐔の世界』に行ってきた


テーマ展『鐔の世界』へ

令和6年2月10日(土)~4月21日(日)の10週間に渡り、
備前長船刀剣博物館にてテーマ展『鐔の世界』が開催されています。

14世紀の室町時代から、安土・桃山時代、江戸時代、現代まで、
様々な時代の鐔が合計 110点 展示され、そのうちの1点として、
うちの『茜図鐔』が展示される事となりました。

前回行った時も『茜図鐔』を展示していただいていたのですが、
その時はあくまで短刀が主役。鐔は添えられた形でした。
でも今回は鐔が主役です。
なんせ鐔だけが集められた企画展示。110点中のNo.109。
No.110は太刀拵なので、鐔単体の展示としてはうちがトリです。
この晴れ舞台、見に行かねば! という事で日程調整。
3月後半の日曜日に、日帰りで行ってきました。
 

腹が減っては戦ができぬ(2)

前回は焼肉屋さんでランチを食べました。
さて、今回はどこにしよう、と色々リサーチした結果、
ぜひ食べてみたいラーメンに出会いました。

「薔薇ラーメン」 RA-MEN&cafe 168
接写すると、さらに迫力UP

いやぁ、すごい。
ラーメンの上に、一面のチャーシュー! というのはよく見ますが、
一面じゃないです。立体です。2枚や3枚食べたところで、変化なしです。
チャーシューに埋まってて見えませんが、下にゆで卵も入ってます。
麺に対して肉の比重が多すぎて、麺を食べ終えた時点でも
チャーシューが半分残ってました。食後の肉スープです。美味しい!

ちなみにこっちは「カツラーメン」

同行してくれた息子は悩んで「カツラーメン」を選択。
あまりのボリュームに、途中でお腹いっぱいになってました。
ラーメンスープと揚げ物のコンビは強敵です。胃にズッシリ。
 

備前長船刀剣博物館、再訪

小雨パラつく中、再び訪れた備前長船刀剣博物館。
予約時間より少し早く着いたので、駐車場に車を停めて
ふれあい物産館で美味しいスイーツでも……
と思ったのですが、みんなお腹いっぱいで、
純粋に休憩していました。がんばれ、胃袋。

予約の14時になったので、意気揚々と入場口へ。
入場料を支払い、まずは一階展示室を見て回ります。
前回来た時も素晴らしい刀剣が展示されていましたが、
今回も凛とした刀剣の数々を見る事ができて幸せでした。

長船康光の太刀。室町初期の作とは思えないくらいの保存状態。
月山の短刀。室町末期の作。銘もクッキリと。
刃紋の説明書き(英語)。トゥミさんの訳かな?
拡大鏡を添えられた拵の展示。臨場感がすごかったです。
小柄と割り笄(こうがい)。細部までクッキリ見えて感嘆のため息。

備前長船刀剣博物館の何が素晴らしいかって、写真撮影OKの範囲が
非常に広い所なんですよね。これは本当に嬉しいです。
自分の目でしっかり見るのも大事だけど、後日写真を見返したり、
自分が感じた魅力をSNSで発信して仲間と共有できるのも大きな魅力です。
 

いざ、『鐔の世界』へ

一階展示室を出て、二階に向かいます。
階段を上がってすぐの突き当りは『瀬戸内刀工会』の
展示スペース。前回はここに我が短刀が展示されていました。
今回は、安藤広泰刀匠の短刀と青木盛家刀匠の太刀が展示中でした。

見ていると背筋が伸びるような安藤刀匠の短刀。
青木刀匠の太刀。なんと、刃長で 95.4cm。三尺一寸強。

現代刀の冴えに惚れ惚れとしながら、第二展示室へ向かいます。
前室には『鐔の世界』の題額と館長さんのごあいさつ文。
そして、圧巻の展示室へと足を踏み入れます。
展示室には合わせて 110点もの鐔が一堂に会しています。
その様子は、まさに圧巻でした。
―― ここで、痛恨のミス。
展示室入口からの景色を撮影すればよかった!
……とはいえ、常に人がいるので写しちゃマズいかな、とも思い。
この辺は、こう。悩ましいところです。
でも、時間いっぱい使って展示を全て見て、全て撮影してきました。

この展示で初めて知った革製の鐔(左)。そうかそういう時代もあったのか。
子供達が「すごい好き!」と手を叩いた透鐔。
桜九曜紋、素晴らしかったです。鶴丸は娘が大喜びでした。
途中何点かがクイズ形式になっていました。粋な遊び心。

 

茜図鐔 銘 備前長船住重恒作

展示されている鐔は全部で 110点。
No.104 の「龍透鐔(江戸末期)」までは展示室の外周に展示され、
No.105 からは展示室中央の島で展示されていました。
そして、最後の No.110 は太刀拵としての展示です。
つまり我が「茜図鐔」は No.109。いうなれば鐔展示のトリなのです!
……いえ、製作年代順で一番新しい鐔だからこの並びなのですが、
なんだかとても光栄です。

110点の中でも三作ほどしかなかった黄銅地鐔。
この角度だと砂子象嵌(上の方の点描のような象嵌)がよく見えます。
島配置+アクリルスタンドなので、鐔の裏面も見る事ができました。

両国の刀剣博物館での展示では表しか見えませんでした。
図録にも表面の写真しか載っていませんでしたので、裏面は初展示。
私自身も、実際の茜図鐔の裏側はこの時初めて見ました。
片山さんが「切り紙チラシ和紙のように」と表現されていた象嵌が
とても綺麗で、美しい文字の流れと相まって実に風雅でした。
「この鐔がその内、自分の家に来るんだよなぁ」と思うと感慨深く、
同時に「長く展示されて多くの人に見てもらいたいな」とも思いました。

備前長船刀剣博物館の『鐔の世界』は、4月21日(日)までです。
 

ご挨拶に行こう!

前回、長船刀剣博物館に短刀を見に行った後、
「短刀見てきました!」と作者の助光刀匠にご報告した所、
長船にいらしてたならご挨拶したかった、と言ってもらえました。
大人の社交辞令という可能性もあるのですが、
事故で消えてしまった前ブログから助光刀匠を拝見しているので
(心にもない事をサービストークするような方じゃないよなぁ……)
と思い、
「お仕事のお邪魔をしてはいけないと思い何も言わずに行きましたが、
 次の機会にはぜひ!」――と、お約束させていただいておりました。

今回、『鐔の世界』へ茜図鐔を見に行きますとお伝えしたところ、
博物館を出る時間に合わせてご挨拶に伺います、と言っていただきました。
お仕事の時間を割かせてしまっては申し訳ないと思い、
「いえいえ、お邪魔しては申し訳ないので仕事場に伺いますよ」
とお伝えしたのですが、
「いえいえ、博物館まで行きますよ」
と気遣いのキャッチボールをする形になりました。
色々考えたのですが、仕事場まで行きます、も迷惑かもしれないし、
助光刀匠のご意向に添うのが一番いいと思い、博物館合流となりました。

備前長船刀剣博物館の隣接施設、「備前長船刀剣工房」の片山様の
作業場の前にて、助光刀匠と初めてお会いしました。
別の方とお話されてたので、あ、少し待った方が良いかな? とか
考えてお声掛けを躊躇していたら、
「あ、◯◯さんですか?」と気付いていただけました。
「あ、はい。お邪魔してすみません」とワタワタしながらご挨拶。
先にお話されてた方は「あ、それじゃまた」みたいな感じで
去って行かれましたので、大丈夫だったかな? と心配しつつ、
改めて助光刀匠に、本日はお忙しい中ありがとうございます、と御礼。
自身の短刀を作っていただいた、お世話になった刀匠であると同時に
YouTubeやSNS等でずっと拝見していた方なので、心中、
(うわー! 本物の助光さんだー!)
という芸能人のファンみたいな感覚でした。
短刀の御礼とか、その短刀を長船博物館に展示していただいた御礼とか、
色々お話していると、突然作業場の入口が開き、
「この件なんだけど」と、片山様が出てきて助光刀匠に彫りの作業の
確認をされました。心の準備もできていなかったし、お仕事の話だったので
「私は木」くらいの気持ちで気配を消して黙っておりましたが、
ある程度確認が済んだところで助光刀匠から、
「あ、片山さん。こちら◯◯さんです。鐔の」
とご紹介していただきました。

その後、助光刀匠と作業場の中にお邪魔して色々お話をお伺いしました。
短刀のお話、鐔のお話と色々お伺いして、片山さんからは、
「鐔をなかなかお手元にお届けできず申し訳ない」
とのお言葉も。いえいえ、滅相もない!
こちらとしては大変光栄で、喜んでおりますとお返事しました。

完成依頼、東西の刀剣博物館で展示していただいて光栄の極みです。

実際、博物館に展示されるというのはとても得難い経験なので、
「瀬戸内刀工会」の展示に際してうちの短刀を選んでいただいた助光刀匠、
『鐔の世界』の展示にうちの鐔を選んでいただいた片山様には感謝です。
今回、ご挨拶にお伺いできそうだったので、手土産にと、
助光刀匠には京都産のウイスキーを、
片山様には宇治茶の詰め合わせを選んで持参しました。
なんか、こう、喜びと感謝をお伝えできればと思った次第でして。
手土産チョイスは外さなかったようで、お喜びいただけて一安心でした。

助光刀匠のアシストで黄銅地鐔の手入れについてもお聞きできました。
磨くというより拭う感じ。繊維質のない布が望ましい。
手の脂は付けないほうが良い、とも限らないというお話など。
いずれ茜図鐔が我が家に着いたら、しっかりお手入れしたいと思います。
そして、片山様から、今取り掛かっている作品の次くらいに
依頼の小柄に取り掛かる予定とお聞きできまして、大喜びしました。
小柄ができたら、いよいよ拵も見えてきます。そんな話も少々。
また、短刀拵の槍は都道府県によってはダガー規制に引っかかるから
15cm未満でも登録審査を受けたのは正解というお話、
ただし都道府県によっては15cm未満だと絶対に受けてくれないから、
登録審査を受けたのが大阪府で良かった、などのお話も聞けました。
そこから登録審査の色々なお話、日刀保についてのお話など、
多岐に渡って面白いお話が色々聞けて、とても楽しいひとときでした。
 

名残は尽きねど

「そろそろ自分は仕事が」
という助光刀匠のお言葉があり、私も一緒に出る事にしました。
元々助光刀匠も片山様もお仕事をされている日で、
私自身、ご挨拶だけ、手土産を渡すだけ、くらいのつもりだったのに、
しっかり色々お話を聴き込んでしまいました。
改めて御礼を申し上げてから片山様の仕事場を出まして、
助光刀匠とも博物館の駐車場でお別れしました。
もう少し時間があれば、自分が助光刀匠に打っていただいた短刀を
どれだけ気に入っているか、喜んでいるかを語りたかったのですが、
ぜひ、またの機会に――。

という事で、待たせていた子供達と合流し、帰路につくのでした。


【おまけ】
助光刀匠からも「打ってきました」と、レターオープナーを頂きました。
その場で開けるのも良くないかと思い、帰ってから中を拝見したのですが、
ペーパーナイフとしては初めて見る形状で、とても格好良かったです。


ヘッダー画像:備前長船刀剣博物館公式HP テーマ展『鐔の世界』バナー

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