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死に至る病(キエルケゴール)再読:ガン友読書会書評

キエルケゴール:死に至る病、再読

死に至る病は絶望である

刺戟的タイトルに惹かれ早半世紀。

ようやくリアルに自分の死について考える
ラストチャンスを与えられた。

若いうちには見えなかったことが少しは見えてきた。

またキエルケゴール死後、
170年の時をかけた研究の成果も十分あるだろう。

そして世の中が宗教的社会から
産業革命の科学技術の革命的時代を迎え、
宗教離れが始まる。

彼の宗教哲学の輪郭が歴史を経て
素人にも分かるように見えてきた事。
有り難いと思う。

疑問に対する答えが分かった、というよりも
さらなる疑問が増えてくる事、考える事を促される事が楽しい。
例えば、

①心理療法の新たな方法としてフロイトの精神分析とは異なる実存療法(V.フランクル/ロゴセラピー)やE.Hフロムの社会心理の病理解明の理論形成に影響を与えたのではないか

②神学校でいかに彼の教義は教えられ、各教会の信者にどのように伝えるのかなど。というのも、当時も恐らく今も、彼の言説は「大衆の迎合する甘ちゃんの説教ではダメダ!と一喝するのですから、皆ドン引きもの。

③書評の一番最初に取り上げたトルストイの「イワンイリッチの死」のテーマが、この死に至る病の前半の編:この病の普遍性ともろに重なる事を見つけました。トルストイは文学で死に至る病とその克服を表現したのではと、読解出来ます。

絶望し死んでも死にきれぬと思い悩んでいるひとに是非一読を。



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