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014タテヨコAB

役所からの書面を見ると「あーあ」と思う。
いろんなこと思うんだけど紙の規格と文字のタテ書きヨコ書きのコト。

役所の書面てだいたいA4タテ型にヨコ組みの文章が左右いっぱいに入ってる。これ見るとやりきれないなーって気持ちになる。ユニバーサルデザインの講習にも出たことがあるが、その観点からもA4ヨコ幅いっぱいのヨコ書きは推奨されてなかった。要は行長が長すぎて読みづらいってことなのね。

英文なんかだとワンワードが記号の羅列なのである程度ヨコ幅が有効なんだろうが、リーガルパッド見たって赤の罫線が入ってて左右いっぱいに文章書くことは勧めてないよね。なのでA4版に文字を組むとすると左右幅を絞ってなるべく行長を短くして読むリズムよくして欲しいんだよね。
(すげー文字大きくしてあったり、リード文てのもあるけどそれは別として)

なんでそんなことになっちゃってるかっていうと、たぶん国際規格でA4が普及、規格化されたことと、日本語の文章の中にカタカナ、英文の割合が増えた結果、ヨコ書きの方が都合がいいからだと思う。
元々A4タテと日本語があまり相性よくない気がするんだ。日本には別にB列っていう紙の規格があるけど、あまりメジャーじゃない。小学生のノートとか、ポスターサイズとか、くらいしかないんじゃないかな?

B列の元って明治時代に郵便法を定めるのに美濃紙をベースに規格化したという話を聞いたことがある。なので売ってる便箋はだいたいB5版、んでタテ書き用なのね。日本語で文章綴るのに大きさといい、文字数といい、ほとんどちょうどいいんだよね。本来の文字と紙との相性だと思う。
同じことが「本」にもある。規格されたサイズに(ほぼ)規格された文字サイズだと、ちょうど読みやすい感じに収まる。何気ないことでなかなか気がつかないけど、先人の感覚とはすごいものだ。

前述した通り現状では全く逆。綴りやすさ読みやすさより、紙は国際的な規格に押され、文字はヨコ組みになってしまった。文章が伝わりやすいサイズや形態よりも外形から決めに行ったことで今のこの読みにくい書面になっちゃったんだろうな。

書家の石川九楊さんの講演を聴きに行った中で「タテ組みの文章に触れていると『キレる』ことはない」と仰っていた。なぜならヨコ組みの文章は流れにまかせて文章が走って(暴走)いくが、タテ組みの文章を読むということは呼吸を伴うと。目で上から文字を追っていくと下でひと息つく、そして改行してまた上へ……。しっかり呼吸していると「キレる」ことはない、と。ほんとそう思う。

真面目な話、そこらへんの読みにくい書類の監修やデザインのこと、仕事としてやってみたいんだけどね。

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