Researchgateのread数が突然上昇するとぞっとする私は臆病者だ

 Researchgateをやっている。分かりやすく言えば、研究者のSNSみたいなものだ。理由は簡単で、論文くれくれ厨になるためだ。

 私の勤務するような弱小底辺大学では、図書館の購入する雑誌が少ないので、オンラインで読める雑誌数も少ない。なので、著者に直接にResearchgate 経由で依頼する際に利用している。もちろん昔ながらの図書館を経由して文献複写以来というのもたくさんしているが、もしResearchgate 上に研究者がいれば直接に依頼できるので便利なこと、このうえない。実際に自分にも、Researchgate 経由で文献複写の依頼がたびたび来るので、基本的に自分がコレスポか、第一著者の論文は via Privacy で送るようにしている。

 そんなこんなで使用しているResrachgate なのだが、このところ、急にRead数が上がった。とにもかくにも閲覧数がくるくると回った。しまいには、your contributions were the most read contributions from your department とかなる。怖い、怖い、怖い。私のような底辺の研究者の研究が、こういうことになるのはおかしいのだ。

 と思ったら、私が会議で不在中に某新聞社の○○○○部から電話が来たそうだ。また折り返しかける、との言づてだったが、その時点で私はこれは何かの陰謀が渦巻いていると感じた。誰かが私を社会的に抹殺しようとしているのではないかと。そのための証拠集めをResrachgateで行い、新聞社を使って私を抹殺しにきたのではないかと。やばい。まじか。研究者生命、いよいよ終わりか。

 しかし、まぁ、冷静に考えてみれば研究不正の類いは身に一切覚えがない。そもそもが底辺の研究者なので、研究不正をしてまで戦うことに何も意義を感じないし、そういう不正を平気でする方達が何と戦っているのかすら分からない。真実を探求する側が、真実をねつ造するとあっては笑い話の類いとしか思えない。となると、他の可能性があるとすればハラスメント系か。昨今は年をとったせいか酒飲んだら記憶なくすことも増えた・・・。しかし酒の席でやらかしたんなら新聞社じゃなくて、学長とかから呼び出しじゃないのか?とか色々考えていたのだが、まぁ、私が本当に何かの問題を起こしていて社会的に抹殺される対象であるならば、向こうから再び電話してくるだろう、ということで無視していた。

 そしたら数日後に再び電話がかかってきた。おぉ!いよいよ我が研究人生の終わりか!と思って電話に出たら、取材をお願いしたいということであった。内容を聞いて、なぜそんなニッチの話題を掘り下げているのかは疑問に思ったのだが、確かにその内容であれば私も取材の対象候補だろうなと思ったので「いいですよ」と受けた。その際に話を伺った限りでは、Researchgate で論文を部署の署員総出で巡回していたようである。そうやって私のようなマイナー研究者を探したそうだ。なるほど、昨今は記者さんもResearchgateを使うのか。それでRead数がすごい勢いで回った訳ですね。というわけで納得したのであった。

 が、しかし、納得しないのは、その後の連絡がないことである・・・。○月×日頃に電話取材をお願いしたい、連絡します、というのでメールアドレスを交換して、メールがお互いに届くことを確認して、さらにResearchgateでは読めない論文を別経由でシェアしてという経過を経て連絡を待っていたのだが、その○月×日をとうに過ぎても、一切の連絡がない。たぶん企画がぽしゃったか何かだろう。マスコミって、こんなものなのかー。

 かくしてResearchgateのRead数は平常運転に戻ったのだ。彼らの興味も終わったらしく、私の心にも平穏が再び戻ってきた。

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