『思考の整理学』のメタ・ノートを現代のツールを使って作ってみる話。
こんにちは、がのです。
気がついたら企業内ビデオグラファーになっていて、webデザインや広告・マーケティングなども手広くやって器用貧乏になっている者です。
今日は外山滋比古さんの名著『思考の整理学』を素材に、メタ・ノートを現代ツール(主にNotion)を使って実現してみたいと思います。
メタ情報とは?
そもそも『メタ』情報って何なのでしょうか?
『思考の整理学』(以下、「本書」といいます)によれば、情報とは、まず一次情報というものがあります。
客観的な自然現象やニュースなどの事実(=そこにあるものや起こった事象)は第一次的な情報ということです。そして、その第一次情報を抽象化したものを第二次情報=“メタ“情報と言います。たとえば、ニュースなどで伝えられる事実としての情報は第一次情報で、新聞などでよく見る社説などは、あるニュースを元に、整理や考察などを加えているので、第二次情報ということになります。
思考を整理する際も「知識」や「即物的な思考」(アイデア)などは第一次情報で、それを集めて整理し、相互に関連づけたり等して意味を持たせると第二次情報=”メタ”情報となっていきます。
たとえば1つの動画を例にしてみると
が第一次情報としましょう。ここから抽象化する方法は色々あると思いますが、たとえば、
のようにまとめてみます。この第二次的な情報がメタ情報と言われます。さらにいろんな第二次情報を集めて、さらに抽象化を試みると、
などとすると、「動画とビジネス」という大きなテーマができ、これが第三次情報=“メタ・メタ”情報となるでしょうか。
抽象化の仕方は人それぞれ(おそらく自分が目指しているもの・追い求めているものが抽象化されていくのが通常だと思います)でしょうから、色々な意見があるのでしょうが、これが情報をメタ化していくことになると思います。
データの世界では、たとえば写真だったら、撮影日や撮影場所、記録した画像データそのものが、いわゆるメタデータと言われることが普通かと思いますが、思考を整理する場合はどちらかというと逆の流れを辿っているんですね。
Notionを使って、現代版メタ・ノートを作ってみる
いよいよ本題に入りたいと思います。
本書の中では、手帖などを日常などのメモとして使用し、また、スクラップ記事などはカテゴリごとに袋にまとめ、日々の情報収集をしていくことが書かれています。また、そのメモから気になったものをノートに写し、さらにそのノートの中から長期的な検討課題となるようなことを”メタ・ノート”としてノートにまとめるという流れになっています。
本書のとおり、手帖やノート等を使って真似してみるのも良いと思うのですが、これを現代ツールを使って実現させるにはどうしたらよいでしょうか?
今回は主にNotionを使って、作ってみたいと思います。
Notionはタスク管理やWebページ作成など個人で使うこともできますし、議事録のまとめやナレッジ共有などチームでの利用にも優れているツールです。
私のいる部署でも打ち合わせの際にアジェンダをメンバー間で記入し合ったり、記事コンテンツの管理をNotion上で行うことで進捗管理等を図っています。
今回はNotionで「毎日のメモ」「メモの体系化」「メタ・ノート」という3つのページを作ってみたいと思います。
流れとしては日々アイデアをメモ+気づきのある情報を記録→その記録の中から気になるものをピックアップし、整理→さらにその中から、長期的な課題を厳選し、さらにメタ・ノートとしてまとめる、というステップを踏みます。
① 毎日のメモ──自分のアイデア+気になったものはとりあえずNotionに保存しよう
まずは、日々のメモ機能から。
Notionでデータベースのページを作り、メモをどんどん貯めていきます。
※ちなみにNotionの使い方を詳しく知りたい方は下記の書籍が便利です(Kindle Unlimitedで読めます)。
1つのデータベースのページを「メモ」ページとして、自分の思いつきやアイデアを記入していきます。今は日々いろんな情報に触れることが多いと思いますし、その情報を元に新たな発見や気づきが生まれることも多々あると思いますので、読んだ本・Web記事、SNSの投稿、Pinterestやデザインのまとめサイトなど、自分が日々情報収集する中で気になったもの、新たな気づきを得たもの等も片っ端からここにメモしていきます。
Web上の情報を保存する場合は、PCを使用している時はChromeの拡張機能(Notion Web Clipper)を使えばそのまま保存ができますし、スマホやタブレットなどを使用している時は、たいていのアプリで「共有」のボタン等を押すとNotionにそのまま保存できるようになるので便利です。
共有機能で保存したものはタイトルやURL、画像などが保存されているので、あとでNotionを開いた時に、種別(アイデア・動画・写真・書籍など、どのジャンルのメモなのかわかるように)や記入日(保存した日)などを埋めていくと良いと思います。
Webの情報を保存した後、自分の考察等を加えた個別ページはこんな感じになります。
これはPinterestの共有ボタンから保存したものですが、画像やURL、投稿内のリード文などはデフォルトで記載されています。
私は、その個別ページ内に、この情報を保存した理由(よかった点や気づきなど)やこの情報を踏まえて考えたこと、自分の仕事等に活かせることなどを記入していきます。
本書の中では、
と書かれていますが、この方法であればスマホさえあればどこでもメモできますし、いろんな情報も保存しておくことができます。
②メモのグループ化ーーある程度情報がまとまったら、参照しやすいようにまとめよう
さて、日々の情報をただ保存し続けるだけでは、どんどんと情報が埋もれていってしまいます。
本書でも、手帖にメモを記した後は、
とあるように、メモの中から、自分の役立ちそうなものを別のものに“写す”作業が必要となります。
Notion内では、別のページを作成し、インライン形式でデータベースを作成していきます。ここでは自分なりに情報をある程度カテゴライズし、それぞれ単独のデータベースとして作成します。
そしてそのカテゴライズの中でページを作り、プロパティの中から「リレーション」(=他のデータベースにリンクさせる機能)という機能を用いて該当のメモをリンクさせます。
例えば、写真の撮影法に関するいくつかのメモをまとめたいときは、「撮影方法について」というページを作り、そのページ内に、該当するメモをリンクさせていきます。
個別のページはこんな感じです。
タグとして、私はWork(本業)か、Private(副業・趣味)かをつけるようにしています。さらに、ここにメモを追加した日(あとから関連するメモを追加することもあるかも知れません)を更新日として記入しています。
まとめてみて、新たに発見したことなどがある場合には、このページにさらに記入していくのも良いでしょう。
最初の「毎日のメモ」の中に保存したアイデア・情報は、今後使えるもの、そうでないもの、さまざまあると思いますが、一定の時間が経ったあとに改めて眺めてみて、「メモのグループ化」の中に入れるか否か判断すると、思考がさらに整理されると思います。
有象無象の情報をあまり貯めすぎると後で整理するのも大変なので、たとえば週末に1時間、このグループ化の作業をとるなど、習慣として作業するのも良さそうです。
また、本書では、このノートから文章にしたり、講演で発表したりしたものはページに線を引いて削除する旨が書かれていますが、Notionの中でもアウトプットして不要になったものには「完了」マークなどをつけてアーカイブするようにしても良いかも知れません。
③メタ・ノートーー実現したいこと、長期的な課題を書き起こそう
いよいよ最後にメタ・ノートを作成していきます。
本書の中では、
とされていますが、Notion上でも、実際にアウトプットしてみたいこと、長期的課題として取り組みたいもの等に関しては、メタ・ノートとしてまとめ(本書では他のノートに移すことで新たなコンテクストが生まれる、と表現されています)、たまに見返す機会を作ると自分が本当に取り組みたいことに着手できるのではないでしょうか。
新しく「メタ・ノート」というページを作成し(ここではWikiのフォーマットを使います)、右列に「メモのグループ化」で作成したデータベースを改めて配置して、左列に取り組みたいことを羅列していきます。
私は本業として取り組みたいこと、副業や趣味として取り組みたい(または考えたい)ことにカテゴリー分けして記載してみました。
右列に「メモのグループ化」のデータベースを(少し小さめに表示させて)改めて表示させることで、取り組みたいことと比較してみながら新たな気づきや着想を得られるかも知れません(まさしくコンテクストの変化によって化学反応があるかも)。
本書の従い、「メモのグループ化」のデータベースの中からも取捨選択する(不要なものを削ぎ落とす)場合は、フラグを立てておいて絞り込みをすることで「メタ・ノート」上に表示させない、という仕組みにしても良いと思います。
個別のページ内には、グループ化したメモの中から関連するものを「リレーション」させておき、また起案日(このページを作成した日)と最終更新日時を表示させるようにします。
本書内では、元のノートの中に書いてあった情報を箇条書きで整理し、新たに考えたことを書き記していくのが良いと書かれていますが、今回私は、企画書を書くような感じでこの「メタ・ノート」のページを使ってみました。
再び本書より引用しますが、
このメタ・ノートは、あまり頻繁に開かず、思いついた時に開いて眺めたり、月末に1回は開いてみる、など、自分なりの間隔を掴んで有効活用できるのではないかと思います。
おわりに
今回は外山滋比古著『思考の整理学』の中の「メタ・ノート」に絞って、その現代的活用法を考えてみました。本書の中には他にもさまざまな思考のまとめ方、考え方のヒントが書かれています。私自身も、何度でも読み返していて、その度に新たな発見があります。興味の湧いた方はぜひ読んでみてください。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
また、別のテーマで似たようなことを書いてみたいと思います!
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