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【気まぐれショートショート】告白水平線

三千世界の先、水輪の果て。
空と海、太陽と月がそれぞれ交わる間にだけ現れる小さな島がある。

日輪月下に照らされ、金銀に輝く花々は、島にただひとりの主人である彼女の自慢の庭である。

「やっと来たんだね。待ちくたびれたよ」
「待たせてしまってすみません」
「それにしても、貴方が先に来るとは予想外だったなぁ」

そう、本来ここに来るべきは私ではない。
彼女が最も愛した「彼」なのである。
何よりその結末を望んだのは、創造主である私である。
それなのに……。

「私はあなたたちを裏切ってしまった」
「でも、会いに来てくれたじゃない」
「ずっと逃げてきたんです」
「今はちゃんと向き合ってる」
「それでもまた、僕は自分の弱さに負けてしまうかもしれない」
「信じてるから」

真っすぐと私を見つめる彼女はそれ以上何も言わなかった。
言わせなかった。
そうだ、彼女はそういう人だった。

「だからいつか、最高の話を書いてね。私たちの」
「……いつか、必ず」
「楽しみに待ってるよ」

誰よりも眩しい笑顔で、彼女は私を見送ってくれた。

(434字)


プロアマ問わず「何かを書く」という世界に触れていると、必ず立ちふさがる取捨選択の数々。私自身嫌というほど味わってきました。
この物語はその「捨への懺悔」という告白なのです。

今回の企画では「恋愛」としての告白が望まれていたのかもしれませんが、甘酸っぱいもんが不得手な私はこういう告白しか思いつかんかったのであります。にしても書いていて恥ずかしいっす。

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