3つの名前を持つ女
以前住んでいた家の近所に、数匹の猫を飼っているお宅がありました。
60歳代くらいの上品なご夫婦で、同じ町内会だったけど挨拶する程度で親しく話をしたことはありませんでした。
ある日、ふてぶてしい顔立ちのボス的オーラを身にまとった猫様に出会いました。
あの上品なご夫婦の敷地内でくつろいでいる姿はまるで猫神様!
もう一目惚れでした。
飼い主のご夫婦はお留守の様です。
私はこの猫神様に「ぶたぬき」と命名し、以来出会う度に「ぶたぬき、おはよう」とか「ぶたぬき、元気~」と話しかけていました。
猫神様と崇めておきながら、ぶたぬきとは失礼だったかもしれませんが、我ながらセンスがいいと密かに気に入っていました。
数日が経った頃、同じ町内会の子どもたちが学校から帰ってくるタイミングで、ぶたぬきが現れました。
子どもたちが「あっ、猫仙人だー」と走り寄ってきます。
猫仙人?
きっと子どもたちもぶたぬきが放つ神々しいオーラに気付いていたんでしょうね。
素直に猫仙人と名付けた子どもたちは偉い!
ぶたぬきと呼んでいる自分が恥ずかしくなってきました。
そこに飼い主の奥様が出先から帰ってこられて「可愛い猫ちゃんですね」と話しかけてみました。
ぶたぬきとは口が裂けても言えません(笑)
「この子はもう15歳だから、家では寝てばかりなのよ」と奥様。
そしてぶたぬきを抱き上げ「ねぇー、リリーちゃん」
リリーちゃん。。。
なんと!姫のような可愛らしい名前だったのですね(笑)
もしかすると、こんなに魅力的な猫様ですから、他にも色々源氏名を持っていたかもしれません。
リリーちゃん、貫禄あったなぁ~。
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