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おたえちゃんの冒険~クロネコヤマトに配達された猫~

一昔前、サバ白柄の雌猫を飼ったことがりました。
地元の新聞の里親募集記事を見て、我が家に迎え入れた仔猫です。
『おたえちゃん』と名付け、子どもたちが可愛がって世話をしていました。
先住犬のララとポロンにも懐き、昼寝は一緒に寄り添うほど。
人間にも犬にも懐っこくて愛嬌抜群のおたえちゃん。

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体育祭 257



1歳を少し過ぎた頃、脱走したことがありました。
かなりのお転婆さんだったので日頃から気を付けていたんですが、子どもたちが遊びに出掛けた際、一緒に玄関から飛び出してしまった様でした。

そうとは知らず、やけに静かなリビングで違和感を感じた私。
おもむろに点呼を取ることに。

「ララ~」と呼びかけると、いつものベッドでスヤスヤ寝ていたララがムックリと起き上がり私の前にお座り。
次に「ポロ~ン」と呼ぶと、すでに私の足元でしっぽを振っている。

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そして「おたえちゃ~ん」「おたえちゃ~~ん」

何度呼んでも返事もなくシーンとしています。
たまにクローゼットに入り込んだことに気付かず閉じ込めたこともあったので、ありとあらゆる扉と引き出しを開けて消息を確認していく。

どこにもいない!!!

いつからいないのか?・・・確か朝食の時は餌を食べていたし・・・
そういえば子どもたちが出掛ける時に、子どもたちの足元で甘えたように鳴いていたっけ。

嫌な予感しかしません(涙)

大好物の鳥のささ身を大慌てで掴み、外に出て「おたえちゃ~ん!」と呼びながら捜索しました。

小一時間の捜索も徒労に終わり、半泣き状態で一旦家に戻る。
そして保健所と地元で犬猫の保護活動をしているNPO団体へ、迷子猫の問い合わせをして、あとは放心状態。

どのくらい時間が経ったのか・・・電話がなりました。

さっき連絡した保健所だろうか?と大急ぎで受話器を握りました。

すると「えっと・・・猫を飼っていますか?」と男性の声。
「はい、サバ白の猫で迷子札を首輪に下げています!」
きっと保護してくれた人に違いない。
おたえちゃんの首輪には、名前と電話番号を書いた迷子札を取りつていたので、きっとそれを見て電話してくれた人だと瞬間的に思いました。

「僕、宅配便の配達員なんですが、猫がトラックの中に入り込んでいまして・・・」

宅配便の配達員さんの説明では、トラックの荷台の扉を開けたまま配達をしている時に、おたえちゃんがトラックの中に入り込んでしまった様で、そうとは知らず次の配達に向かっていると、荷台の方から猫の鳴き声がしたのだそうです。

人懐っこくて怖いもの知らずのおたえちゃんですから、きっと興味本位でトラックの荷台に入ってしまったのでしょう。
首輪にぶら下げていた迷子札にあった電話番号に、配達の合間に電話をしてくれたのでした。
「あと1件配達があるので、それが済んだらお届けします」と言って電話が切れました。

そしてトラックの助手席に大人しく座り、町内一周して無事におたえちゃんは我が家に配達されました。

親切で猫好きの配達員さんで本当に良かったと、ほっと一安心の私。
腰が抜けたようにへたり込んでしまいました。

そんな人間たちの右往左往をよそに、おやつのささ身にかぶり付くおたえちゃん。

配達員さんが猫嫌いな人だったら・・・
仕事が忙しく、配達途中でおたえちゃんを見知らぬ土地に置き去りにしていたかもしれません。

あの時のクロネコヤマトの配達員さん。
お名前も聞かず、十分なお礼も言えずに、十数年経ってしまいました。
1分1秒を惜しんで配達のお仕事をされていたはずなのに、爽やかな笑顔を残して去って行かれた後姿は生涯忘れません!!

おたえちゃんは13歳で虹の橋を渡るまで幸せな猫生を送りました。
「本当にありがとうございました!!」




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