膝前十字靭帯再建術後におけるジョギング開始指標の検討
はじめに
膝前十字靭帯損傷はスポーツに起因するものが70%
スポーツ復帰を目的としてACL再建術が施行される
一般的に復帰時期は6~8か月
等速性膝関節伸展筋力や膝関節安定性、パフォーマンステストなどの客観的指標を用いて復帰が決定される
ジョギングの開始は客観的指標による明確な開始基準がない
膝関節機能が不十分であるにも関わらずジョギングを開始することで腫脹や疼痛が増悪するケースも多い
ジョギング開始前には安全に導入できるかの下肢機能評価が必要
kvistはACL再建術後のスポーツ復帰基準に関してジョギング開始は8~12週が一般的とした
手術方法にもよるが日本では12~16週でジョギング開始が一般的
理由は、移植腱が骨孔に固着するのが12週程度のため、移植腱が安定してからスポーツ動作を許可するため
kvistの基準から考えると、移植腱と骨孔が安定するよりも早期にジョギングを開始するため、下肢機能強化は移植腱へのストレスに十分注意が必要
等速性膝関節伸展筋力測定はACL再建術後の筋力指標として広く用いられていいるが、大腿四頭筋の単独収縮は県骨の前方剪断力が体重の0.3~1.0倍の力で生じるためリスクになる
本研究では、ペダル駆動型筋力測定器を用いた
ペダル駆動型筋力測定器では、脛骨への前方剪断力が少なく早期から筋力評価が可能
筋力指標がジョギング開始指標として有用
結果
本研究で任意に決定したジョギング基準の筋力指標達成群はジョギング時の疼痛と不安感が優位に少なかった
まとめ
ジョギング開始には筋力指標の達成目標を設定したほうが良い
個人的なジョギング開始基準
・再建靭帯と骨孔の固着、回復時期(12週以降)
・筋力指標(WBI0.6以上)
・膝関節伸展可動域制限が無い
・疼痛、腫脹が無いこと
・歩行動作時に跛行が出現しない
・踏む込み動作で下肢が安定している
・上記全てを満たしてDrの許可があればジョギング開始
ジョギング開始目標から逆算して、リハビリテーションをおこなう
参考文献
佐藤正裕、膝関節前十字靭帯再建術後におけるジョギング開始指標の検討、体力科学(2010)59,281~290
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