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徹夜之歌の強フレーズ感

徹夜之歌。お察しの通り、これは中国語訳の「よふかしのうた」タイトルである。「徹夜」の2文字が非常にいい。日本において徹夜というと、友人と遊び倒す享楽的な時間よりかは、テスト前とか締め切り前の焦燥的な時間であり、ほとんどの人にとっては後者のイメージが強いと思う。私はそう。
だからこそ徹夜明けは見の下に大きなくまを作って、うつろな目とへらへらした表情で「大丈夫だ!」と笑うのだ。もちろん大丈夫なわけはない。
徹夜明けの朝日は一段とまぶしく、私たちの目をさらに傷めつけてくる。やめてくれ。逆に、日本語タイトルの「よふかし」には、子供じみた知らない夜の世界へのワクワク感と、自分だけが起きている特別な時間を想像させる力があると思う。
言葉の意味としては「徹夜」も「よふかし」も変わらない意味を持つのだが、ニュアンスの問題か、日本で生きてきた感覚の問題か、まったく違う意味の単語として両者、独立しているように思えてしまう。

中国語にするとちょっと面白いタイトルをいくつか紹介します。
「偶像大師」
御存知の方も多い「アイドルマスター」の中国語訳です。アイドル=偶像という関係よりも宗教的に偶像=アイドルですね。マスターが大師は納得ですし、なんか神聖な感じしますね。
「孤獨搖滾」
はい。「ぼっち・ざ・ろっく」です。孤り。濁す。搖ぶる。滾る。ちなみに「孤獨」でひとりぼっち、「搖滾」でロックという意味です。アングラな音楽味が強い。廣井さんが主人公みたいな感じ。

意味を理解すると直訳だなって感じですが、それでも似て非なるものに思えるのは私だけでしょうか。今回の文章はこんな感じ。決して海外下げではなく、どちらかというと、日本語の絶妙なニュアンスの奥ゆかしさが難しすぎるという、解釈であることを最後に記載しておきます。

サムネ引用:徹夜之歌2巻、コトヤマ、日本:小学館、中国:東立出版社

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