【がん治療記x受験奮闘記】手術後

 脳神経外科の病棟に戻ってすぐに尿道カテーテルを取り外してもらった。取り外す瞬間、とても痛かった。下半身を露出させなければならない恥ずかしさとその痛みのせいで気分は最悪だった。
 トイレに行くと鏡に自分の顔が映る。酷い顔だった。頭には包帯が巻かれており、顔はむくんでいるようだった。また、シャワーを浴びていなかったせいで髪の毛が油でギトギトになっていた。余計に自分の顔が嫌いになる。
 手術後数日間は点滴でセフトリアキソンという抗生物質や電解質の水溶液が入れられていた。点滴スタンドと一緒に行動する生活は初めてで、自分が病人であることを思い知らされる。
食事は進まなかった。食欲をそそられない。残すたびに襲われる罪悪感に苛まれる。幼い時から米一粒一粒に農家の努力が詰まっていると教えられてきた。僕が残して廃棄させようとしている肉は栄養になるために殺された命だ。さらに、米、肉、野菜を育ててくれた人や食事を作ってくれた人や運んできてくれた看護師に申し訳ないと思った。それでも口はそれらが入ってくることを拒む。そうしているうちに料理は冷めてその良さを失っていく。余計に口がそれを拒む。結果、残したものが下げられる。世界には栄養失調で苦しんでいる人が多くいるのに、僕は出された栄養を無駄にしている。そのことに対するストレスは大きかった。そのため、僕は少し無理して食べるようになった。それなのに便が出なかった。

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