【がん治療記x受験奮闘記】放射線治療(1)

 8月31日、抗がん剤治療の開始と同じ日、放射線治療も始まった。初日は何もなかった。数日前に作った樹脂でできたマスクをつけてCTやMRIと同じように機械の上に寝て待つだけである。CTよりは時間はかかるがMRIのようにうるさくはなくとても楽だと感じた。
 放射線を照射されながら考える。この放射線の種類は何だろう。もし電磁波であるのならばそれはどのくらいの波長をもつのだろう。X線やγ線は紫外線より短い波長をもつ。つまり振動数が大きい(c=λν)。ゆえにエネルギーも大きい(E=hν)。さらに運動量も大きい(P=E/c)。ただ、それがどのように影響してがんを取り除くのか全く見当もつかなかった。だからこそ興味が湧いた。
 そんなことを考えているうちに初日の治療は終わった。抗がん剤治療も放射線治療も初日から副作用が出ることはなかったため、僕はこの調子で勉強もできるだろうと思っていた。僕は第1志望校のA判定が出ているのだ。この調子で勉強すれば合格できるだろうと思っていた。この調子といっても1日8時間くらいの勉強しかできていなかったため多少の不安はあったが、免疫力が下がって個室に移動したときにそれ以上に勉強時間を取れるからそこまで心配する必要はないと心に言い聞かせて勉強していた。

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