親を泣かせた #3 ココロとコトバ
この記事で大切にしているのは、
○匿名性
○だれも傷つかないこと
○考えを押し付けないこと
○自分たちのなかにある『患者さん』や『患者さんを支える人』のイメージに囚われないこと
………
今回お話をしてくださったのは、鬱病と口腔ガンを同時期に経験された「わたし」さん。
当時、30歳を超えたばかりだった「わたし」の『ココロとコトバ』をご紹介します。
Q.あなたが言われて救われた(嬉しかった)、または自分にかけてあげたい言葉はありますか?
言った人
両親
実際に言われた言葉
「特定のコトバではなく、日々の会話の積み重ね」
31〜32歳の頃、鬱病の診断を受けました。
当時すでに結婚をしていたのですが、妻と話し合ったのち、症状が治るまで一度紙面上の離婚をすることに。
わたしは治療に専念するため、実家へ帰省しました。
鬱病と向き合う日々でしたが、さらにガンまで発覚。
医者に目の前で「ガンです。」と言われ、かなりのショックを受けました。
告知前の検査を受けているとき、( やっぱり病気なんだろうな 。)と予想はしていたのですが、めんと向かってハッキリと言われたことで「死」を予想するんです。
ひとつ驚いたのは、告知を受けたことで鬱病が飛んだことです。
いわゆる、ショック療法みたいなものだったと思います。
【ガン=死】という認識は、体育大に通っていた経験からでした。
大学でガンについて学ぶ機会があったんです。
なので、何も学んでいない人より知識を持っていました。
そのため、あんなにも強く「死」を意識したんでしょうね。
ちなみにガン完治後、現在は同じ人(妻)と再婚して、ともに過ごしています。
あたりまえですが、両親はずいぶんと心配していました。
ガンと鬱病の併発ということで、コトバ選びは、かなりセンシティブに行ってくれていたように思います。
一つ一つの会話に「死」や、「わたしが病気である」ということを、連想させるワードを入れないようにしてくれていました。
将来もし生きていたなら。という仮定で未来の話をしていたので、かなり心配させてしまったはずです。
Q.あなたが言われて傷ついた、言われたらショックだったと思う言葉はありますか?
言った人
色んな人
実際に言われた言葉
「がんばれ」
鬱病の療養中や、ガン治療での入院中など、お見舞いに来てくれた人たちを含めた、様々な人が「がんばれ」と声をかけてきました。
病気になる・ならない以前に、そもそも『がんばれ』というコトバ自体が好きではなかったです。
『がんばれ』って応援しているようで、そのコトバを発した本人からしたら他人事ですよね。
実際、闘病している最中で言われたとき、イラッとしました。
この人は何に対して『がんばれ』と言ってるんだろう。
何を思って『がんばれ』と言うのだろう。
どのように『がんばれ』ばいいのだろう。
今まで自分の人生でしてきたこと、耐えてきたことすら適当に見られている。
そんな感情しか持てませんでした。
Q.あなたが言ってしまって後悔した言葉はありますか?
誰に対して言った
両親
どんな言葉を言ってしまった?
言ってしまったことではなく、親を泣かせてしまったことを後悔しています。
ガンの治療がはじまり、自宅にいたある日。
深夜たまたま、リビングを覗きました。
そのとき、隠れながら親が泣いている姿を見てしまいました。
「わたしにわからないように。」
と気を遣わせて、隠れたところで泣かせてしまった。
その姿を見たとき、『死ぬかもしれない』けど、後悔しないように『生きる』道を貫こう。
『自分の現状に抗おう。』とわたし自身に誓いました。
言ってしまって後悔したコトバはありませんが、親を泣かせてしまった事実は、わたしのなかで今でも耐えがたい出来事です
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