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「推し活」に命、懸けられますか?あなたの「推し力」みせてもらいます‼

こんにちは、スゴロックスです‼

いきなりですが、皆さんは人生の中で「誓約書」を書かされたことありますか?
僕はあります、それも10代のころに…。

若かりし10代の頃、パンクキッズだった僕は、いろいろなパンクバンドが都内でやっていたギグ(当時、ライブハウスや学園祭のライブのことをこう呼んでました)にちょいちょい顔を出していました。

そのひとつ、超絶狂暴なハードコアパンクバンドが東京でギグを行うってことを知った僕は、その会場となるライブハウスに悪友と向い、主催者から入場するにあたって「死んでも保証しない!」といった内容の誓約書を書かされました。
それは誓約書を書いてでも、この「特別なギグ」に参加したいという、当時の僕にとってはまさに命を懸けた「推し活」だったんです。

■国家総動員で「推し活」に夢中⁉

ある調査によると、いま国内の「推し活」市場は8,000億円規模で、その人口は1,000万人超。特に10代後半の女性は顕著で、ふたりにひとりは推し活に夢中だそうです。

さらに”推しハラ”と言って、「あなたの推しは?」といった推し活していない人たちに対して、推しを質問することはNGらしく、なんでかんでもハラスメントにしちゃう平成・令和の風潮は、なんだかなぁって思っちゃいますよね。

いまでこそ、ブームのひとつとしてフィーチャーされている「推し活」。
別にいまさらと言えば、いまさらなんですけど…。

時代は変われど、推し活の本質には変化なし

■「推し活」は人間が持つ本能のひとつ

そもそも太古の昔から、何かのモノや対象者に憧れを抱くという行為自体は、人間が持つDNAの奥深いところにしっかり埋め込まれているものなのかも知れません。
それは近年、科学的にも研究されていて、認知科学で著名な愛知淑徳大学心理学部・教授の久保(川合)南海子 氏は、著書の中で「推し」は「プロジェクション・サイエンス」のひとつと提唱しています。

この「プロジェクション・サイエンス」とは、ある人にとっては何の興味のない人やモノが、別のある人にとっては、めちゃくちゃ突き刺さる特別な存在になるという人の心の中の動きの研究で、心の中に入り込んださまざまな感情や情報を、人それぞれ異なった自分だけのイメージとして外的世界に投射(プロジェクション)することらしいです。

本来、単なる光を放つ物体であるテレビに、自分が好きな俳優やアーティストが映し出されたときにうっとりしたり、その歌声に聴き入ったりするのは、好きや興味といった自分の心の投射がテレビ映像と重なることから起きる働きのようです。

きっと、10代のあの時の僕には、誓約書を書いてでもギグに行きたいというただならぬ猛烈なプロジェクション・サイエンスがそこに働いていたんだと思います。

■ゲーム業界よりもエンタメ業界の方がNFTの活用が一枚上手かも

なので、「推し活」自体は人間の本能のひとつで、いまのように「ちやほや」されるような特別なものではなく、それを取り巻く環境変化が、いまの時代にどれだけ進化しているかの方が、技術的にもビジネス的にも興味があります!

特にエンタメ業界は転売・偽造防止に効果があること、ローソンチケットのように、コンサートや演劇などのイベントチケットを「記念チケットNFT」としての付加価値をつけるなど、NFTチケット導入が進められているように「推し活」のDX化も進んでいます

最近、三井物産、Web3企業のAnimoca Brands、そして茨城のLuckyFM茨城放送が共同で行った「推し活」の熱量を可視化するという概念実証が話題になっていました。

ファンの熱量の可視化と言って僕が懐かしく思い出すことが、コンサートステージに投げ込む紙テープです。
いまは危険のため紙テープをステージに投げ込むことはNGですが、1978年4月に後楽園球場(現・東京ドーム)で行われたキャンディーズの解散コンサートで、ステージに投げ込まれた紙テープは11トントラック250台分。
「この俺の熱い想い、ステージに届け‼」と多くのファンが紙テープを投げ込んでいました。ステージに散らかる紙テープの量こそが、ファンの熱量の証でした。

閑話休題

今回の概念実証は、LuckyFMが7月に開催したウルフルズ、新しい学校のリーダーズ、NEWS、水曜日のカンパネラ、超ときめき♡宣伝部をはじめ、国内外の層々たる人気アーティストが参加した音楽フェス「LuckyFes 2024」にあわせ、各アーティストのファンたちが、グッズ購入やデジタルミュージックの再生数、SNS発信など、どれだけアーティスト貢献しているかをデジタル化し、今後のロイヤルティ・マーケティングに役立てていけるかを見極めるもの。

推し活の熱量に対してのマーケティング分析や取り組みは、ほかにもいくつかあります。例えば、

  1. 「推し活」を支援するNFTスマートコントラクトを開発したTIS

  2. “推し活×NFT” のサービス展開を実践するプレイシンク

  3. ファンの”徳”を可視化する「サンリオ」推し活アプリ「おしきゅん」  

今回、「LuckyFes 2024」と連動させた可視化にあたり、三井物産が用意した「OSHI×TRACK」(オシトラ=推しの足跡)というツールが、LuckyFes 2024公式アプリに盛り込んだそうです。

LuckyFes2024公式サイトより 

この概念実証の関心させられる点は、いわゆるファンの熱量の可視化というと、過去にあったCDの爆買いや組織票などに偏らさせない”量より質”の工夫があるところ。
単純に複数グッズを購入するとポイントが高くなるとかにさせないだけでなく、ファンクラブの在籍年数や地方から参戦にはポイントを高くするなど。

生死を懸けた誓約書を書いた僕は、オシトラが当時あれば、高得点がGETできたハズです…。

そして一番の重要ポイントは、参加したファンの「推し力」に対してのベネフィット
付与される譲渡不可のSBT(ソウルバウンドトークン=個人のアイデンティティに紐づくトークンって意味らしいです)も、ゲーミフィケーションを組み込んだクエスト達成でランクアップし、会場で使えるドリンクチケットやアーティスト写真を使った記念のデジタルバッジなどいろいろと用意されていて、会場に行けるファンだけでなく、当日、会場に行けないファンもこのプログラムに参加し、楽しめる仕組みになっていました。

この仕組み、「推し活」のロイヤルティ・マーケティングにとどまらず、三井グループが持つ「三井アウトレットパーク」などの来店・購買訴求として、横展開もできそうですね。

概念実証なので、今後の課題もあったと思いますが、知らず知らず、楽しみながらWeb3体験をしていたという姿こそが、僕たちゲーム業界に関わる人たちも見習わなければいけないなぁと。

6月から8月末にかけて、「推し活×web3」による新たなトークン経済圏『OSHI3』というプロジェクトを推進しているgumiと、HAKUHODO HUMANOMICS STUDIOが共同で「誰もが楽しめるブロックチェーン技術を活用した「推し活」体験の創出」をテーマにした企画コンペを開催されました。
その審査結果がもうそろそろ発表になるかと思います。
どんなアイデアが飛び出すか、いまから楽しみですね!

「推し活」のいまを振り返って(西P評)
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日本語って不思議ですね。
ファン活動が「推し活」って呼ばれるようになった瞬間、カッコよく聞こえる。ひとつの特別な定義に昇華されている気がします。
推される人やモノって推されるためにうまくやっているのか?
それよりも、自分たちのこだわった作品やあるべき姿を、ファンたちに推しつけて、それが逆にファンたちの推し返しになることが、もしかしたら「推し」なんじゃないかって感じます。そして、サービスホルダーがさらに推し返す。まさに「推し合いへし合い」が「推し」なのかもしれないですね。
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