横歩

PKメインで積極財政には賛成。あくまでポストケインジアンであってMMTerではなく基本…

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PKメインで積極財政には賛成。あくまでポストケインジアンであってMMTerではなく基本的にはカレツキアン。ELR(最後の雇い手)推進※文責は本人にあります。ベーシックインカムは断固反対。原発再稼働&火力発電の高効率化を支持。経済政策ヲタク。

最近の記事

ホリゾンタリズムとストラクチャリズムの理論的統合

ここでは両者の理論的統合を図った、フォンタナ(2009)の議論をみていく。    貨幣供給過程においては中央銀行の行動が極めて重要な役割を果たす。中央銀行は名目短期金利を調節することによって貸し出し市場における貸し手の行動に影響を及ぼすことができる。この点はホリゾンタリズム、ストラクチャリズムの双方も認められる点である。  両者の相違点は貨幣供給過程において中央銀行が仮定する期待の状態にある。ホリゾンタリスとは期待の状態が一定であるとし、ある特定の政策スタンスが採用されると

    • 内生的貨幣供給理論~ストラクチャリスト

      https://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~oka/pkownrate_slide.pdf ここではポーリン(1991)の主張からストラクチャリストを説明する。 商業銀行が不十分な準備預金しか保有していないので、中央銀行は順応的に貨幣供給しなければならない(順応的内生性)とするのがアコモデーションであるが、ストラクチャリストの立場では必要な準備預金はある程度金融革新によって創造されると考える立場。(構造的内生性) 「非借入準備の成長を公開市場での制限を

      • 内生的貨幣供給理論①ホリゾンタリズム

         ホリゾンタリズムはムーアがカルドアの内生的貨幣供給理論を継承し、その後の理論展開の基礎となった。 カルドアの主張をかいつまんで説明すると ①貨幣数量説とは正反対の「貨幣需要から貨幣供給量」への因果性を主張 ②当座貸越に注目し、外生的な利子率と水平な貨幣供給曲線を主張 ③貨幣の超過供給を否定(過剰な信用貨幣は負債の返済に充てられる) ④中銀が受動的に貨幣供給する理由として、最後の貸し手機能を重視 といった点で、ムーアはそれを基礎として理論を展開していった。 ムーアが19

        • 内生的貨幣供給理論の2つのアプローチの対立と統合(ホリゾンタリズムとストラクチャリズム)

          ポストケインズ経済学の根幹となっている理論の一つが「内生的貨幣供給理論」であり、それはいわゆるマネタリストの貨幣数量説に対する批判として登場した。  だが、そのポストケインジアン同士でも内生的貨幣供給理論について2つのアプローチがあり、それが長い間論争になっていた。 一つは「アコモデーショナリズム」(同調論)、もう一つがストラクチャリズム(構造論)である。 結論から書くと、現在ではこの2つのアプローチは理論統合が図られ、対立ではなく、相互補完的なものとされている。以下、

        ホリゾンタリズムとストラクチャリズムの理論的統合

        • 内生的貨幣供給理論~ストラクチャリスト

        • 内生的貨幣供給理論①ホリゾンタリズム

        • 内生的貨幣供給理論の2つのアプローチの対立と統合(ホリゾンタリズムとストラクチャリズム)

          ポストケインズ 有効需要とその構成

          ケインズは「一般理論」で有効需要の構成要素として独立支出と誘発支出を区別した。誘発支出とは、現在の所得水準に依存する、現在の有効需要の構成要素である。そして独立支出とは、現在の産出からは独立している。投資は基本的に企業家の長期期待に依存した独立変数である。他方、消費は部分的に誘発消費である。  カレツキのアプローチとして、消費を労働者の賃金からの消費と、資本家の利潤からの消費という2つの要素に分けている。前者は誘発支出であり、後者は過去の実現利潤に依存するので独立変数である

          ポストケインズ 有効需要とその構成

          ポストケインズ経済学(費用の逆説)

          費用の逆説 費用としての賃金の増大は稼働率一定であるならば当然ながら利潤率を低下させるが,カレツキアン的な不完全稼働状態では,賃金の増大は有効需要の増大を通じて稼働率を押し上げるため,結果的にそれは利潤率を押し上げる。よって実質賃金の増大は利潤を低下させない。 1社だけが単位賃金を下げることで、利潤を増やすことはできるが、全体的な利潤は、最終的に、少しも高くならない。なぜならすべての企業が、価格を一定に保ちながら、名目賃金を下げ、マークアップを上昇させると、結局は、商品の

          ポストケインズ経済学(費用の逆説)

          カルドア=フェルドーン法則

          カルドアは製造業こそが経済成長のエンジンだと考えていたのである.そしてその製造業についての法則として,フェルドーン法則というものを彼は考えたのである.それは,製造業の生産性は産出の成長率と強い相関関係にあるというもので,収益逓増や循環的・累積的因果関係をこれと併せて考えると,次のようなことが言えることになる.はじめに外的な需要をうまくつかまえて産出を成長させる(資本を蓄積させる)ことができれば,あとはフェルドーンの法則が作用することで生産性は資本蓄積が進んでいる所ほど大きくな

          カルドア=フェルドーン法則

          フロアシステムとコリドーシステム

          FRBは1月30日、FF金利の誘導方法として、引き続き「フロアシステム」を採用することを明言した米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は1月30日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導方法として、引き続き「フロアシステム」を採用することを明言しました。このシステムは、「管理された金利」を使って準備預金残高を積み上げたままFF金利を目標水準に誘導するもので、準備預金残高を積極的に操作する必要がありません。 管理された金利と

          フロアシステムとコリドーシステム

          ポストケインズ経済学 初歩

          ◎ポストケインズ経済学を学ぶ目的 ①主流派経済学に基づく経済政策が上手くいっていないのでそれに対抗できる経済理論 ・実質賃金が下がっている。 ・不安定雇用・非正規雇用の増大 ・増える国民負担(増税・社会保険料増加) ・公的サービスの低下/国民のニーズに合わない。 ②1970年代のスタグフレーションについて説明できなかった ケインズ経済学←新古典派経済学からの批判。 (生産性危機+急速な賃金上昇+オイルショック・・・) ⇒単純な総需要管理政策では対応できなかった。 ③金融政

          ポストケインズ経済学 初歩