ポストケインズ経済学(費用の逆説)

費用の逆説

費用としての賃金の増大は稼働率一定であるならば当然ながら利潤率を低下させるが,カレツキアン的な不完全稼働状態では,賃金の増大は有効需要の増大を通じて稼働率を押し上げるため,結果的にそれは利潤率を押し上げる。よって実質賃金の増大は利潤を低下させない。

1社だけが単位賃金を下げることで、利潤を増やすことはできるが、全体的な利潤は、最終的に、少しも高くならない。なぜならすべての企業が、価格を一定に保ちながら、名目賃金を下げ、マークアップを上昇させると、結局は、商品の売れ行きが低下する。

カレツキモデルは、利潤マージンや資産稼働率が利子率よりも企業の意思決定に影響するという考えで作られています。そのため資産価値や生産性が上がっても賃金を上げずに利潤マージン(いわゆる利ザヤ)が上がるだけや稼働率が落ちる決定を企業がすれば、需要は上がらず。(雇用が増えない) また、逆に一部ではなく全体の企業が賃金や材料投資等の費用を増やしたら、需要此処では稼働率上げ、市場シェアが増えたりや賃金あげての購買力が増えれば利潤率が上がる

 費用の増加が需要増を通じて利潤率と成長率を押し上げる。

名目所得Yは
Y=賃金+利潤=消費+投資

賃金+利潤=賃金からの消費+利潤からの消費+投資

「労働者は貯蓄せずに所得のすべてを支出する」という古典的仮定をおくと、

賃金からの消費=賃金

これを1つ前の式に代入すると

利潤=利潤からの消費+投資

マクロ経済での利潤は、民間部門の投資と利潤からの消費の和に等しい。

財政赤字が民間部門の利潤を実質的に押し上げることを簡単に示すことができる。

税引後利潤=利潤からの消費+投資+財政赤字

この式が意味する因果関係は、利益を増加させようと決定することはできないので、利潤を決定するものは、資本家の投資決意および消費決意であって、その逆ではない。資本家は、投資と自らの消費を「決意」できるが、利益 を「決意」することはできない。したがって、この等式は、右辺の「投資と資本家消費」が左 辺の「利潤」を「決定する」ことを意味する。

実質賃金の減少は、総利潤の大きさには影響を与えない。なぜなら総利潤は、実質総支出の水準のみに依存するから。
実質賃金が低下すると、売上げ1単位当たりの利潤マージンは増加するが、総利潤は変化せず、国民所得、売上げ、雇用は低下する。
総需要の減少は、この現象の背後にある真の原因。

実質賃金が上昇すると、実質総需要が増加し、生産と雇用が増加すること

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