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執筆者紹介③ 萩原久実子さん

今回は、萩原久実子さんです。
萩原久実子さんは、ギャラリーリールの常連さんです。話してみると、文学、映画、伝統芸能、舞台などなど…あふれだす知識の洪水と楽しいお人柄に、すっかり店主がハマってしまったのでした。
府外にお引越しされた時は寂しくなるなあと思ったんですが、むしろ、以後個人的に会う機会が増えたという(笑)もはや同い年の大切な友人です。

大阪~堺をのんびり走る阪堺電車
沿線に点在するお気に入りの場所


Q.4月から連載のメインテーマを教えてください。

大阪市と堺市にまたがる路面電車、阪堺電車(通称ちん電)の沿線をまち歩きして、おすすめの情報を勝手に発信する活動を一人で続けております。
この活動を通じて感じた、ちん電沿線のえもいわれぬ魅力のツボを存分に語らせていただきたいと思います。

ひきこもりから脱した頃にふれた
今まで知らなかった地元の魅力


Q.テーマについて興味を持ったのはいつ頃ですか。きっかけは?

当時無職のひきこもり状態から自分でどうにか歩きはじめた時期で、まずやれることからと、まちづくりのボランティアなどに関わりました。
その中で「これから、ちん電(阪堺電車)の魅力を発信するフリーペーパーのマップを作ろうと思っている」という方と出会ったのがきっかけです。
その活動を通して、ちん電沿線は、今まで見たこともなかった大阪・堺の魅力に満ち溢れていると知ったんです。

Q.ほかに、日常的に楽しんでいる事柄はありますか?
寄り道が好きです。そこで出会う思いがけない何かがあると小躍りします。
チェーン店よりも断然個人店、大量生産よりも断然手作りものや一点物が好きです。なぜって、そこには物語があるからです。
他にはない、そのときその場所、そのひとたちだけの物語が。

アトピーで制約が多かった幼少期
マザーグースや児童文学に親しむ


Q.好きな季節は?

初夏です。5月の新緑の季節が一番好きです。
正午前に生まれたせいか、日のあたる時間が長いほど嬉しいようです。

Q.子供の頃からずっと好きな食べ物・メニューはありますか?
石焼き芋。みりん干し。ししゃも。
子供の頃、お弁当にみりん干しかししゃもが入っていたときはテンション上がりました。渋い味覚でした。我ながら。
重度のアトピーだったので、小学生の時に2年間厳しい食事療法のため、主食は芋と、アワ、ヒエ、キビ等、戦時中か、みたいな食生活を経験したことがあります(結局アトピーは治らず、つらい記憶だけが残りました)。

Q.子供の頃、憧れたものは何ですか?
漫画家でした。おうちでできる仕事がしたかったのです。
アトピーなので、齢6歳にして社会生活は無理だと幼いながらに悟ったのでした。

Q.他人から見ればガラクタかもしれないけれど、ずっと昔から所有していて、死ぬまで大切に持っていたい宝物はありますか?
うーむ…。ありすぎて、却ってわかりませんが(笑)
「マザーグースの歌がきこえる(ニコラ・ベーリー/絵、由良君美/訳)」という絵本が、5歳のときからの宝物です。これでマザーグースの魅力に開眼しました。

ドストエフスキーの「罪と罰」が
繋いでくれた不思議なめぐりあい


Q.自分の生き方に大きく影響を与えた作品、存在や出来事はありますか?

あえてひとつだけ挙げるなら、ドストエフスキー「罪と罰」です。
中学生のとき、同級生から「叔母さんにもらったから貸してあげる」と渡されて。ちゃんと読んで感想を答えなければいけない!と、14歳の幼いオツムで一生懸命、この巨匠の大作に挑みました。そして、めくるめく面白さにどんどん引き込まれて、夢中になって読み終えたのです。
が、友人はこうのたまったのであります。「うち、読んでへん」
それから十数年後。30代前半になった私は体調を崩して失業、ひきこもり生活に。アトピーは治らないし、お先真っ暗でした。
そんな中、大阪府立大学の公開講座でドストエフスキーの講座を見つけ、導かれるように通い始めました。そこで教えてくださった先生の教えが、私の迷いだらけの人生に光をもたらしてくれました。何も信じられなかった私が、先生の話だけは信じられるかもしれない、と思えたのでした。私はようやく少しずつ、自分の人生を歩きはじめました。
先生とは、2年前に再会しました。
今は私の夫です。ひょうたんから駒みたいな話です。

Q.今歩んでいる人生は、中高生の頃想像していたイメージと、何%くらい一致していますか?
0%
そもそも、将来の自分など全く想像できませんでした…。
無計画人生まっしぐらに突き進み、今に至ります。

コッカ―スパニエルのはずが…
やってきたのは純和風の“うめ吉”


Q.現在ペットは飼っていますか?過去にはペットを飼っていましたか?

飼っていません。アトピーなので動物を飼えませんでした。
本当は犬を飼いたくて、かわりに犬のぬいぐるみが欲しいと、小学校2年のときサンタさんにお願いしました。コッカースパニエルみたいなふさふさ毛並みの西洋風子犬ちゃんをイメージしていたのですが、想像と全然違う「うめ吉」という純和風のワンちゃんが来ました。
今から思えば完全に母親の趣味でした。

Q.今の自分に足りていないもので、神様に1つだけ叶えてもらえるとしたら、何をお願いしますか?
健康な身体かなぁ、やっぱり…。(普通ですみません)

Q.最近目にしたもので、元気や勇気を与えられた作品や出来事は?
「コウペンちゃん(るるてあ・漫画)」です〜。いつも「○○してえらい!」とことあるごとに褒めてくれるので、毎日生きていられます〜。
あとは…「セトウツミ(此元和津也・漫画)」です…。

室町時代の京都に行って、
観阿弥世阿弥や犬王の能を観たい


Q.タイムトラベルできるとしたら、どんなところへ行きたいですか?

室町時代の京都に行って、観阿弥世阿弥や犬王の能を生で観たい!
あと17世紀のロンドンに行きたい!

Q.入れることなら入ってみたい!と思った創作物(映画や小説、絵画など)何かありますか?
「メアリー・ポピンズ」のお話の中に入りたかったです。
ロンドンの街並みも生活にも憧れましたし、メアリー・ポピンズが連れていってくれる非日常の不思議な世界に一緒に行きたかった。
長期入院していたときも、病室の殺風景な窓を眺めながら、この空が続いているロンドンに行きたいなぁ、って思い続けていました。

Q.国内外問わず、暮らしてみたい国や地域はありますか?
堺です。またはロンドンです。

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いかがでしたでしょうか。
本当は、もっとエピソードをご回答下さっていたのですが、調整のためカットせざるを得ずでした…。改めて本編でお楽しみ頂ければと思います。
最後に、今回も“まじめなプロフィール”を添えて終わります。

【萩原久実子・プロフィール】
大阪・堺市出身。
生後まもなくアトピーを発症し、血まみれの暗い悲惨な幼少期〜思春期を経験。おとぎ話を心の支えに成長する。
26歳で一念発起して兵庫県立尼崎青少年創造劇場(ピッコロシアター)演劇学校へ入学。才能のなさを思い知り、3年目で卒業。以後演劇の道を断念。
その後体調を崩し、ひきこもり生活に。仲間とともに「ひきこもりーノ大作戦」を立ち上げ、ボランティア活動を通じて自立の道を探る。
阪堺電車(愛称ちん電)の魅力を発信するフリーペーパー「ちん電マップ」の発行に携わり、その後独立して「ちん電どんぶらGO」を発行。ちん電沿線をまち歩きしながら、SNS等で勝手に発信し続けている。

次回は、イラストレーターの北村ハルコさんをご紹介します。どうぞお楽しみに!

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