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あられ松原でどんぶらGO!

ちん電沿線随一の恋スポット♡
あられ松原の不思議な魅力


さて、新スタイルで再開した「ちん電どんぶらGO!」
主人公が毎回ちん電沿線の不思議スポットに迷いこむ設定のありすちゃん編第2回目(通算で5回目)のおはなしの舞台は、安立町の霰松原に決めました。

霰松原というのは、紀州街道沿いにある史跡で、古くは万葉の時代から白砂青松の名勝地として知られていたそうです。
今では公園として市民の憩いの場になっています。
小さな公園ですが巨大な楠がそびえ立ち、安立町役場跡の碑や日露戦役従軍者慰霊碑などの大きな石碑がたくさん並んでおり、荘厳な空気を感じます。
このあたりは江戸時代に大和川の大規模な治水工事が行われるまでは目の前まで海岸線が迫っていたそうです。かつての浜寺や住吉と同じく、松林が並ぶ美しい砂浜だったのでしょうね。
「霰松原」の名前は、松林の葉音が風に鳴るさまが霰の音のように聞こえたためとも、砂浜に点在している松の木がまばらに生えているさま(「あらら」=まばらな)を呼んだためともいわれています。
私はこの霰松原を訪れるたび、いつも不思議な空気を感じていました。
ここだけがあきらかに他の場所とは違う、独特の空気に包まれているのです。
なにか重苦しいような、それでいて神聖なような・・・なにか大きなものを内に秘めているような、濃密な静寂に包まれている場所なのです。
この、なんとも言えない霰松原の不思議な魅力をぜひたくさんの方にお伝えしたいと、以前からずっと思い続けておりましたので、今回さっそくありすちゃんに訪れていただくことに決めました。

久実子さん 1

恋の和歌に導かれて…
万葉の時代へタイムスリップ⁈


そして、この霰松原を舞台に詠まれたロマンチックな恋の歌が万葉集にあるのです。

あられ打つ霰松原住吉(すみのえ)の弟日娘と見れど飽かぬかも
長皇子(巻一、六五)

この歌は、天皇の行幸のさい同行した長皇子が、この地に宿をとった時に詠んだ歌とされています。「弟日娘」(おとひおとめ)とは、この土地の遊女のことだそうです。おそらく、貴族の接待役をつとめるほどの遊女ですから、教養や芸事に秀でていた優れた女性だったと思われます。
長皇子は、美しい松林の白浜で美女とともにすごした旅のひとときの思い出を歌に残したのでした。
もう逢うこともないかもしれない、かりそめの恋の思い出。
どこまでもひろがる白砂青松の風景とともに、皇子の心は立ち去りがたい思いであったのかも知れません。

今回のお話は、このロマンチックな恋物語をメインに展開しました。
かねがね、この霰松原こそは、ちん電沿線随一の恋スポットやで・・・と勝手に思い込んでいた私。
今回はとことん文学的に、そしてロマンチックに!そう、往年の少女マンガのバリバリ王道路線で!いくでー!!と決めたのでした。

安立町の守り神、
金高大明神様とご対面〜!!


さて、実はこの霰松原にはもうひとつ注目スポットがあります。
「霰松原神社」という小さな神社で、小さいながらも鳥居と、その奥にかわいらしい小さな祠が三つ並んでいます。

久実子さん 2

注目は、向かって左側の祠です。
順々にきちんとお詣りをしたら、どれ、ちょいと失礼申し上げて・・・
祠の中を、下から見あげるようにして覗いてみましょう。

久実子さん 3

じゃーーーん!!!

はい、この御方です。
覚えておられますでしょうか、「ちん電どんぶらGO!」第4回目にもご登場いただきました、金高大明神様でございます。
商売繁盛の神様だそうで、この先にある安立商店街はじめ、街道のお店の守り神として祀られているようです。もっとも由来は定かでなく、大阪大空襲後に心斎橋の焼け跡で発見されたところを救出されてこの地に安置されたという話もあります。

なんともユーモラスで愛嬌のあるお姿、一度見たら生涯忘れられないようなド迫力(笑)
とにかくハンパないインパクトのある神様なのであります。

この金高大明神様のヒミツも今回のお話のキーポイントです。

最後に、毎回ひとつだけお店の紹介を入れる構成にしていますが、今回紹介するのは安立商店街にある古本と雑貨のお店、大ギンガ書房さん。
サブカル&レトロ好きにはたまらんセレクト揃いの、かなりヤバいお店です。
このお店ひとつとっても、「安立はヤバいな」と断言できます(笑)
案ずるより横山やすし。安立にお越しの際はぜひとも、金高大明神様と大ギンガ書房をお見逃しのなきように・・・

久実子さん 5

では、今回の「ちん電どんぶらGO!」は、どんなお話になりましたでしょうか~
どうぞごらんください♪

ちん電どんぶらGO!5-1

ちん電どんぶらGO!5-2

ちん電どんぶらGO!5-3

ちん電どんぶらGO!5-4

いかがでしたでしょうか?
では、次回の「ちん電どんぶらGO!」もお楽しみに!

久実子さん 4


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久実子さん3

【萩原久実子・プロフィール】
大阪・堺市出身。
生後まもなくアトピーを発症し、血まみれの暗い悲惨な幼少期〜思春期を経験。おとぎ話を心の支えに成長する。
26歳で一念発起して兵庫県立尼崎青少年創造劇場(ピッコロシアター)演劇学校へ入学。才能のなさを思い知り、3年目で卒業。以後演劇の道を断念。
その後体調を崩し、ひきこもり生活に。仲間とともに「ひきこもりーノ大作戦」を立ち上げ、ボランティア活動を通じて自立の道を探る。
阪堺電車(愛称ちん電)の魅力を発信するフリーペーパー「ちん電マップ」の発行に携わり、その後独立して「ちん電どんぶらGO」を発行。ちん電沿線をまち歩きしながら、SNS等で勝手に発信し続けている。


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