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ガリレオ解説|Winnie-the-Pooh #4

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まえがき/Introduction (3)

ここまで書いたところで、コブタのピグレットがこちらを見あげて、「ぼくのことは?」って、かん高いキイキイ声で聞いてきたよ。

I had written as far as this when Piglet looked up and said in his squeaky voice, ‘What about Me?’

(30) I had written … when Piglet looked up and said…

過去完了形 (had + 過去分詞)は「過去の基準点から更に過去を振り返った視点」。

逆に言えば、過去の基準点(本文では looked up and said)が文脈上明らかでない場合や,過去に起きた出来事を時系列に沿って述べる(振り返る視点を持たない)場合には、過去完了形は用いない:

(i) Shakespeare died on April 23, 1616.
(ii) When I opened the window, the cat jumped out.

例文(ii)の出典:Practical English Usage 4th ed.

(31) as far as

「距離の限界」を表す。この場合「冒頭からこの箇所まで」を一種の距離として捉えている。

またこの意味から、「あることが成り立つ一定範囲の限界」へと拡張したのが以下のような例:

(i) As far as I can see, you’ve done nothing wrong.
「私の見る限り、あなたは何も悪いことはしていない。」


だから、「ねぇピグレット」と呼びかけて、「この本ぜーんぶに君のことが書いてあるんだよ。」と答えてあげたんだけど、「でも、これプーの本なんでしょ?」って、キイキイ声ですぐ言い返してきたんだ。

‘My dear Piglet,’ I said, ‘the whole book is about you.’ ‘So it is about Pooh,’ he squeaked.

(32) ‘So it is about Pooh,’ he squeaked.

前文の ‘Piglet […] said in his squeaky voice’を基に、発話時の声の様態を表す in his squeaky voiceの部分が動詞に併合されている (cf. 注(20, 24))。

squeakとは ‘to say something in a very high voice, especially because you are nervous or excited’ (LDOCE)の意。訳では /skwiːk/の発音の感覚を活かして「すぐ言い返す」としてみた。


わかるよね。

You see what it is.

(33) see

‘UNDERSTANDING IS SEEING’:「わかる=見える」というメタファーに基づいた表現。‘I don’t see your point.’「話が見えない」といった例でも同様。

(34) what it is

間接疑問文なので‘疑問詞 + S + V’の語順。ここでの itは「Pigletの言動」を受けている。


ピグレットはヤキモチをやいているのさ。この「だいじなまえがき」を、プーにひとりじめされたと思ってね。

He is jealous because he thinks Pooh is having a Grand Introduction all to himself.

(33) Pooh is having a Grand Introduction all to himself.

状態動詞としての have(所有している)であれば進行形では使われない:

I have a headache.
*I am having a headache.

ここでは「『だいじなまえがき』を自分ひとりのために書いてもらっている」という動作が今まさに進行中であることを捉えている。(cf. The store is having a sale.「その店はセール中です。」)

英語原文はこちらから↓

※ガリレオ研究室は Amazonのアソシエイトとして適格販売により収入を得ています。
※本記事掲載の訳は、推敲の上、加筆修正を施す可能性があります。

©翻訳: Hirohito KANAZAWA

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