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苦しんでこその2023 4節 アトレティコvsセビージャ(H) 2023.12.23

4節の振替。マドリードに大雨が降るぞー!って話で延期したけど別にそんなに雨は降らなかったみたいな。おかげさまで年末に過密日程に。おれもしんどい。

セビージャとの前回対戦

アトレティコが6点取った日。シメオネのクラブ史上最多、613試合目の指揮をお祝いする花火大会となった。
先季12位で終えたセビージャは未だに復活のきっかけを掴む事ができず、今季も先季EL優勝に辿り着いたメンディリバルの継続路線から一転、9節終了時2勝2分4敗(4節は延期した今日の試合なので8試合)、CLは2つ引き分けた時点で解任。
後任はウルグアイ代表を立て直したんだかぶっ壊したんだかよくわからんディエゴ・アロンソで、ラリーガを5分3敗、CLを4試合全部負けてまさかの未勝利で先週解任。ちなみにこの人、01-02シーズンにアトレティコでプレーして、当時セグンダ2年目の絶望期に22ゴールを決めてプリメーラ昇格の立役者になった人です。セグンダ得点王。

今季3人目の監督にはキケ・サンチェス・フローレスが就任。空いてて良かったキケさん。なんとなくセビージャは4-2-3-1に最適化されたメンバーな気がしているがもう最適とか言ってられる状況じゃない。前節グラナダ戦でしっかり5-3-2(5-4-1)で戦って3-0勝利。9月26日のホームアルメリア戦以来の勝利で、アウェーゲームでは今季初勝利(国王杯は除く)となった。

そういえば自分でも忘れてたが9月の試合前にプレビューを書いていました。



●スタメン

・アトレティコ
オブラク
ヴィツェル / ヒメネス / アスピリクエタ
モリーナ / デ・パウル / コケ / リーノ / リケルメ
グリーズマン / モラタ

エルモソが累積、サヴィッチがレッドカードで出場停止。前節はベンチから外れたヒメネスが戻ってきた。アスピリクエタが左。リケルメとリーノの併用を継続する。

・セビージャ
グデリ / セルヒオ・ラモス / キケ・サラス
フアンル・サンチェス / オリベル・トーレス / ソマレ / ラキティッチ / ペドロサ
スソ / オカンポス

前節グラナダ戦からはエン=ネシリ→ラキティッチだけ変更。



●前半

セビージャは前節から取り組む5バックでスタート。純粋FWを一人も置かなかったのはキケさんなりのリスペクトかと。実際前半を0-0で進む事になるので、その目論見は成功している。まずは撤退から。あとはカウンターの可能性をチラつかせる。セビージャにとってはそういう前半で、再構築期でありやる事を明確にしたのはキケさんらしい。

5-3-2。左IHのラキティッチが矢印を前に向けて5-4-1(5-2-3)っぽくなる事も。トランジションはアトレティコのHV(ヴィツェル&アスピリクエタ)の背中を取りに行くランニングを中心に。アトレティコの守備は
・エルモソではなくアスピリクエタを起用
・ヒメネスがいる
の2点があるので特に対応せずに普段通りに過ごす。この程度の事で揺らいでいる場合ではないのでこの態度は悪くなかった。"へえHVの裏狙ってくるんだ?"くらいの対応でいい。

セビージャの守備は先季のヘタフェ風、かつアトレティコの5-3-2風。そもそも先季の時点でブロックの置き方はアトレティコよりキケさんのヘタフェの方が上手かったわけで。
それにしてもtwitterでもちょろっと言ったが監督が変わって即、指示されたブロック守備を形に出来るセビージャの選手達は凄い。それだけにこの不調は残念な気持ちもある。
2トップは配球を左右選択させ中央ルートを閉じる。大外はタイマン。近寄るFWにはHV迎撃。
自分達が普段やっているからこそ、アトレティコはブロックの中、ライン間でボールを触る事と中央で前を向く事を意識。

リーノがIHの背中に潜り込んでボールコンタクト。思っていたより上手かった。リーノの背後でモラタが裏を狙う形も約束事だった様子。モラタにこういう約束事が用意されるのは今季見てきた中で初めてな気はするが、チームが勝ててない時は言う事聞くのかもしれない。ちなみにどっちでも大差ない気もするがリケルメは内側の仕事の方が向いている気がする。

リーノからダイレクトのレイオフを受けたコケ&デ・パウルが逆のHVの背中へロングボールを送り込む形を連発。キケ・サラスは良く対応していたと思う。
ともあれ前半のアトレティコは1stラインを突破してリーノがライン間コンタクト、周辺のDFの注目を集めてコケ&デ・パウルに前を向かせる、キケ・サラスの背後へロングパスor左のリケルメの1vs1を選択。という形を擦り続けて敵陣でのプレーを続けた。


あとはボールホルダーへのマークがはっきりしない時は積極的にドリブルでゲイン。主にアスピリクエタ、デ・パウルがこれを活用してどこかに数的優位を作ろうと画策した。総じて"セビージャよく守ったな"という感想。

アトレティコ側のリスクは相変わらず相性の合わない主審セサル・ソト・グラードと揉める事ぐらいで、前半からモリーナとヒメネスがカードを受けた。ヒメネスの"またお前か"みたいなリアクションを見ながらおれはヒメネスに"またお前か"と思っていた。ちなみにカードを引き出したのはどちらもラキティッチで流石に巧かった。


●前半終了

前半は0-0で折り返した。ここ2試合と比較すれば穏やかな前半。得点の可能性は薄かったがそこはセビージャがよく守った部分。アトレティコは後半に交代の選択肢を活かして得点を狙い、そして失点をしない事にチャレンジする事になるが、今季都合よく前半に先制点が取れる機会が多いだけでアトレティコは元々そういうチーム。アトレティコらしく先制点を狙い、逃げ切るフェーズに移る。


●後半

早速2枚交代。

後半開始時(45:00〜)

モリーナ&リケルメを下げてジョレンテ&コレア。より直線的にゴールを目指す交代になる。アトレティコはやや配置を弄り、3-2-5の風合いを強くする。相手の配置に合わせて5レーン埋めようね、という配置に変えた。

3-2-5。コレアとグリーズマンがハーフレーンに立ってセビージャの5バックに5枚でぶつける。さらにHV(ヴィツェル&アスピリクエタ)が広いポジションを取る事でセビージャ2トップの守備を無力化し、引き続きコケ&デ・パウルに前向きでボールを持たせる形を画策した。そして後半開始最初のプレーで答えを出す。

左サイドでデ・パウルとグリーズマンが距離を近くして相手MFのプレッシャーを外し、センターサークルでコケを前向きに。

近づいたコレアへのパスを警戒してキケ・サラスが引き寄せられ、WBの背後が広く空いた。そこに正確なボールを配球しこれをジョレンテがパーフェクトな1stタッチで勝負あり。一度はラモスがクロスを止めたがジョレンテが自分で打ち込んで先制。呆気なかった。
コレアが右ハーフスペースに入ることで右大外で2vs2を作り相手を押し込む事を含め後半に向けてデザインした環境を作れている実感があり、なんだか本当に久しぶりにアトレティコらしい時間を過ごす。

そして55分にモラタがお役御免。サウルを入れ、3-2-5は10分足らずで終了。前節はっきり出来なかった交代策を明確にしたのは好印象かつ、この試合のクローズに賭ける気合が見えた。

この時間帯、少し難しくなったのはアトレティコの前線の的が減った事でセビージャのプレスが前向きに変わってしまった事。そして的がコレアしかいない環境で膝だの腰だのぶつけ続けて疲弊していった。

だいぶ疲労も溜まって攻守の切替も雑になってきたアトレティコは66分にコケ→ソユンジュで撤退逃げ切り体制を選択。

クローズ体制突入フェーズ(66:00〜)

が、69分にソユンジュがネガトラでオカンポスを捕まえようとしたプレーで足首辺りを踏みつけており問答無用の一発退場。これは仕方ないが、2戦連続でCBが退場、しかも交代した瞬間という切ない結果に。まあ割と不可抗力だったし明確にレッドだったから本当に仕方ない。気をつけようねというレベル。おれはあそこで足が出ないCBの方が嫌いです。

アトレティコは最後の交代カードでヘイニウド投入。2月25日のマドリー戦で右膝の前十字靭帯を断裂し、301日ぶりの実戦復帰となった。花道を準備するような復帰戦にしてあげる事は出来なかったが、これはこれでヘイニウドっぽい。そしてアトレティコっぽい。
ちなみに交代になったグリーズマンはクラブの得点記録更新もかかっており、珍しく不満そうだった。"コレア替えろよ"と言うわけにもいかず、メンフィスに慰められながらベンチに下がった。一年間お疲れ様。年明けにモンティリビで決めましょう。

最終フェーズ(73:00〜)

もう一度ヴィツェルが最終ラインに戻ってサウルがアンカー。ここからは全員で撤退しながら、時折リーノとコレアだけでカウンターを展開。ジョレンテとデ・パウルが一生懸命走っていくつかのチャンスも用意した。90分にはジョレンテがフリーで抜け出してトドメを刺しそうにもなった。
セビージャは53分のエン=ネシリに続き、78分にラファ・ミルも入れてヤヌザイも入れて、ラモスを前線に上げて同点ゴールを狙った。ラモスのPA内の駆け引きに引けを取らなかったアスピリクエタの対応はまさに百戦錬磨。人数をかけているセビージャに良い体制でクロスを上げさせなかったサイドの守備は見事。配球役としてヘスス・ナバスとアクーニャがいなくてアトレティコは助かりました。



●試合結果

2023年最後の試合、そしてラリーガ全体でも2023年の締めくくりとなる試合はアトレティコの1-0勝利で終えた。
12月のアトレティコは厳しい戦いが続き、ラリーガでは2勝1分2敗。しかも直接順位を争うバルサ、アトレティックに負けたのは痛かった。
特に今季はアウェーゲームを落とす事が多く、ホームゲームだけの順位なら断トツ首位なのにアウェーの敗戦が足を引っ張っている。

ホーム成績(18節終了時)
アウェー成績(18節終了時)

なんにせよマドリー、ジローナと勝ち点7差の38ポイント。3位で年越しとなった。

苦しむセビージャはまだキケ・サンチェス・フローレス体制が始まったばかり。とりあえず17節ヘタフェ戦ではずっと悲しそうな顔をしていたオカンポスが頑張っていたのでどうにかなるんじゃないでしょうか。怪我人も異様に多いのでゾロゾロと帰ってきていただいて。まあ降格するなんてこれっぽっちも思っていないので、長い目で見守りましょう。

取り急ぎ、これが年内最後のマッチレビューです。今年も一年本当にありがとうございました。全部読んでくれた人がいるのかはわかりませんが、たくさん読んでいただきありがとうございます。
年末年始にかけてはジローナのスカウティングレポートを中心にまだ何本か書きます。よろしくお願いします。
来年はアトレティコがタイトルを取る年です。それを心待ちにしながら。少し早いですが皆さん、良いお年を!


12/23
シビタス・メトロポリターノ
アトレティコ 1-0 セビージャ
得点者
【アトレティコ】’46 ジョレンテ


●ピックアップ選手

デ・パウル
前半から何度もドリブル突破を見せ、狭いエリアのパス交換も正確。後半から出てきたジョレンテ、コレアと共に最後まで走力を保ったわけのわからない体力は流石。

アスピリクエタ
前半はドリブルゲインで攻撃を加速させ、後半、特に退場者が出て以降は粘り強い守備対応と出足の良いインターセプトを連発してチームを勝たせた。こういう仕事のために来たんだよね。

ジョレンテ
チームが上手くいかない時こそ光り輝くランニングは起用から1分かからず決勝点を生んだ。

ヘイニウド
靱帯断裂からの復帰戦となった。一人少ない環境のクローズ要員というソワソワする舞台だったが、彼は本来そういう選手だと言う事もできる。おかえり。

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