マスコットキャラという分身
会社の存在を想起させる目的で、自社のマスコットキャラクターを設定すると、じわじわと効いてくる、という話
先日いただいたお問い合わせの中で「お猿さんの会社でおぼえていてお電話しました」というやり取りがあった。
お猿さんというのはおそらく弊社のマスコットキャラクター、通称イシゴリくんのことだろう。厳密に言えば猿ではないのだが、お客様に想起していただくためにかれこれ8年前に設定したマスコットキャラクターなので効用としては正解である。
このイシゴリくん、私が経営を引き継いではじめに起こしたアクションから誕生したのであるが、当時売り上げも低迷したどん底時代に、あるリフォーム会社の社長から聞いた話によるものになる。
その話というのは、その社長の事務所に訪れたタウンページの営業が広告の枠を買ってくれないか、と言うので申し込み用紙を受け取り、自身は忙しいので奥様にその申し込みを丸投げしたという。
後日奥様は申込用紙の内容欄に簡単なキャッチコピーと余白に落書きのようなカエルの絵を描いて提出したそうだ。その時点では何も起こらないのだが、そのまた数日後、今度は市バスの広告の営業が訪れたため、同じ内容で提出したのだ。
それから1ヶ月後のことである、数件の新規問い合わせをいただいた際に「カエルの絵が印象的で・・・」といったことをお客様が口々に言う。問い合わせた理由はそれだけではないだろうが、今も年配の方が手にするタウンページは開いてみるとわかるのだが、資金力のある大手の会社が各カテゴリーのページを独占している。
その中でひと際目立つあまり上手とは言えないカエルの絵、その絵と市バスの広告がリンクして問い合わせにつながったというのだ。
その話を鵜呑みにしてさっそくマスコットキャラクターをアウトソーシングサイトで応募した。
犬や猫、ウサギなどは多用され過ぎてて印象に残らない。そこでなぜだか頭に浮かんだのが「チンパンジー」なのである。そう、弊社のキャラクターは猿でもなければゴリラでもない、チンパンジーで発注をしていたのだ。
そしていくつかの候補の中で選ばれたのが今のマスコットキャラクターである。通称のイシゴリくん、という名前も誕生した際にfacebookでお披露目したところ、ある方から「石山さんところのゴリラだからイシゴリくんだね」と一方的に命名された経緯だ。間違いなく当時から全国的に認知されている先輩マスコットキャラクター、ENEOSのエネゴリくんからパクられたものだと思われる。
まあ、種別や名前などはこの際どうだっていいと思い、このキャラクターとともに8年間も歩んできた。会社の各書類や車両、広告はもとよりLINEスタンプにまでなってせっせと働いてくれている。
何度か「恥ずかしくないんですか?」というようなことを言われたことがあるが、私からすれば中途半端にスタイリッシュなロゴやデザイン性を重視しし過ぎた過大な広告を打つ方が恥ずかしい。
自己満足で行動のベクトルが自身にしか向いていないからだ。お客様に認知したもらおうという意識が薄い姿勢こそあらためるべきだと思うのだ。
例えはたから見て恥ずかしいと思われようが、結果的にお客様におぼえてもらい、価値をお渡しできるのであれば私の価値観からすればイシゴリくんは最高にカッコイイのである。
印象的な象徴の刷り込みによって得られる効用は時間をかけて効いてくる
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