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数%の値上げの効用

商売において重要な要素の値決め。自社で設定した価格は適正かどうか考える、という話

今年の後半から材料費の高騰が影響し、各メーカーの製品の価格改定が実行された。当然、価格は上がる一方なのだが、そのタイミングで影響を受ける会社が一斉に値上げを敢行するかどうかはその会社の経営者次第ということになる。

弊社も今まで何度か値上げを実施した経緯があるが、今回の各メーカーの価格の改定はかなり大幅であり、弊社はそれにならって来年から一部の工事に関して値上げを敢行する予定なのである。

今回のような流れは値上げする側からしても理由が明確なだけに実行しやすいと思うのだが、自社のタイミングで行う値上げは躊躇する会社が多い。

そもそもひと昔前の価格帯で据え置きとしている零細企業は利益も薄く、よっぽど数をこなすか、大型案件を定期的に受注できなければ資金繰りは苦しいままとなる。

それでも値上げを敢行しないのには昔の商売の慣習というか、暗黙の了解というか、自社の仕事に対して「そんなにもらったら悪いから」という後ろ向きな空気がまだまだ蔓延しているからだと感じている。

提供される側は昔と変わらず安く提供してもらえるということで、わざわざもう少し値上げしたらどうか?とは提案してくれない。

しかしながら、躊躇やお人好しの企業体質のせいで自らじわじわと首を絞めるような状況になっていることを経営者はにわかに気づきながらも我慢してしまっているのだ。

暴利を貪れ、と言っているのではない。適正な利益を受け取ることは当然の権利であるし、自社の仕事に自信があればなおのことしっかりとした儲けを享受しなければ、未来にいい仕事を残していくことなど望めないと思うのだ。

そして私の経験上、全体の数%値上げをしただけで、資金繰りは驚くほど改善する。

年商1億円の会社なら、3%値上げをしただけで300万の売上げが加算される。利益率はその会社や業種業態によって様々な為、単純に利益が300万得られるわけではないが、年商1億円の会社で300万の売上げが値上げをするだけで得られるのなら、実行してみる価値はあるのではないかと思うのだ。

商品(製品やサービス)の価格を3%程度上げるのはそこまでむずかしい話ではない。3%の値上げで取引きを停止すると言い出す会社も少ないはずだ。取引きをやめ、代わりの会社を探すのには時間と労力というスイッチングコストというものがかかり、そのわずらわしさから条件を飲んでくれる取引先がほとんどではないかと思うのだ。

そもそも3%程度で激昂したり、取引きを停止すると決断するような会社とはその先も良好な関係が築けるわけがない。万が一離れてしまうようなら、それはそれで取引先の選別が叶ったと肯定的に捉えるようにしよう。

相互の利益を考えてくれる取引先は適正な値上げには応じてくれるはずだ。

懸命に価値を出している自社だけが苦しむのは割が合わない。利益を確保することはより一層のいい仕事を提供し、価値をお渡しするためだ。そこに躊躇やお人好しの精神は必要ない。

自社の仕事に自信と誇りを持っているのなら、価格改定は値上げの一択なのである。

適正な価値を提供しているのなら、適正な利益を受け取るべき。自社を守るためにも値決めは自信をもって決断しよう



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