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【身分相応】背伸びしても届かないものは取りに行かない

自社のリソースやできる仕事の範疇をわきまえる。金額のみを見て下心をだしてしまうとあとでエライ目にあう、という話

以前、一度だけ電話で相談をうけた会社からメールをいただいた。

メールは見積りの依頼だったが、依頼内容がなかなかにハードルが高いものであった。だがしかし、案件の工事価格はざっくり1000万程度。単発の案件であればホームラン級である。



電卓をたたき一瞬だけ悩んだが、工期の短さ、内容の複雑さなどツッコミどころがあまりに多いことから、おそらく他社にさんざん断られて弊社に辿り着いたのだろうと推測した。

そしてこちらの会社とは取引実績もないし、はじめての仕事としては内容が厳し過ぎる。数年やり取りをして信頼関係ができた上で請け負うレベルの仕事であり、このボリュームを急かされた状況で進めざるを得ない状態に陥ってしまっている時点で不安しかない。



資料に目を通してお断りするメールを返信したが、建設業界ではこの手の世界観で仕事を回している業者も多い。

つねに多くの案件を抱えているが、予算は固定されている。その決められた予算内で納める必要があるのだが、内容の変更も多く、結果的に足が出てしまうことも少なくない。

赤字分は次の仕事で回収、というサイクルゆえ多忙を極めるが冷静に精査すると表面の工事価格こそ大きいが、利益は薄いのだ。必然的に手抜きを助長させ、けっして質のいい仕事とは言い難いのは、制限があまりにも厳しいせいだと思うのだ。



今回ご相談をうけた話がどうかはわからないが、なんとなくの嗅覚でうまくいきそうな気がしなかったため価格は魅力的だったがお断りさせていただいた。

だが弊社もこの手の話に突っ込んでいた過去があった。

私の経験が乏しく、かつ会社の財務状況が厳しかったころだ。工事価格のみをみて判断し、手を出したところ数ヵ月におよび振り回され、ミスを連発した影響で値引きの対応を余儀なくされた。



結局あの期間は何だったのか、と思うほど多忙なだけで何も残らなかった。残ったのは数千万という売上げの形状のみで利益はほとんどなかったように思う。

今考えても身分不相応だったし、何もかもが足りなかった。あったのは資金繰りの焦りと下心だけだったと思う。



そういった意味でも冷静に判断する上で、お金の余裕は必須であり、その余裕が心の平静を生み、その平静が判断力を生むということだろう。

一瞬でも迷いが生じたことを考え、弊社の余裕もまだまだだなと反省した。

仕事内容は全体の構造と自社のレベルを照らし合わせ、表面に惑わされないようにする





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