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相手の緊張感を共有する

発注者と受注者でその案件の背景にある様々な空気や影響を共有することで近いレベルのベクトルが生まれる、という話

来年の3月頃に大型案件を予定している。

弊社にとっては単発での案件では過去最高の売上高になることもあり、準備に余念がない。発注者にとっても大きな決断だったことは想像できるゆえ、こちらとしても是非ともいい仕事をして支払っていただく代価以上の価値をお渡しできるようにと、今から段取りに不備がないかチェックを厳しく行っているのである。

そして考えたのがお互いの緊張感という要素。

仕事をする上で度々この緊張感のズレが生じることで、不甲斐ない仕事となってしまう。発注者の緊張感は受注者に対する期待値も込みのものと思われるが、金額が大きい、お困りごとの深刻さなど否応なし緊張感が高まる仕事は顧客の「失敗したくない」という心理から慎重な受注者選びへとつながるのだ。

そうして白羽の矢が立った受注者に、発注者となる顧客の心理をおもんぱかる気持ちや想像力が欠如していると期待以下の仕事があてがわれることとなり、双方にとってなんとも消化不良な結果となってしまうのだ。

発注者の選択が間違っていたのか、受注者の配慮が足りなかったのか、いずれにせよ代価の金額や問題解決にそぐわないお粗末な仕事は真の価値を生まないことは確かとなる。

私も度々そういった場面に遭遇するが、自身がどちらの立場にせよ責任は自分にあると自負している。その際、問題点や目指すべきゴールの明確化、その案件で得ることになるメリットとデメリットなどを事前に丹念な打ち合わせをし、その仕事自体の価値が消滅しないよう心掛けている。

私のような小さな会社の経営者だと、良くも悪くも仕事の成果はダイレクトに返ってくる。それゆえ、自身の施しがその案件を大きく左右することもあり、手を抜きようにも抜いたが最後、色々な面で痛い目にあうのである。

許容範囲の痛手ならまだしも、今回のような高額案件で転ぼうものなら、いきなり瀕死の崖っぷちに追いやられることになるのだ。であるからして、いただいた仕事はありがたいが、緊張感も過去最高ということになる。

しかしながら、どこまでも能天気でポジティブな私は、数年前の状態から比べれば、このような大きな緊張感をいただけたことに喜びを感じている。絶対に失敗はできないが、その緊張感とそれを成し遂げたときの実績を思うと、尻込みどころか発注をいただいた際には思わずガッツポーズが出てしまったほどである。

過去の痛手から会社の現預金以上の仕事は請け負わないことにしているが、その面でもクリアして、経験値的にも問題ないと判断したことから大きな波が来たというタイミングとして捉えたのである。

今回の発注していただいたお客様の緊張感を共有し、それを上回る価値をお渡しして3月の年度末を迎えたい所存である。

仕事に関する相互のベクトルや空気の足並みを揃えるよう注力する。同じ山を越えるパートナーという感覚を持つことで頂上での喜びを共有できる

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