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「下心」というセンサーの大事

顧客との関係を構築するにあたり、その接点の先に何が見えているか。素直さも大事だが、下心のちょい出しも大事、という話

数年ぶりに弊社の出入り口に設置してある会社の看板を交換する。

7年前に設置した看板なのだが、その当時はまだどこの顧客層をターゲットに商売を展開していくかまで考えが及んでおらず、とりあえず目立てばいいという発想のみでデザインをオーダーしたように思う。

現在ではホームページからの集客が70%以上ということもあり、看板を見て問い合わせをしてくるような顧客はほとんどいないのだが、それでもやはり情報として目にした方は当然ことながらその情報を頼りに訪ねてくるのだ。

それがターゲットとして定めている顧客層ならば問題ないが、そうではない場合、対応しないわけにもいかない為、わずかな労力ではあるが割く必要が出てきてしまうのだ。その招かれざる顧客による仕事でクレームなど発生した日には、労力どころか不本意に精神的ダメージも負うことになり、想像しているより損害は大きくなるのである。

しかし、そのわずかな対象外の顧客を招き入れているのも自社、ひいては私の責任であり、勘違いしてしまうような間口を形成している要因も私が原因であるため、腹をくくって対処するか、それでもなければ今回のように看板の表記などの表現を徹底して排除し、間違って迷い込まないような処置を施すことが必要になってくる。

そして看板屋さんとの打ち合わせの際、なぜ7年程度で看板を変えるのか?という質問に答えているなかで、顧客との関係を築く上で、私なりの基準があることに改めて気がついたのだ。

当然、意図して設けている基準であり、それは会社の立て直し期間に身についた取捨選択の基準でもあり、その振り分けを可能にしているのが「下心」というセンサーだ。

この様に表現するといかにも守銭奴のように思われるかもしれないが、私の考えからすると「訪問者はすべて大事なお客様」ということではない。集客力がついてくると色々な顧客が仕事を持ちかけてくるようになるのだが、その中で自社にとって理想の顧客以外はお断りするというという判断も大事な要素となる。

弊社のような零細企業であればなおさら、人的資源が乏しいこともあり、忙しさに何の躊躇もなく突っ込んでいくとすぐに限界をむかえてしまう。その時点で十分な利益を確保できているならまだしも、限界一杯まで働きまくっても資金繰りが改善されない、なんてことは往々にしてあるのだ。

だからこそ、顧客層を選び、その中でも優先順位をつけるようにして時間当たりの生産性を上げたり、その顧客の持っているポテンシャルを引き出すようにして利益を確保することを意識するべきなのだ。

同じ内容の仕事でも、その顧客の裏にさらなる需要があるかないか、継続的な発注が期待できるか否かなど、その仕事がその先につながるように、単発のムダ撃ちにならないように下心のセンサーを働かせる。

下心という表現はさもしい感じがするが、立派な志しや美徳だけでは商売は成り立たない。多少の打算的感覚は持ち合わせている方がいいと考えるのは私の器の小ささからくるものかもしれない。

自社が一番価値を生む環境を整えるのも経営者の大事な仕事である



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