RSGT2023 Day3 イベントリポート「Gathering⸺永続するはじまりの会」
序
株式会社ROXXのギャルと申します。エンジニアなどをしています。
本稿はRSGT2023 Day3のイベントレポート(のようなもの)です。コミュニティへのささやかなcontributionとして執筆します。
Day3の性質を鑑み、当日のみならず、RSGT2023全体に対しての所感を思うままに述べてゆくつもりです。よろしければお付き合いくださいませ。
対象読者
RSGT2023に参加したみなさま
RSGTに参加したことはないが、どのようなイベントか気になる方
筆者について
RSGT初参加です。ROXXではスクラムマスターではなく、一開発者として働いています。スクラムの経験は合計2年ほどです。
自社でのスクラムのさらなる改善、プロダクトマネジメント・ファシリテーション・コーチング等の関連領域の知識的キャッチアップを目的として参加しました。
RSGTとは
対象読者には非参加者を含めているので、イベント概要を手短に記載しておきます。
Regional Scrum Gathering Tokyoの略で、ひとことで言うと「スクラム開発に関わるお話をする楽しいイベント」です。
RSGT2023は御茶ノ水のsola city Conference Centerで01/11(水)~01/13(金)に実施されました。
コンテンツは以下のようにまとめられるかと思います
講演
招待講演
プロポーザルベースでの講演
スポンサー講演
Open Space Technology(参加者が自由に議題を持ち寄って、coffee breakのような感覚でテーブルを囲んで語り合う)
コーチーズクリニック(熟練したコーチへの質問・相談の場)
講演・話題の内容はアジャイル・スクラム関連のほか、プロダクトマネジメント・エンジニアリング・コーチング・チームビルディングなどの隣接領域にまで及びます。
Day3イベントレポート
弊社の他のメンバー同様、拝聴した講演や参加したアクティヴィティについてのまとめを書き記しておきます。
Shuichi Matsubara - OSTを120%楽しもう‼︎ 誰でも簡単に実践できるtips教えます。
タイトル通り、後続するOpen Space Technology(以下OST)を楽しむためのコツや、OSTの歴史、参加者に要請される規範などを簡潔にシェアしてくださりました。
OSTに限らず、フリーセッション・テーブルトークの重要度が高いような催事においては応用できる考え方かなと思います。
説明の具体化のために寸劇があったんですが、楽しさ満点でした。
(Day3メインホールの動画でいまからでも見直すことができそうです。RSGT2023参加者が上映会を行うことは可能なはずなので、身近に参加者がいる方は「見せて!」するとよいかもしれません)
(※ただし、限定公開URL自体の再配布は禁止とのことです)
Open Space Technology
本当に様々な話をしたのですが、ここでは参加したテーマのうちもっとも
テーマは「いきいきする為の月曜からの一歩!」
RSGTで得た「いきいき」を会社に持ち帰ろう、という意図のテーマです。各自がアクションやアイデアを付箋に書き記し、順繰りに発表していくという形式で行われました。結果は画像のとおりです。
参加者がセッションの進行方法を自発的に提案したり、終了後も知り合った人と個人的に話を続けたりという前向きな動きがあちらこちらで起こっていたのが印象的でした。
Yoshimasa Iwase - なぜ変化を起こすのが難しいのか? - 数年以上に渡って難しさに向き合い考え取り組んできたこと
NTT Communicationsの岩瀬さんのクロージング講演。いわゆるJTC(Japanese Traditional Company)に位置づけられる同グループですが、刷新のための取り組みが多数行われており、意外と風通しが良くなっているとのことです。そうした状況を作っていくための取り組みが紹介されています。
さて、ここでは自分がこれいいなと思った内容について幾らか言及して行こうと思います。
「定量値はハックできる前提で使う。目標数値がハックできるのは当たり前で、重要なのは自分たちのために使うこと」という指摘がありました。一見シンプルでともすれば当たり前のことのように思えますが、実際「〇〇という方法でハックできるから目標として不適切」といった非生産的な議論文脈は確かに発生しがちだな、と。
「この開き直りをベースに話し合える状態を作りたいな」という気持ちを記憶しておいて、今後の自分の取り組みにも活かしたいですね。
「HRよがりの施策にならないように「誰が」「どうなる」を徹底的に考えましょう」という話もありました。これも当然のことながらなかなか実践が上手く行かないやつですね。
NTT Comさんでは何をするにしても先にデモ動画を作って素早く失敗する(プロダクトの文脈で言うところのMVP!)といった取り組みをされているとのことです。「プロダクトマネジメントの考え方をHRに適用する」ですね。
さて、NTTグループで長年コミットメントを継続してこられた岩瀬さんですが、講演の結びに、その組織に居続けるための問いとして
そこに大義はあるか?
共感できるか?
自分がそのプロジェクトに入ることで貢献できることがあるか?
を挙げられていました。安易な方向に流れず、良い積み上げを継続していくために、わたしも折りをみて自問し、向き直っていきたいものです。
余談ですが、質疑応答のなかで川口さんが仰っていた「オーラの泉効果」も面白かったです。
簡単に言うと、独立した2方向から意見が入るとそれが真だと考えやすい認知的傾向性のことです。
「オーラの泉」というテレビ番組の話題進行のなかでクリシェになっているパターンから命名されたとの由。
①江原さんがクライアントに何らかの指摘・助言を行う
②美輪さんが同調する
③国分さんが江原さんと美輪さんの意見を(視聴者に近い目線から)肯定する
という流れ。
RSGTという場について
初参加ということもあり、RSGTという場全体に対する所感も述べておこうかなと思います。
Gathering!
Gathering(集まって、話を、関係性を、ひろげる)が自然発生的に、そして同時多発的に生まれるのもRSGTの良さです。
講演の合間合間に、ロビーや廊下で、自由に会話をする。カンファレンスの類いでは多かれ少なかれ生じるこの現象ですが、RSGTでは特にこの機会が多く、かつ極めて会話の輪の中に入っていきやすいです。
参加した人ならわかるであろう、あの感覚。普段、イベントの類で路頭に迷いやすい筆者のような人間でも、気軽に輪の中に入っていける雰囲気が、心地よかったです。
PACMAN Rule(話をするときは他の人が入りやすいように輪を閉じずに「パックマンの口」を開けておくというルール)の推奨、オーガナイザーやスポンサーとして参加されている方々のホスピタリティ、隣の参加者と話しやすくするための講演内容づくり。
さまざまな取り組みによって醸成された全体的な雰囲気が、まだ知らない誰かに話しかける勇気をくれます。
Gatheringの効果は、概ね以下だと思います。
他の参加者の視点からの講演解釈が聞ける
感想を語ることで、自分の理解が整理される
新しいつながりができる
持ち込んだ問題意識を共有できる
上記の中で思いもしなかった新奇なアイデアが聞けることもある
実際、「話し相手が参加していなかった講演の内容をまとめて伝える」などの行動は、能動的学習としても良かったですね。土日を挟んでもRSGTで聞いていた講演内容の大枠を説明できる状態になっています。
永続するはじまりの会
Day3のKeynote、岩瀬さんの発表に「世の中には大量の理論や知見が存在し、容易に参照することが出来る。けれど本当に難しいのは、自社のコンテキストでどうやって実行していくかだ」といった話がありました。
そう、知識を得ても、自らの現場に応用しなければ仕方ないし、そしてそれは難しい。
これを踏まえると、「RSGTは学習やActionの起点であり、イベント内で閉じないで、広がりを作っていく」という意識が参加者全体に感じられたのもまた、RSGTの魅力だと気づきました。「いきいきを持ち帰る」も、まさにこのコンテキストに位置づけられる取り組みですね。
発表も、OSTやGatheringを通して聞いた参加者のみなさまのお話も、「個々人のボトムアップな取り組みその一歩一歩が、二人へ、チームへ、組織へ、会社へ、国へ、世界へと繋がってゆく」という志向性に満ちています。
とりわけ、初日Room Cでの稲野さんの講演、Day2 Keynote Lyssaさんの講演、Day3 Keynote岩瀬さんの講演では、そうした志向性とその共振を強く感じました。
人が関わりを諦めない限り、情報的・感情的な熱の伝播の中心となる場は作られ続ける。
「永続するはじまりの会」。RSGTはきっと、そのような場なのです。
Next Action!⸺わたしの、みんなの
だから、さて、はじめの一歩を。
そういうわけで、RSGT2024を始めるためのNext Actionを考えようと思います。
まずはものすごくかんたんにできることから。
ひとりブレスト
やりたいことたくさんあった気がするな!
とりあえずばっと書き出しちゃうぜ……
結構出ましたね。煩悩も混じっている気がしますが、RSGTで得たわくわくが表現されているということにしておきます。
仕訳
たくさん(?)Next Actionを出しましたね。ただ、このままだと手が付かなさそうです。
難易度と優先度でマッピングしてみて着手順をざっくり可視化してみます。
と、こんな感じになりました。「Day3のイベントレポートを書く」が右上に来たので、いままさに書いています。
さて、あとは、タスク分解して簡単さを高めたり、解像度上げたりしたいところですが、いったん区切りとしておきます。
今後、何かアクションを起こしたらそのリポート記事も書いてみようかなとも思っていますので、お楽しみに。
そして、みんなも
Next Actionのアウトプットがまだでしたら、ぜひ上記のようなアクティヴィティをやってみませんか?
「こんなことしたよ!」というレスポンスも大歓迎です!
跋
これまで多くの恩恵をAgileやScrum、そしてのその情報発信者のみなさまから得てきました。自分にとって今回のRSGT2023は、コミュニティに対してその恩を返してゆきたいという気持ちを強く感じる契機ともなりました。
だからこそ、まずは自分たちのプロダクトを喜びに満ちたものとして、世に届けようと思うのです。
そしてその先で、コミュニティに価値を還元してゆきます。
擱筆。
追伸
本文は閉じましたが、幾らか関連リンクを掲載しておきます。
関連記事
弊社のRSGTイベントレポートですが、Day1はぐっきーさん、Day2はこーへーさんが書いてくれました。よければそちらもお読み頂けますと幸いです。
ぐっきーさんによる「チームに持ち帰るための取り組み紹介」もぜひ。
講演内容を追うには、スクラムマスダーさん作成のこのスライドリストが便利です!
筆者のSNSアカウントについて
過去、Twitter終了宣言みたいなnote記事を書きましたが、テノヒラクルックルーしてアカウントを再始動させました。お気軽にフォローお願いします!
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