著者インタビュー『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』(さいたま市 島田 正樹氏)
2月15日に『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン 』が発売されました。
そこで著者の島田 正樹氏にインタビューしました。本書を書かれたきっかけや本の内容について、くわしくご紹介します!
▼ 『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン 』
島田 正樹 著、定価=税込1,980円、四六判・192ページ、2021年2月刊
▼ 目次
CHAPTER1 仕事をデザインする
CHAPTER2 人間関係をデザインする
CHAPTER3 心のあり方をデザインする
CHAPTER4 プライベート時間をデザインする
CHAPTER5 キャリアをデザインする
本書が誕生したきっかけ
―本書は、公務員に向けて「自分らしく主体的に働く」がテーマとなっています。本書を執筆されたきっかけを教えてください!
(島田氏)2015年から公務員の働き方や職場外での活動のこと、子育てのことなどをブログで発信しているのですが、たまたま学陽書房の編集の方がそのブログを読んでくださっていて、お声がけいただいたのがキッカケです。
―弊社の元気な若手編集者ですね!
(島田氏)そうです。池袋のカフェで初めてお話をうかがったときは、もちろんお声がけいただいたことは嬉しかったのですが、私に本を一冊書き上げることなんてできるのかなと不安に思ったのをよく憶えています。
―レスポンスがとても早く、情熱が溢れる方だと聞いています。今回インタビューすることができて嬉しいです。よろしくお願いいたします。
こんなひと、読んでください!
―本書は、どういう公務員の方に読んでほしいですか?
(島田氏)主に若手を対象に書かせていただきました。
特に、住民のため、地域のためにもっといい仕事をしたいと思いながら、様々な事情で自分らしく充実した気持ちで働くことができていない人に、ぜひ読んでいただきたいです。
―文章も表現も柔らかく易しく書かれているので、1年目の方から読んでいただける内容だと思いました。
(島田氏)ありがとうございます。公務員として働いていると、業務量の多さであったり、上司との人間関係であったり、人事異動などの仕組みだったり、様々な課題に直面して、本当に住民のため、地域のためになる仕事をしたいと思ってもそれが叶わず悶々とすることがあります。
この本ではそういった課題とどう向き合ったらいいのか、「行動と考え方のデザイン」としてご紹介しています。
今できることに全力を注ぐ!
―CHAPTER1では、島田さんの電気自動車普及プロジェクトについての体験談が語られています。入職5年目でメンバーに加わりいかがでしたか?
(島田氏)知っている先輩から声をかけていただいて、まったくゼロから新しいプロジェクトを立ち上げるときだったので、最初は「何だか面白そ~」と思っていました。
しかし、プロジェクト始動に向けて準備を進めるにつれて、徐々に「これは大変な仕事かもしれない」と思うようになりました。
―そうなんですね。どんなところが大変でしたか?
(島田氏)企画書をつくって民間企業にプロジェクトへの連携の打診をしたり、企業の役員や他の地方自治体の首長を集めた会議をやることになったり、開発中のクルマの実証実験を企画したり。とにかくそれまでの仕事とは求められるものが違い過ぎて。
ただ、このときの経験は、公務員としてスキル面で成長できたのはもちろん、公務員としての私らしい在りかたをつくる多くの材料を与えてくれたので、とても感謝しています。
前の環境での成功体験は捨てる!
―CHAPTER1のCOLUMN「“デキる”公務員になるにはどうしたらいいですか?」にある『学ぶための「学びほぐし」』という言葉が印象的でした。
「学びほぐしで大切なことは、前の環境での成功体験を捨てること」。島田さんの体験談を教えてください!
(島田氏)平成26年度、27年度の2年間、内閣府/内閣官房の地域活性化を担当する部署(現:地方創生推進事務局)に実務研修で派遣していただいたときの経験が代表的かもしれません。
内閣府では、仕事のやり方が市役所とは全く異なっていて、はじめは右も左も分からない状態でした。
―市役所と内閣府ではそんなに違うんですか。
(島田氏)そうですね。意思決定の手順も、外部への連絡の仕方も、省庁間調整の作法も経験したことがないことばかりでした。最初は引き継ぎ資料を読んだり、周りの人に聴きながら「なるほど~、ここではこうやって仕事を進めるのか~」と一つひとつ覚えていきました。
ほぼ強制的に、市役所での成功体験は捨て、ゼロから学ぶという経験をすることができました。
―さらっと仰っていますが「成功体験を捨てる」というのは勇気もいりますしとても大変なことだと感じますが・・・
(島田氏)そうですね。でもこの時の経験があるので、今の私はまったく異なる分野への異動でも、それこそ民間企業への転職でも、何とかやっていけるだろうと思うことができています(転職の予定はありませんが)。
人間関係は「わかりあえていないかも」が前提
―CHAPTER2にある「同じ仕事を一緒に経験しても、その経験から同じことを考えているとは限らない」は激しく共感します!
「一緒にやってるのに何でこんなに違うんだろう?」と首をかしげたくなりますが、事実そういうことありまよね・・・
島田さんもこういうことがありましたか?
(島田氏)具体的な経験談だと角が立ちそうですが、取るに足らない勘違いから大きな障壁になるものまで、私たちの回りには互いの考え方の違いが原因の課題はあふれているのではないでしょうか。
ただ、それらの課題の多くは、考え方が異なることを知っていれば防げるものも多いはずです。
―考え方が異なることを知る・・・
(島田氏)「え!? 違うの? 困った、どうしよう!」ではなく、「やっぱり違うんだね、じゃあどうしましょうか?」という姿勢から始めて、「どう違うんだろうね」と相手の考え方について問いかけながら互いにその違いに対する理解を深めていくことが大切なのかもしれませんね。
―なるほど。「違うならどうしようか」と一緒にこれからを模索していくことが大事なのですね。
捉え方を変えてみよう
―CHAPTER3では「B信念・捉え方」を変えると「C 感情・行動」が変わるということが紹介されています。
島田さんの20代のときの具体的なエピソードを教えてください。
(島田氏)そうですね……入職1年目は、公害対策などを担当する係長含め5名くらいのチームに所属していたのですが、入職2年目の春に人事異動でそのチームに残ったのは私1人になってしまったんですよ。
―2年目でそれは辛い・・・
(島田氏)そうなんです。最初は、「これはマズい、困った!」と思ったのですが、「島田なら大丈夫だと思ってもらえたのかもしれない」と捉え方を変えて、分からないことは勉強し、分かることは新しく着任した人たちをリードして、事業を進めることができました。
本当にそんな風に思ってもらえていたのかどうかは、今となっては分かりませんが。
―きっと上司の方も、島田さんのそのように捉え方を変えて頑張る力を見ていて、任せられると思われたのでしょうね。
「1週間=168時間」の時間割をつくろう
―CHAPTER4の「01 1週間=168時間」の時間割をつくろう」では、「実際には「時間がない」人なんていない」は耳の痛い言葉でした(苦笑)
時間家計簿ではご家族との時間も大切にされていますよね。
時間の使い方を意識する前と意識した後で大きく変わったことはありますか?
(島田氏)自分が誰と何をして過ごしたいのかをしっかり意識するようになった気がします。
何となくズルズルと誰かに付き合うように過ごすことがなくなったというか・・・。
―誰と過ごしたいか・・・確かに「嫌だけど付き合いで飲みに行くか」という姿勢で行っても有意義な時間は過ごせない気がします。
(島田氏)そうなんですよね! その効果なのか、職場で飲み会とか遊びにあまり誘われなくなりました。
それも昔だったら私も誘われないとものすごく寂しかったと思うのですが、今は気にならなくなりました。
北極星(目指す目標)を定めよう
―CHAPTER5では「北極星(目指す目標)を定めて、目指す方角を自ら選択する」と書かれています。
わたしもそうなのですが、目指したい目標がわからない・ない場合はどのようにして目標を見つけたらよいのでしょうか?
(島田氏)まず、「今」目標がない自分を否定する必要はまったくありません。
そういう人は、もしかしたら今は様々な人と会ったり、様々な体験をしたりして、「素敵だな」と思う人や「うまく言えないけど何だか面白そう」と思うことと出会うことで北極星(目指す目標)を見つける準備をしている期間なのかもしれません。
―そうなんですね。焦る気持ちもありましたが、準備の期間と思えばよいのですね。
(島田氏)「素敵だな」と思う人がいれば、その人のどこが魅力的なのか、「面白そう」と思うことを見つけたら、それのどこに関心が湧くのか、そういったことが自分の北極星(目標)すなわちなりたい姿をイメージする材料となるはずです。
たまに、手元に集まったそれらの材料を眺めながら、自分の北極星をイメージしてみるのがいいと思います。
―早く自分だけの「北極星」を見つけたいです!さっそく材料を集めてみます!
読者へのメッセージ
―最後に読者の方へのメッセージをお願いします!
(島田氏)昨年から新型コロナウイルスの感染拡大によって、医療・保健行政といった最前線はもちろん、行政の様々な現場で対応に追われていると思います。
そのような状況で平常時以上に、多くの公務員の皆さんが自分らしくやりがいを感じながら働くことの難しさを感じているのではないでしょうか。
それを上司や人事、ましてや新型コロナウイルスのせいにしたら「それらの状況が変わるまでは、やりがいを感じながら働けなくても結構です」と言うのと同じです。
そうではなくて、今の自分にできることに集中して、自分の人生のハンドルを自分の手にしっかりと握ってください。
本書にはそのために役に立つ「行動と考え方のデザイン」を盛り込んでいますので、一つでもお役立ていただけたら嬉しいです。
―島田さん、ありがとうございました!
著者プロフィール
島田 正樹 (しまだ・まさき)
さいたま市都市局東日本交流拠点整備課主査。
2005年さいたま市役所に化学技師として入庁。環境対策課、交通環境対策課、環境未来都市推進課、内閣府・内閣官房(地方創生)を経て現職。
内閣府・内閣官房派遣中に技師としてのキャリアに悩んだ経験から、業務外で公務員のキャリア自律を支援する活動をはじめる。
それがきっかけとなり、NPO法人二枚目の名刺への参画、地域コミュニティの活動、ワークショップデザイナーなど、「公務員ポートフォリオワーカー」として、パラレルキャリアに精力的に取り組む。
また、これらの活動や、公務員としての働き方などについて広く伝えるために、ブログやSNSで発信するとともに、地方自治体の研修や「自治体総合フェア」等イベントでの講演を行う。
『月刊ガバナンス』(ぎょうせい)や『公務員試験受験ジャーナル』(実務教育出版)をはじめ、雑誌やウェブメディア等への寄稿実績多数。
ミッションは「個人のWill(やりたい)を資源に、よりよい社会・地域を実現する」。
目標はフリーランスの公務員になること。
新刊!『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン 』
島田 正樹 著、定価=税込1,980円、四六判・192ページ、2021年2月刊
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