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まず選択肢に入れ!エボークトセットで消費者に選ばれるブランドに「家族割はY!mobile」「楽天モバイルは安すぎる」

こんにちは
ガクセイメディアです!

皆さんはテレビCMをよく見ますか?

例えば、スマホのCMでも、ドコモ、ソフトバンク、楽天モバイル、auなど、様々なものが考えられますね。

ソフトバンクだと白い犬、楽天モバイルはなんかピンク、ドコモは綾瀬はるかなど、なんとなくイメージすることができます。

しかし、これらは競合他社です。
それぞれの会社に、何か「強いイメージ」が残らないと消費者の手に取ってもらえません。


例えば、CM中で「家族プランがお得!」と宣伝されていると、春から高校生になる娘にスマホでも買ってやるか~!と考えているお父さんがつられるわけです。


私の中で家族割のイメージは、Y!mobileなのですが、皆さんはどうでしょう??「バカボン」は家族が巻き起こす日常を描いたアニメとして多くの人に馴染みがあり、また芦田愛菜ちゃんや出川の哲郎さんのような、広い世代で知名度のあるタレントを起用することで、より「家族割の携帯会社のイメージ」を植え付けることができます。


このように、何か買おうと思った時に頭の中でイメージされる購入を検討しても良い、と考えるブランドの集合体のことを「エボークトセット」と言います。


今回はこの、エボークトセットについてご紹介します。



エボークトセットとは



私たちがサービスや商品を購入する時は、物凄く悩んで決めるものもありますが、些細な選択はほとんど無意識に近い選択によって決めています。


この「ほとんど無意識で選択する現象 の仕組みを理解するためにはエボークトセットの理解が必要です。


例えば、お昼ご飯に「牛丼が食べたいな~」と思ったら、吉野家とすき屋、松屋が思い浮かぶ方は多いのではないでしょうか?牛丼が食べたいとき、間違ってもマックへは行きませんよね。牛丼というキーワードが浮かんだとき、すでにお昼に行くお店の選択肢は絞られているのです。


パッと出てきたものたちが「エボークドセット」です。何かを「買おう」と思った時、消費者はすでに自分の頭の中にある選択肢の中から選ぶことがほとんどなのです。牛丼の例で言うと、「牛丼屋と言えば、吉野家、すき屋、松屋 以上。」で終わったら、なか卯は選択肢にも入らないことになってしまいます。


そもそもユーザーは商品やブランドに対して、無数の選択肢を持っていません。相当詳しい人でない限り、選択肢はせいぜい3つ、多くて5つ程度です。要はユーザーは自分が購入するブランドの選択において、意識的または無意識的にスクリーニングを行っているわけで、それぞれ自分なりのエボークトセットを形成しているのです。


その際に、第一想起されるブランドは選ばれる率が高くて、相当ブランドとして強く、売り上げも見込めます。


では、想起されるブランドになるためにはどうしたらよいのでしょうか。


ブランド認知において重要なこと



ブランド認知活動では、一般的に“いかに認知を上げるか”という点が注目されがちですが、ただ知られるだけでなく、購買時に自分たちのブランドが想起されているのか、いないのか。この点が最も重要になります


実際に、エボークトセットの重要性は日々増しています。ネオマーケティングが全国18~79歳の男女を対象に、2021年6月に実施した調査「消費に関する生活者の意識と行動」によると、「なじみのあるブランドの商品を購入する」(65.4%)、「買い物は計画を立ててから行なっている」(64.9%)、「買い物はできるだけ短時間で済ませている」(63.2%)となっており、生活者の多くがコロナ禍で短時間に目当ての商品を購入する傾向にあることがわかります。


ネオマーケティング「2021年度 消費に関する生活者の意識と行動」


エボークドセットの中に入るためには、その人がそのブランド・商品に対しての愛着・好きな度合いが高いほど選ばれやすくなります。好きな度合いのことを、Preference(プレファレンス)と言います。


プレファレンスは、主にブランド力・価格・便益(商品、サービスの価値)の3つによって変わると言われています。しかし、その前に認知される度合いも重要です。


例えば、初めていく場所でお昼ご飯を決める場合は、認知されなければ選ばれることはありません。観光地でもなければ、チェーン店など認知されている店舗が選ばれる可能性が高くなります。認知されていることを前提に、商品としての便益・ブランド力とそれに見合った価格を提供することで、想起されやすくなるのです。


エボークトセットの中から選ばれるには


1.メンタルアベイラビリティ(認知度の高さ+プレファレンス)を高める

認知度の高さとプレファレンスの高さを合わせて、「メンタルアベイラビリティ」と言います。

牛丼を食べる時でも、吉野家・すき屋・松屋の3つがある中で、自分にとって好きなレベルが異なると思います。たれの濃さの違いで「このお店の牛丼が一番!」と感じる人もいるでしょう。


認知度は、名の通り広告などを打つことによって認知度を高めていく事はできますが、プレファレンスを高めていくには、商品そのものを改良していくことが必要で経営根本的なところからになります。


2.フィジカルアベイラビティ(購入のしやすさ)を高める

購入のしやすさを「フィジカルアベイラビリティ」と呼びます。

仮に、絶対吉野家派!の人でも、家から吉野までの距離が遠く、松屋の方が近ければこっそり松屋で牛丼を食べてるかもしれません。


また、店舗が行列になっていて時間がかかるなどでも避けられてしまいます。そのために、各牛丼チェーン店はお持ち帰りなどで、お店でゆっくり食べる時間がなくても大丈夫なように対策をしています。事前注文制や予約制なども購入しやすさを高める施策といえます。


サブカテゴリ―の重要性



各事業会社の努力により商品・サービス自体の品質、機能は大きく向上しており、良い商品・サービスが市場に溢れています。そのため、商品・サービスそのものの品質、機能だけで差別化することは難しくなってきていることは、皆さんも感じていることだろうと思います。多額の開発コストをかけて作り上げたにもかかわらず、品質・機能の差を生活者に正しく理解してもらうことすら難しいケースも多々あるでしょう。



そこで鍵となるのが、「サブカテゴリー」で、エボークトセットの上位に入るかを考えることを指します。



同一カテゴリー内での競合が多い場合、そのカテゴリーで想起されるブランドに入ることの難易度は非常に高くなります。そのため、カテゴリーを細分化しターゲット・シーン・価値などのサブカテゴリーをつけることでカテゴリー内での差別化を図る戦略が今後益々重要になります。


例えば、冒頭で「家族割はY!mobile」のイメージがあると述べましたが、数あるサービスの中で「家族割」を挙げるというところにY!mobileの狙いはあります。他にも、楽天モバイルでは広末涼子さんが「楽天モバイルは安すぎる!」というキャッチコピーを使用したことが話題になりました。また、ピンクを基調としたインパクトのあるロゴから、印象に残るCMとなった人は多いのではないでしょうか。「安い」というイメージを植え付けることで、他の企業と差を生じさせたのです。


カテゴリーのNo.1ブランドでない限り、各ブランドはターゲット・シーン・価値などのサブカテゴリーでのエボークトセットに入ることやレコメンドセットを獲得することが重要なマーケティング活動の目的になります。

おわりに



生活者がどのブランドを購買するかは、商品・サービスの品質だけではなく、いかに購買時にエボークトセットの上位に入っているかが重要だと述べてきました。


但し、エボークトセットの上位を獲得することが難しい場合もあります。そのような場合は、自社のブランドがどのように生活者に認識してもらいたいかを定義し、その定義に従ってターゲット・シーン・価値などで細分化したサブカテゴリーにおいて上位を獲得していく戦略が有効です。



「お昼ご飯に何を食べるか」→「牛丼がいいな~じゃあ、吉野家とすき屋か。そういや吉野家で増量キャンペーンやってたな」
「歯磨き粉はどれを買おう」→「歯周病対策のやつがいいからシュミテクトで」
「携帯はどの会社のものにしよう?」→「よく聞くのはドコモとauとソフトバンクと楽天モバイル。そういえばバカボンのCMで家族割を宣伝してたような、?」


など、顧客は日々意思決定を行います。


その際に、その商品といえば〇〇など、顧客が想起することができれば企業のエボークトセットは成功していると言えるでしょう。


私は、Y!mobileのCMを初めて見たとき、芦田愛菜ちゃんがバカボンを演じているのにとてもびっくりしました。強い印象を残す手段のひとつとして、タレントの起用も大きく関係しているかもしれませんね。


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