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多数派に合わせるという暗黙の了解「同調圧力」について。日本特有の、‘‘空気を読む‘‘文化との関係

皆さんは、会社や学校などの多くの人がいる場所で「何か意見を述べなければならない」状況になった時、周囲の人に合わせたことはありませんか?

特に、目上の人と同じ空間にいる場合、自分の意見を述べるのには勇気がいりますよね。

「話し合いの場で周りと違った意見が言えない」

「仲間からの食事の誘いを断れない」

社会生活の中では、こういったプレッシャーを感じる場面があります。

無理をしなくても周囲と意見を合わせることができれば問題はないかもしれません。しかし自分の考えが周りと大きく違う場合、この同調圧力は苦痛になるでしょう。

こうした圧力はライフプランの元となる、人生の意志決定に影響をもたらす可能性もあります。

そこで今回は、私たちが普段感じている同調圧力の原因や、その対処法について解説していきたいと思います。


同調圧力とは?

同調圧力(どうちょうあつりょく)は、少数意見を持つ人がいる場合に、多数意見に合わせるよう暗黙のうちに強制することです。英語では仲間を表す「peer」と、圧力を表す「pressure」を合わせて「peer pressure(ピアプレッシャー)」と言います。

端的に言うと、会社や学校などさまざまな集団の中で起こる、心理的な圧力です。たとえば会社であれば、会議で独自性のある意見を言いづらい仕事が早く終わっても自分だけ帰ることはできない、といったものが同調圧力にあたります。

否定的な意味で使われることが多いようですが、同調圧力が適度に働く分にはメリットもあります。お互いに周囲に合わせようとすることで、チームワークがよくなり、「周りに迷惑をかけたくない」という気持ちが、頑張るためのモチベーションになったりすれば問題はありません。しかし同調圧力が行き過ぎてしまえば、新しいことに挑戦できなくなり、失敗を過度に恐れて萎縮してしまったりと、マイナスに働くことになるのです。

同調圧力、同調行動、同調効果の違い

同調圧力と似た言葉に、同調行動、同調効果というものがあります。以下からは、これらの違いについて触れていきます。

・同調行動とは

同調行動とは、同調圧力を受けた結果の行動を言います。圧力を受けた結果として、自分の行動を周りの行動に合わせることです。意識的に行うこともあれば、無意識で行うこともあるようで、たとえばファッションの世界では流行というものがあります。確かに、周りが流行の服装をしていれば、それに合わせようという気持ちが働くことがあるでしょう。

・同調効果とは

同調効果とは、自分が周囲との間に共通点があると、親近感を得たり安心したりする心理のことです。これは、「みんなが行列に並んでいるので自分も並ぼう」という心理を利用した、「バンドワゴン効果」というマーケティング手法にも応用されています。バンドワゴン効果については他の記事で紹介しているので、良かったら覗いてみてください^^

なぜ日本社会には強い同調圧力が存在するのか?

日本の社会に強い同調圧力があることについては、日本の文化や歴史によって説明されることがあります。たとえば、昔から日本で大切にされているのが「和の文化」で、他人と衝突することはなるべく避け、和を尊ぶという考え方が広く共有されています。

そしてもう一つが「村社会」。歴史的に農業を中心とした村では、お互いに助け合うための秩序が重視されてきました。そうした中、村の掟(おきて)やしきたりは絶対の他、従わない少数者には「村八分」と呼ばれる制裁が科されました。このようなことが、日本社会の強い同調圧力につながっているのかもしれません。

実は、世界にも同調圧力は存在する

「和の文化」や「村社会」などの背景から、今もなお同調圧力の強い日本。島国であることから、同じ民族間でのコミュニティが続いたことも原因として考えられます。しかし、陸続きの他のアジア諸国や欧米でも、同じように同調圧力は存在しています。

・アジア圏における同調圧力

中国や韓国などの東アジア地域は、ひとつの民族という濃い人間関係の中から生まれるため、集団意識が強くコミュニティの調和を重視する文化が根付いています。家族や親の意向、伝統や慣習の尊重を求められ、個人主義や調和を乱すような人は変わり者として扱われる傾向があるのです。

今は珍しくもなくなったと聞きますが、韓国での「ひとり飯」は「一緒に食べる人のいないかわいそうな人」と捉えられるため、皆でご飯を食べる習慣があったようです。

・北アメリカにおける同調圧力

アメリカでは、個人の自由や権利、自己表現が尊重される文化が定着していることから、個人主義が重視されています。しかし、ビジネスシーンにおいては、チームでの協力や組織文化に従うことが求められるため、同調圧力が全く存在しないわけではありません。また、流行に敏感な若年層では、ファッションやトレンドにおける同調圧力が見られます。

近年では、アメリカの大学生などの若者たちの間で、グループメッセージのやり取りでiPhoneのiMessageを使っていないと仲間外れにされる、という同調圧力が働いているとThe Wall Street Journal(WSJ)が報じています。iPhoneのiMessageでは、メッセージ送受信時の吹き出しがブルーなのに対して、Androidデバイスから送信されたSMSはグリーンになることから、グリーンの吹き出しだと仲間外れにされやすいそうです。

アメリカの若者の間ではiPhoneが高く支持されており、そのシェア率は87%。多くの若者にとって主流の製品であるからこそ、少数派を否定したいという感情が湧くのです。

同調圧力をポジティブなものへ

同調圧力は、マイナスな作用もありますが、適度なものであればポジティブな作用をもたらします。具体的には、チームワーク力の強化や心理的安全性の構築、コンプライアンスの保持です。適度な同調圧力で職場環境をより良いものにしましょう。この機会に、現在の職場でどのような同調圧力が働いているか確認してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、同調圧力についてご紹介しました。

同調圧力は日本特有のもの?と考えられることもありますが、世界中で十分に起こりえる現象です。

人間は基本的に社会の中で生まれ育ち、社会を維持しながら生きていく社会的な生き物です。コミュニティの中で安全を確保したり、社会的な地位を築いたりするためには、周囲との調和が不可欠です。周囲と調和を図るために、多数派の行動や意見に合わせることが求められる場面も少なくありません。

同調圧力は場合によってポジティブに捉えることもできますが、やはり圧力に負けないことが必要になってくるでしょう。

そのために、日頃から「自分の意思をきちんと持つ」ことは重要。

おすすめは、「日記を書くこと」です。言葉に出すことで、思考、思索は前に進みます。

notoを日記代わりに使うことは効果的と言えそうですね。
皆さんも、ぜひ実践してみてください。










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