見出し画像

コーチングってなに?「現状」と「結果」の間に生じるギャップを解消する達人

コーチングとは


コーチングとは、指導をした相手が目標を達成できるように、経験を積んだコーチ(コーチングする人)がクライアント(コーチングを受ける人)を指導する方法です。


コーチングでは、コーチが一方的に指示を出すのではありません。目標の達成に向けて、気付きを与えたり自主的な行動を促したり、サポートを行います。

今では、ビジネスだけでなく、スポーツや芸術などの幅広い分野で活用されています。

余談になりますが、コーチという言葉は、もともと「馬車」のことを指し、「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」という意味で使われていました。そこから「人の目標達成を支援する」という意味で使われるようになったのです。


コーチはクライアントに、新しい気づきをもたらす、視点を増やす、考え方や行動の選択肢を増やす、目標達成に必要な行動を促進するための効果的な対話を作り出します。

ここで重要なのは、コーチがこれらを先導したり強制したりするのではなく、相手が主体性を持ちながらそれを実現するところにあります。

そのため、コーチングでは、基本的に「教える」「アドバイスする」ことはしません。その代わりに、「問いかけて聞く」という対話を通して、相手自身から様々な考え方や行動の選択肢を引き出すのです。

コーチングでは「答え」について、「外から与えられた答えは情報」として、「自分の内にある答えを納得感」として位置付けており、 後者の自分の納得感を重視しています。


このようにコーチングは「答えはその人の中にある」という原則のもと、 相手が状況に応じて自ら考え、行動した実感から学ぶことを支援し、 相手が本来持っている力や可能性を最大限に発揮できるようサポートするための コミュニケーション技術なのです。

コーチングの目的は、「現状」と、目指す「結果」の間に生じるギャップを解消することです。

コーチは相手を導く役割を担いますが、その過程で見えてくる外部的要因は、あくまでも情報にすぎません。相手が潜在的に持っている意識や感情を見抜き、その人にとって唯一無二の答えに導く過程がコーチングです。

また、コーチングにおいては一般論や多数派が正しいという概念はありません。コーチングを通して、コーチングを受けた人が、今までにない気付きを得たり、自分自身の意思を再認識したりすることができます。コーチはそれらを踏まえながら、その人の現在地とゴールを一致させるためにさまざまなアプローチを試み、ギャップの解消を目指します。


目標達成に向かって進むべき方向性や必要な課題を的確に提示し、課題を乗り越えるために実現可能な方法で行動を支援するのがコーチングの役割です。


コーチングとティーチング、カウンセリングの違い


ここまでの話で、じゃあ、コーチングとティーチング、カウンセリングの違いは何なの?と感じた方もいるかもしれません。

これらの定義には明確な違いがあります。

ティーチング


まず、ティーチングは、はじめに最終的な目的を掲げ、その目的を達成するために、能力や経験のある指導者が技術や知識を「教える」ことで、対象となる人物の目標達成を支援するものです。

主に親と子、教師と生徒、先輩と後輩、上司と部下などの関係性において成立する手法となり、「問いかけて聞く」ということに重きを置くコーチングとは異なり、一方的に伝達する点が特徴といえます。コーチングのように伴走し、自ら正解に気付くよう支えるのではなく、ティーチングは答えを教えることで学んでもらう指導方法のため、最終的な目標、結果に向けて取り組んでいくことだと言えます。

カウンセリング


一方でカウンセリングは、悩みや不安を抱えており、克服または解決のための心理的サポートがほしい方に行うものです。方法はコーチングとも同じように現状分析からスタートしますが、明確な目標を設定するのではなく、自分自身がすでに持っている答えに気付くまで、本人の悩みが解消されるまで続けることが大きな違いといえます。

カウンセリングは不安や悩みを抱えている人、自分に自信が持てない人、人間関係に悩みがある人などに適していると言えそうですね。


ここまでの話から、コーチングは、クライエント自身の潜在的な思いを汲み取り、クライエントの主体性を尊重したうえで目標達成のサポートをすること、ティーチングは目標達成のために一方的な伝達を行うことに重きを置き、結果を重視すること、カウンセリングはクライエントが悩みを抱えた人などに限定され、その人の悩みが軽減されるまで継続的に続けていく技法のこととまとめられそうです。

 コーチングは、内面にアプローチし答えを引き出すことで目標達成に導かれ、それにより以下のようなメリットがもたらされます。

● 自覚していなかった感情や思考に気付き、未来の選択肢が増える
● 課題と向き合い乗り越えるまでのプロセスが学べる
● ありのままの自分を受け入れられるようになる
● 目標達成の成功体験により自信が得られる

一方で、コーチングには以下のようなデメリットも想定されます。

● コーチのスキルや、コーチとの相性により得られる効果に差が出る
● 自分と向き合うことで、コーチングを受けた側が辛くなる可能性がある
● 自主性を引き出せなければ目標達成が遠のく
● 長期的視点に基づく手法のため、問題の根本的な解決に即効性はない

 コーチングのデメリットに注目してみると、コーチのスキルが重要になってくると言えます。

近年、企業においてもコーチング技術は脚光を浴びており、企業という組織を考えた場合、上司がコーチ役となって、部下が持っている個人の価値観や能力に焦点を当て、それが企業の持つゴールの中でどのように実現できるかを明確にすることができなければ、部下は行動を起こさず、ときには人材流出も免れない時代となりました。


これからのマネージャーは部下を管理すること以上に、コーチとして部下のビジョンや能力、そして自発性に注目し、育てることが求められているのです

 そこで、コーチのスキルを高めるものとしてコーチング認定資格が挙げられます。

コーチ認定資格



コーチ認定資格とは、コーチとしてのトレーニング実績や、スキル、経験を証明するもので、コーチ・エィ アカデミアを受講することで目指すことができるコーチングの資格には、(一財)生涯学習開発財団の資格国際コーチング連盟(ICF)の資格の2つがあります。

(一財)生涯学習開発財団認定コーチ資格は、1998 年に 一般財団法人生涯学習開発財団の認可を受け、現在までにのべ 7,500 人以上の認定コーチが誕生しています。資格を取得された方々は、リーダーや社内コーチとして、コーチングを組織内外で活用されています。コーチングマネジメントの知識と経験を有することを証明できる資格であり、 コーチングを受けるクライアントや部下、同僚の方々の安心感にもつながるため、仕事やマネジメントの中でコー チングを活用したい方が資格を取得されています。

コーチ・エィは、170の国と地域に57,000人以上(2022年1月現在)の会員を抱える世界最大規模のコーチの非営利団体、国際コーチング連盟((ICF: international Coaching Federation)の認定機関として、コーチングの専門トレーニングであるコーチ・エィ アカデミアを提供しています。コーチ・エィ アカデミアは、1999年に日本語のコーチ・トレーニング・プログラムとして初めてICFに認定され、これまで多くの資格取得者を輩出してきました(1999年当時のプログラム名は、CTP[コーチ・トレーニング・プログラム])。コーチ・エィ アカデミアのプレミアムコースを受講す ることで、国際コーチング連盟認定資格受験のためのトレーニング基準を満たします。ICFの認定コーチ資格は、グローバルに通用する資格です。


 しかし、このように資格を取得してスキルや知識を知るだけでは、それを十分に理解して、さらに行動として実践することはできません。

つまり、コーチングは書籍や一過性の研修だけでは決して身につかないのです。

スキル・知識をインプットしたら、アウトプットもする。

この繰り返しが、コミュニケーションを学ぶ方法として優れています。自分のケースについて話したり、他の人の話を聞いたりすることなど、コミュニケーションを交わしながら学ぶ方法を、コミュニカティブ・アプローチといいます。コーチングは座学ではなく、このコミュニカティブ・アプローチで身につけてく方法が最も効果的で成果が上がりやすい方法です。そして、自分の周りの人に対して学んだことを実践していくことで確実な成果につなげていくことができます。

 コーチングには正しい知識とコミュニケーション能力、具体的には、傾聴、質問、承認の3つのスキルが重要になってきます。


今までの話と絡めておさらいしましょう。

傾聴とは、相手の話を深い部分まで聞くことに加えて、相手の話し方や表情などに注目することです。これらを同時に行い、相手への理解を深めるコミュニケーション技法のため、相手を受け入れる受容と、同意の気持ちを持つ共感の2つが欠かせません。相手を深く観察し、感情に心を配るようにしましょう。質問とは、相手が自ら気付きの機会を多く持てるような質問をすることです。質問された相手が、質問への答えによって自分自身を分析できるように導く質問をします。なかでも自分の言葉で失敗を分析できるような質問を「問題の外在化」と呼び、コーチングではこの問題の外在化を積極的に取り入れます。承認とは、相手の長所を発見したり、言葉や態度で伝わるように褒めたりすることです。お世辞にならないように実際のいい部分を見つけ、言葉や態度で確実に伝わるように褒めましょう。承認の際には「すぐに」「具体的に」「一貫性を持って」褒めることが大切で、好ましい行動の定着を促します。

まとめ

 今回はコーチングについてお話ししました。コーチングとは、目標達成のために気付きを与え、主体的な行動を促す手法です。ビジネスでは、上司が部下とのコミュニケーションを重視し、主体性を育てます。コーチングでは一方的な関係性にならず、信頼関係を築くことが大切です。コーチング技術を身に着けることは、ビジネスに留まらず、あらゆる場面で役に立つことが期待できます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?