楽しいことを探すのって結構難しい【終末京大生日記26】


 今回は趣味について書こうと思う。大学院というのは常に孤独と共にある場所である。我々は小学生から大学生の時には友人と公園で遊んだり、部活動をしたり、少なくとも5人くらいの単位の同い年の人と毎日交流する機会があったはずだ。ところが、大学院にもなるとそうはいかない。まず、研究室に所属する同い年の学生というのは2, 3人程度しかおらず、そもそも1人になりやすい。また、研究の忙しさは人によって違うし、バイトなどで生活リズムも違う。つまり、毎日同じメンバーで集まるということが全くできないのである。このような状況に打ち勝つために、私は趣味を探した。

 まずはゲーム。昔やっていたゲームを家から持ってきてやるのだが、これが全く面白くないのである。昔あれだけゲームが面白かったのは友人や家族とやっていたからであり、私はそもそもゲーム自体はあまり好きではないことに気づいた。そして小説。高校時代は米澤穂信などの青春小説を読み、楽しく過ごしていたが、大学生にもなると変に小説をたくさん読んでしまい、小説自体に飽きてしまったのだ。例えば、高校生活を舞台にした物語で、第二志望の高校に進学している主人公を私は見たことがないし、彼らの恋がうまくいっていないのも見たことがない。彼らの悩みや描かれる苦悩まで全てがつまらなく感じたし、苦しいふりをしているように見えてしまった。(例えが適切かは置いておいて)他人が演じている劇を側から見ているようで、没入感が全くなかった。

 そんな中見つけた趣味がエッセイを読むことだった。まず読んだのは「社会人大学人見知り学部卒業見込み」オードリーの若林さんが主に自分の自意識や内面に向き合う話で「ああ、この悩みは実在するんだな」と思えた。他の人が書いたエッセイも読んでみて、ああ、ようやく趣味を見つけたなと思った。

 そして、次に見つけた趣味はボクシングジムに通うことだった。私は大学院に入った頃、とにかく昼夜が逆転しており、その生活リズムの乱れに非常に悩まされていた。そんな中、私は、ふと高校生の頃を思い出した。高校生の頃は部活から帰ればすぐに疲れ切ってベットで横になり、そのまま眠れていたのに、大学生になったとたん昼夜逆転してしまった。ということは、高校生の頃のように、午後に運動をして体力を0にしてしまえば、あとは家に帰ったら自動的に眠れるのではないか。

 私はその仮説を確かめるため、ボクシングジムの体験に行った。体験の前日もバッチリ昼夜逆転しており、睡眠不足と数年ぶりの運動のせいでウォーミングアップの縄跳びだけで吐いてしまった。しかし、思った通りその日の晩はぐっすり眠れて、昼夜逆転も治っていた。私は即座に入会を決め、以来そのジムに通わせてもらっている。

 このように、大学院生は前のめりに自分の楽しいことを探す必要があり、それは孤独な社会人にも通じるものがあるだろうと考える。私は仕事が1日の8時間を占めることになっても、隙間隙間に(できれば他の人も含めた)楽しみを見つけられる人物でありたい。他の人も含めたという点が課題ではあるが。

 
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